3Dプリント技術は飛躍的に向上しているようだ。DMM.makeは最新機器がそろえた3Dプリント工場を開設することで、3Dプリントによるモノづくりを加速させたい考えだ。
2017年1月、DMMは3Dプリント事業を展開するアイジェットの全株式を取得し、子会社化することを発表した。それに伴い、アイジェットのオフィスを「DMM.make 3D PRINT TOKYO Factory」としてリニューアルオープンする。場所は東京都港区海岸で、最寄り駅は日の出駅だ。2月7日、DMMは新設した工場を記者向けに披露したので、TechCrunch Japanも見学に訪れた。
工場見学に際し、DMM.comホールディングス代表取締役、松栄立也氏はアイジェット買収までの経緯を説明した。DMMの3Dプリント事業は、DMM.makeとして2013年7月に立ち上がった。DMM.makeでは、3Dデータをアップロードすると、最短7日で3Dプリンターで出力した製品を届けるサービスを提供している。また、2014年7月にはDMM.make AKIBAというモノづくりのためのシェアオフィスを開設し、モノづくり系のクリエイターやスタートアップを支援してきた。「一番嬉しかったのは、DMM.make AKIBAが中学生や高校生の修学旅行に組み込まれたことです」と松栄氏は話す。DMM.makeが日本のモノづくりの未来を支援しているという手応えが出てきたという。アイジェットの買収は、さらにレベルの高い3Dプリントサービスを展開するためと説明する。
アイジェットは2009年5月に設立し、DMMより一足先に3Dプリント事業を展開していた。アイジェットは3Dプリントによる出力だけでなく、3Dデータを取り込む3Dスキャンや3Dモデリング技術の開発にも力を入れてきた。
アイジェットの技術力を合わせることで、DMM.makeは3Dプリント事業に関わる3Dスキャン、3Dモデリング、加工処理、量産、コンサルティングまで一気通貫して請け負うサービスを提供していくという。今回設立した工場も、3Dプリント事業の拡充させるためだ。
DMM.makeは新設した東京ファクトリーに加え、石川県にも工場を持つ。そこは物流センターも備えているため、3Dプリンターで製品の製造から配送まで担うことができる。東京ファクトリーでは、主に3Dプリントを活用したい企業のコンサルティングやプロトタイプ制作などを担うそうだ。
「3Dプリンター」と言われると出力に時間がかかり、素材もプラスチックなどに限られる家庭用の3Dプリンターを思い浮かべてしまうのだが、東京ファクトリーで製造できる製品の品質は、出力してすぐ実用できるものもあるほどだという。素材は、ABSライク樹脂、クリアアクリル、石膏、ナイロン、各種金属と幅広く対応している。
上記の写真は、3Dスキャン技術のデモの様子だ。スタッフが立つターンテーブルが1回転し、その様子を後ろにある4台のカメラで撮影することで、スラッフの3Dデータ取得できる。東京ファクトリーには、この他にも商品を撮影する小型の3Dスキャンなどもある。
上記の写真は、東京ファクトリー内に3Dプリンターと製品の加工工程の一部だ。
今後3Dデータが肝になるとDMMは考えている。3Dデータがあれば、製品のプロトタイピングのみならず、VRゲームのアバターだったり、フィギュアや玩具制作に用いたり、多方面でのサービス展開が可能となる。
現状では、製造業からの製品のプロトタイピング用とエンタメ分野からのフィギュア作成などの依頼が多いそうだ。今後は医療やバーチャルフィッティングといったファッション分野での3Dプリントの展開も視野に入れているという。DMM.makeは、「モノづくりのためのプラットフォーム」であり、新しいメーカーの形の実現を目指すとしている。