VC会社a16zが2つのファンドをクローズ、管理資産は計1.7兆円兆に

Andreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)は計45億ドル(約4670億円)になる2つのファンドをクローズした、と米国時間11月20日朝のブログ投稿で明らかにした。同社はコンシューマー、企業、フィンテックにフォーカスしたアーリーステージファンド向けに13億ドル(約1350億円)を調達した。そしてレイターステージ投資のために32億ドル(約3320億円)のグロースステージファンドをクローズした。同社はコメントの求めには応じなかった。

2つのファンドは、同社が近年調達してきた新規ファンドのサイズを考えると典型的なもののように思える。それでもa16zがわずか11年前に設立され、メンロパークとサンフランシスコにオフィスを構えていることを考えると、これらのファンドの額は並外れたものだ。

並外れているといえば、同社が管理する資産は今回のファンドにより165億ドル(約1兆7130億円)になる。

a16zが直近のファンド2つをクローズしたのはわずか20カ月前のことだ。20億ドル(約2080億円)のレイトステージファンド、そして7億4000万ドル(約770億円)のフラッグシップアーリーステージファンドだ。

同社はまたこれとは別に、仮想通貨にフォーカスした5億1500万ドル(約535億円)のファンドを2020年4月に発表した。この手のものとしては2つめのビークルになる。また2月には3つめのバイオテック・ヘルスケア投資ファンドを開始し、支払い確約額7億5000万ドル(約780億円)でクローズした。

1年で扱う資本としてはかなりの額だ。同社のリミテッドパートナーがポートフォリオについて楽観的だった理由がある。例えば1月には、a16zが2018年後半のシリーズCラウンドに加わったフィンテック企業のPlaid(プレイド)は、計3億1000万ドル(約320億円)を調達した後に、53億ドル(約5500億円)でVisa(ビザ)に買収された。

司法省は最近、独禁法の観点からこのディールを阻止しようと提訴したが、このディールが反故になったとしても業界観測筋はPlaidの展望を好意的にみている。

a16zはまた、間もなく上場するAirbnbの投資家でもあるが、AirbnbのS-1によるとa16zは2011年にAirbnbのシリーズBラウンドをリードし、a16zのゼネラルパートナーであるJeff Jordan(ジェフ・ジョーダン)氏がAirbnbの役員を務め、結果として同社の株式所有を示す必要がると考えられるにもかかわらず、S-1書類に記載されるほどa16zの持分は十分でない。

TechCrunchはa16zが持分の一部あるいはすべてを2020年始めに売却する可能性があるか尋ねたが、いまだ返事は得られていない。

a16zのポートフォリオにある別の企業、現金払い主義の貸付会社Affirm(アファーム)も上場申請した。a16zはAffirmの2015年のシリーズBラウンドで初めて参加した。AffirmのS-1書類にもa16zは記載されていない。つまり持分は5%以下であることを意味する。

そしてa16zはゲーム会社Roblox(ロブロックス)の投資家で、2020年初めの1億5000万ドル(約156億円)のシリーズGラウンドをリードした。Robloxは今週初めにS-1を提出したが、ここにもa16zの名はない。

アーリーステージ部門では、ボイスチャットアプリClubhouse (クラブハウス)の1億ドル(約104億円)のバリュエーション、Y Combinator卒業生Trove(トローヴ)の7500万ドル(約78億円)のバリュエーションなど、a16zは派手な取引でよく知られている。

a16zは直近ではまた、過小評価されている創業者たちに投資するためにドナーアドバイズドファンド(助成先の分野を指定して資金を出す制度)を使っているTxOアクセラレーターを立ち上げた。a16zのパートナーNait Jones(ナイト・ジョーンズ)氏が率いるTxOは最初のグループの7社にそれぞれ10万ドル(約1040万円)を投資し、7%の持ち株を得た。

ドナーアドバイズドファンドは最初の取り組みで220万ドル(約2億3000万円)を立ち上げ、Ben Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏とFelicia Horowitz(フェリシア・ホロウィッツ)氏は最大500万ドル(約5億2000万円)とすると発表した。このファンドの企業からのリターンは投資ビークルに再利用される見込みだ。a16zはファンドの総規模については明かさなかった。

a16zは現在185人を雇用し、直近ではニューヨーク証券取引所の最高規則責任者だったAnthony Albanese(アンソニー・アルバネーゼ)氏を仮想通貨チームのパートナーとして採用した。

a16zのこれまでで最大の成功の1つは、GitHub(ギットハブ)のようだ。GitHubは2018年に75億ドル(約7790億円)の全株取引でMicrosoft(マイクロソフト)に売却された。報道によるとこのディールでa16zは10億ドル(約1040億円)超を手に入れた。a16zがGitHubに投資した際、その額は当時のa16zがそれまでに発行した小切手の中では最高の1億ドル(約104億円)だった。Benchmark(ベンチマーク)などとの厳しい競争でディールを獲得するには十分なものだった。ゼネラルパートナーのPeter Fenton(ピーター・フェントン)氏が最近述べたように、Benchmarkもまた当時GitHubにいい寄ろうとしていた。

a16zは仮想通貨取引のCoinbase(コインベース)の初期投資家だ。Coinbaseは直近では投資家に80億ドル(約8300億円)と評価され、来年初めにもIPOを検討していると報道されている。加えて、a16zは人気の投資アプリRobinhood(ロビンフッド)にも出資している。Robinhoodは9月に117億ドル(約1兆2000億円)と評価された。

Robinhoodも近い将来IPOを検討するといわれている。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Andreessen Horowitz

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。