幻覚剤を使った精神科治療のための臨床管理とデータ解析を提供するOsmind

最先端の幻覚剤治療に特化した精神障害のための臨床診療管理とデータ解析の新しいプラットフォームを共同創設したJimmy Qian(ジミー・キアン)氏とLucia Huan(ルシア・ホアン)氏の出会いはスタンフォード大学だった。

2人はどちらも医療分野の経歴を持つ。ホアン氏は生物医学エンジニアを母に持つ。彼は、Warburg Pincus(ウィーバーグ・ピンカス)の医療部門に勤務経験があり、スタートアップのVerge Genomics(バージ・ジェノミクス)で働いた後に、キアン氏がスタンフォード大学医学部で勉強していた時期に、スタンフォード・ビジネススクールに入学した。

2人はともにサンフランシスコ・ベイエリアの高校を出ていたため、シリコンバレー周辺のコミュニティーで発生していたメンタルヘルスの危機的状況に精通していた。

キアン氏は、ペンシルベニア大学の学部生だったとき、メンタルヘルス関連のいくつかの非営利団体で働いていたが、スタンフォードに入学して、再びベイエリアに戻ってきた。

若いスタートアップOsmind(オズマインド)の2人の創設者が目指すのは、臨床医と製薬会社に治療提供と治療効果の証明を可能にするソフトウェアとサービスを提供し、精神障害患者が革新的な治療を受けられるようにすることだ。

ホアン氏とキアン氏によれば、米国人の約1100万人が精神障害のほとんどの治療法に耐性を持っているという。こうした患者たちの治療費は、2億5000万ドル(約265億円)にものぼると彼らは話す。「これらの患者層を救済できる人はいませんでした」とホアン氏はインタビューで語った。「彼らのための薬は、製薬会社は作ってくれません」。

Y Combinator(ワイ・コンビネーター)の最新のコホートとして修了を間近に控える公益法人Osmindが目指すのは、最も重度な患者層からデータを集め、それを医薬品開発企業の臨床試験用に提供し、患者を治療提供者のもとへ確実に送り届け、最大の恩恵が得られるようにすることだとキアン氏は語る。

同社は2カ月前からサービスを開始しているが、すでに3000人ぶんの患者データをカバーするソフトウェアを使い、30件の治療にあたっている。

「全体的にこの利点は、すべての人にとってウィンウィンであることです」とホワン氏は言う。医療提供者は、管理業務を効率化し、患者への働きかけや遠隔モニター・サービスを可能にするソフトウェア・プラットフォームが利用できるようになる。さらに、患者の治癒状況が見られるウェブポータルもある。

これは、必ずしもテクノロジーに明るくない医師のためにデザインされたサービスだとキアン氏は言う。また、幻覚剤やケタミンを用いるなどの実験的な治療法の臨床実証に利用できるデータセットも提供可能だ。「私たちは、医療の旅を改善します」とキアン氏。「そこは人材が不足している臨床分野です。患者を毎日往診するのは不可能です」と続ける。
画像クレジット:DrAfter123 / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。