クールなミッションにはクールな名称が必要だ。そして、月定住と再び米国人を月に送るというNASAの新たな計画は、アルテミスという名称を得た。アポロ計画の最盛期から今年50年という節目にあること、新計画では女性を初めて月に送ることを鑑みたとき、うなづける名称だ。
名称はNASAのソーシャルメディアチャネルで発表された。そしてJim Bridenstine長官が昨日の記者会見で軽く触れていた。
「アポロには双子の妹アルテミスがいたことが明らかになる。アルテミスは月の女神となる。我々の宇宙飛行士部門は多様性に富み、かなり優秀だ。アポロ計画から50年が経ち、アルテミス計画が次の人類、そして初の女性を月に運ぶというのは素晴らしい」と長官は語った。
ギリシャ神話になじみのある人ならNASAが専門用語に含ませたヒントがわかっただろう。アルテミスは月の女神だった。しかしまた狩猟の神でもあった。そしてアルテミスの忠実な狩猟の友はオリオンだった。まるでNASAがいま開発中の多目的宇宙船のようだ。
月に加えて、アルテミスは当然のことながら天文学や宇宙飛行と関連がある。複数の衛星やミッションがこの名称を使ってきているし、金星と月にはアルテミスにちなんでつけられた谷などがある。しかし今回の命名はこれまでで最高のものだろう。
NASAに問い合わせ中だが、私が思うにアルテミス計画は月定住を確立するという来るべき大きなミッションに関係している。これには月面探査や、月軌道プラットフォームゲートウェイなど月や月周回軌道でのインフラ整備という大きなミッションが含まれることが予想される。
今回の発表は、NASAが月探査のミッションのためにとっておいた予算に新たに16億ドルを追加するとの発表を受けたものだ。
名称が女性のものであるのは意図的なものだ。アポロ計画は多くの女性のサポートのおかげで成功したが、ミッションは男性宇宙飛行士だけで行われた。しかし今回は異なる。女性も男性も宇宙へ行き、そして間違いなく女性でも男性でもない人もすぐに宇宙へ行く。
Bridenstine長官はこの計画は次世代を頼りにしていると話した。「私には11才になる娘がいるが、多様性に富んだ現在の宇宙飛行士団と同じように娘にも多様性の中にいる自分を見出してほしい」。
「月着陸の歴史を振り返ると、1960年代から1970年代にかけてはテストパイロットで、女性にはチャンスがなかった。今回の計画は、私の娘のような新世代の女の子たちが月に行くことを思い描けるようにするだろう」と発表後の質疑応答で語った。
アルテミス計画は10年以上はかかることが予想される。月に行くことは簡単ではなく、最初の成功すらもその後待ち構える、さらに大きく野心的なミッションの基礎となるにすぎない。
イメージクレジット: Flaxman
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)