モバイルアプリがプロダクトの成功の鍵を握る

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編集部記Loni StarkはCrunchBaseのコントリビューターだ。また、Loni Starkは作家で、Adobeのdigital experience management businessにおける、ストラテジーとプロダクトマーケティングのシニアディレクターを務めている。

自宅のホームシアターシステムが故障したため、コンシューマー向けのテクノロジーとしては比較的専門的な特定の機材を探していた。ホームシアター用の受信機だ。ホームシアターの受信機は、そんなに安い買い物でもない。しかし、意外にも私の購入の判断を後押ししたのは、価格や技術的なスペックではなかった。最も重要だったのは、直感的に操作できるモバイルアプリがあり、ホームシアターのテクノロジーをより簡単に活用できて、使い勝手が良いかどうかということだった。

この話をしたのは、このようなアプリが実際に多くのビジネスモデルを刷新しているからだ。初めて市場に登場したアプリは注目を集めるのを目的に作られたものだったかもしれない。しかし今のアプリは随分と進化を遂げた。アプリは物のインターネットのリモコンになってきている。そしてアプリはアクセサリーから必需品になった。

Androidだけで130万個のアプリが利用できる。多様なアプリの登場で、市場の競争を激化した。ダウンロードされたアプリの90%は全く使用されないと考えると、その競争の激しさが窺える。

しばらく前からモバイルアプリはプロダクトの体験において重要な役割を果たすようになった。コンシューマーは、これまで以上に複雑な商品や業界もアプリを取り込み、プロダクトと連動する体験が提供されるのを望んでいる。コンシューマーはプロダクトを利用する新しくイノベーティブな方法を求めていて、それを提供できるプロダクトアプリの登場を期待しているのだ。良いモバイルアプリは、込み入ったプロダクトをシンプルに利用できるようにする。企業が自社アプリを開発する際には、このシンプルさを追求すべきだろう。

モバイルアプリはプロダクトを良くも悪くもする

企業はアプリをプロダクトの販売経路として注目してきた。モバイルが利用される時間の82% はアプリに費やされている。また、2014年のオンライン販売の売上が3450億ドルに到達した。企業がモバイルでプロダクトを訴求するのは当然のことだ。

しかし、これらの企業は成長する市場でのチャンスを逃しているとも言える。アプリは販売経路だけでなく、プロダクトの一環として位置づけるべきだ。多くの場合、アプリがそのプロダクトを購入するための重要な判断材料になりうるからだ。

Apple Watchを例に取って考えてみる。ウェアラブルデバイスのスマートウォッチはそれまでさほど普及せず、アメリカのコンシューマーの僅か2%しか保有していない。MarketSightの調査によると、スマートウォッチを購入しない理由について83%の回答者は、必要な機能が備わっていないからだと回答した。スマートウォッチを保有している47%のユーザーは、運動を記録するために使用していると回答した。結果的にスマートウォッチは、健康志向の人達を対象としたニッチな市場に訴求していた。

しかし、これはApple Watchのリリースで変わることになるかもしれない。2018年までにウェアラブルデバイスの73%をApple Watchが占めるという予測も出ている。メールやApple TV用のリモコンアプリなど、最初から利用できるアプリが14個備わっている。このようなアプリがなければ、Apple Watchは高価な時計に過ぎない。アプリがプロダクトの販売を後押ししているのだ。

モバイルアプリから複雑な機能をシンプルに利用できる

私がホームシアター受信機を選ぶのにアプリの存在が重要だった。なぜなら、これまで手間のかかったことがシンプルで簡単に行うことができるようになるからだ。人がアプリに求めているのは次の2つの内どちらかだ。これまで存在したプロダクトを新しいイノベーティブな方法で利用できるようになること。あるいは、これまで絶対に不可能だったことが可能になることだ。良いアプリはそのような体験を提供している。

Uberはアプリ主導の会社だ。彼らはアプリに惜しみない労力をかけ、カスタマーに新しくてイノベーティブなサービスを提供するために、絶えず改良を加えている。

Uberのアプリは、リアルタイムデータの活用で交通機関のビジネスモデルを刷新した。カスタマーがドライバーの進路や到着予定時間を確認することは、モバイル以前の時代には不可能なことだった。またUberは需要と供給のバランスを取ることの重要性を把握し、需要が特に高い場合のサージプライシングの導入や、市場が求めるときに必要な割引価格の提供や協力を行っている。

DriveNowは、BMWとSixtが協力して提供している同様にアプリを活用した車のレンタルサービスだ。DriveNowでカスタマーは車を探して借り、終わったら返却するという一連のサービスをアプリから利用できる。DriveNowがApple Watch用のアプリを作ったことは先進的な取り組みだ。Apple Watchが鍵の役割を果たし、Watchを持ったコンシューマーはそれで車を解錠することもできる。

DriveNowはアプリからこれまで不可能だったことをカスタマーに提供している。列に並んで、予約をし、通常の営業時間内に車を借りなくてもサービスが利用できるようになったことは、車のレンタル市場でのDriveNowの他社との差別化につながっている。

両社ともアプリを活用して、これまで煩雑だったタスクをシンプルにした。新しくプロダクトに加えられたサービスもアプリから利用できる。さらにビジネスモデルまでも刷新し、カスタマー満足と自社の売上促進につながった。

モバイルプロダクトアプリに対するカスタマーの期待を汲み取ってブランド設計を考えることが重要だ。現在のプロダクト、使い勝手、サービスとモバイルアプリのコンテンツや機能をどのように連携させれば高い価値が生まれるだろうか?モバイルでのコンシューマーとの接点をどのように活用すれば、購入経路でのエンゲージメントを高めることができるだろうか?プロダクトの便利さ、価値、そしてユーザーとの関連性を高めるのにアプリをどのように活用できるか?プロダクトと深く連携し、提供するサービスがより楽しく便利になるようなアプリを目指すことが重要だ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

投稿者:

TechCrunch Japan

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