風景とポートレートの編集に強いAIフォトエディターLuminar AIをSkylumが発売

Skylumはここ数年、Aurora HDRやLuminarなどの写真編集アプリで名を知られるようになった。その同社がまったく新しい写真エディタのLuminar AIを発売した。価格は79ドルから(日本では株式会社ソフトウェア・トゥーが税込1万1980円で販売)。MacとWindowsでスタンドアローンのプロダクトとして動作するほか、LightroomやmacOSの写真アプリのプラグインとしても使える。この新しいアプリはゼロから開発され、Lightroomなどでおそらくおなじみの従来からある写真編集機能を多く備えている。しかしこのアプリのポイントは新しいAIベースのツールで、特に風景(と空全般)やポートレートの編集に力を入れているところだ。

このアプリには全部で13種類のAI機能が搭載されている。AI機能によりスライダーをいくつかドラッグするだけで、構図の改善、画像中の空の変更(それに応じてシーンのライトも調整される)、霧・もや・霞の追加、ポートレートの被写体の顔やボディの調整をすることができる。

このようにして、初心者にとっては極めて簡単により良い写真にすることができ、プロにとっては望む結果を短時間で得るツールとなる。

SkylumのCEOであるAlex Tsepko(アレックス・ツェプコ)氏は「AIに対する我々のアプローチは、この分野における最高の頭脳のアプローチと方向性は一致しています。ただし違うのは、この驚くほどパワフルなテクノロジーを我々はヒューマンセントリックに応用していることです。私の経験では、実際にクリエイティブなことに費やしている時間はわずか30%です。Luminar AIは人工知能を使ってこの数字を逆転させます。我々の作ったLuminar AIによって、ユーザーは編集のプロセスにわずらわされることなく成果と写真に集中できます」と説明する。

画像クレジット:Skylum / Jeong Kyu Kim

画像クレジット:Skylum / Iurie Belegurschi

初心者はまずLuminar AIのテンプレートから始めよう。Instagramのフィルターをはるかに超える進化版という感じだ。アプリが自動で画像を分類し(風景かポートレートか、など)、それに合うテンプレートを提案する。仕上がりはクールで出発点としては良いが、この種のツールに投資するならもっと細かくコントロールしたくなるだろう。

Luminar AIの看板機能が、わずか数回のクリックで画像の空を変えるスカイAIだ。空を変えるには、夕暮れなどあらかじめ用意されている空の種類からいずれかを選ぶか、自分でライブラリを作る。どちらの場合も、適用するとアプリが空に応じてシーン全体のライトを調整する。これは驚くほど見事に機能する。もう少しギミックっぽい拡張スカイAIもあり、鳥や飛行機、バルーンを空に追加できる。筆者は使いそうもないが、近いうちにあなたの好きなインフルエンサーの写真にバルーンがたくさん浮かぶだろう。空を少しだけ調整するスカイエンハンサーAIを選ぶこともできる。

画像クレジット:Skylum

よく使われる編集機能としては明るさ、コントラスト、カラーを調整できるアクセントAIツールがかなり便利だ。ストラクチャAIは画像を明瞭にする。

Skylumはこうした調整は不自然にはならないとしているが、一概にはいえないだろう。実際、これは個人の好みによるが、筆者はスライダーをわずか10か20ポイント動かすだけでベストの結果になることが多いと感じた。調整しすぎると過剰に加工された画像になってしまう恐れがある。

ポートレート向けの機能にはボディAI、アイリスAI、フェイスAI、スキンAIがある。これらの機能を使うと、Photoshopなら時間がかかることが多いレタッチ作業を極めて簡単に実行し、被写体の目を際立たせたり歯を白くしたり肌のシミを消したりすることができる。

画像クレジット:Skylum

風景の雲を変えたり写真にボケを追加したりするツールはよほど極端な写真純粋主義者でない限りは問題視するようなものではないが、ボディや顔をわずか数回のクリックで簡単にスリムにできるツールはちょっと話が別だ。

ここでポートレートのレタッチに関する倫理やソーシャルネットワークで容姿を批判することの有害性を議論するわけではないが、特にLuminar AIはボディや顔を簡単にレタッチできる効果的なツールであることを考えれば気をつけておいた方がいいことではある。筆者の場合は、Luminar AIのこうしたツールを使うと不安な気持ちになりがちだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Skylum写真画像編集

画像クレジット:Skylum

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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