LINEは8月31日、独自開発したブロックチェーン技術を用いたトークンエコノミーの構築を目指す「LINE Token Economy」構想を発表した。
それに向けて自社開発のブロックチェーンネットワーク「LINK Chain」を基盤とした「LINEエコシステム」を公開。同システム内で利用できる汎用コイン「LINK Point(日本向け)」と「LINK(海外向け)」も公開している。なお詳しくは後述するがLINK PointとLINKはそれぞれ違った性質のものだ。
LINEによると今回発表したトークンエコノミー構想は「LINEが独自に開発したブロックチェーン技術を活用することで、サービス提供者とユーザーの関係をよりフラットにし、ともに成長していくことができる共創関係の構築を目指す」ものだという。
インターネットが普及して様々な情報やコンテンツを無料で受け取れるようになったと同時に、ユーザーはSNSや口コミサイトを始めとしたCGMにおいてコンテンツを生み出す生産者にもなっている。サービス自体の成長に大きく貢献しているユーザーも多いけれど、現在はそれに対して適切なインセンティブを還元できているものは少ない。
どうやらLINEではこの現状をトークンエコノミーを活用することで改善しようとしているようだ。
今回公開されたLINEエコシステムは、分散型アプリケーション(dApp)サービスが参加することでユーザーに対して汎用コインを付与することができる仕組み。これによってユーザーは同システムに参加するdAppサービスや、今後参加を計画している既存のLINEサービスに登録・利用すると、アクションやサービスへの貢献に応じてLINK PointやLINKを獲得できるようになる。
LINK Chainによって評価の信頼性や透明性を担保し、ユーザーの貢献に対して適切な還元を行うことで活動が活性化されれば、さらにサービスも成長して大きな価値を生み出すことに繋がる。トークンエコノミーが上手く機能すれば、そのような好循環を作ることもできるだろう。
LINKエコシステムには今後他社のサービスも参加できるようになる予定。サービス提供者側にとっては、膨大な時間とコストをかけずにトークンエコノミーを導入できる点がメリットだ。
冒頭でも触れた通り、汎用コインのLINK PointとLINKはそれぞれ性質が異なる。LINK Pointは日本でのみ利用可能なコインで、日本国内に住むユーザーがLINEエコシステムに参加するサービス内でインセンティブとして獲得できるものだ。
獲得したLINK PointはほかのdAppサービスで使用することに加え、LINEポイントに交換して使うことも可能。LINEポイントは1ポイントを1円として、LINE Payでの決済やLINEサービスでの購入・決済時に利用できる。
一方のLINKは日米を除くユーザーに配布されるコインだ。グローバルの仮想通貨交換所「BITBOX」での取扱を予定。今後ユーザーがインセンティブとして獲得したLINKは、BITBOX上で他の仮想通貨との交換、取引が可能になるという(9月4日よりBITBOX上での取引に応じてLINKを無償配布する計画)。日本居住者であるユーザーは規制上、BITBOXでLINKの売買や交換等を行うことはできない。
LINK PointとLINKは合わせて総数10億個が発行される計画。このうち8億個がLINK エコシステムに参加するサービス毎に設定された報酬ポリシーに沿って分配される予定だ。残りの2億個は予備として発行元であるLINE Tech Plusが管理するという。
なおLINEからLINKに関するホワイトペーパー(英語)が公開されているので、詳細を知りたい方はこちらも合わせて読んでみるといいかもしれない。