Tiger GlobalがフィンテックBharatPeへの投資に向け交渉中、バリュエーションは約2750億円

インドのフィンテックスタートアップのBharatPe(バラペ)は、Tiger Globalがリードする新たな資金調達ラウンドで約2億5000万ドル(約275億円)を調達する交渉が進んでいると、この件に詳しい2人の関係者がTechCrunchに語った。

消息筋によると、この新しいラウンドはシリーズEで、創業3年目のニューデリーに本社を置く同社のプレマネーのバリュエーションは25億ドル(約2750億円)とのことだ。同筋はこの件が非公開であることを理由に匿名を希望した。本ラウンドはまだ終了していないため、条件が変更される可能性があると同筋は注意を促した。

BharatPeは、今回のラウンド以前に、株式で約2億3300万ドル(約256億円)、負債で3500万ドル(約39億円)を調達した。バリュエーションは、2021年2月のシリーズDラウンドで約9億ドル(約990億円)、2020年は4億2500万ドル(約468億円)だった。

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インドのニュースサイトCapTableがTiger GlobalとBharatPeの交渉について最初に報じ、今回のラウンドでBharatPeの価値は20億ドル(約2200億円)以上になると述べた。BharatPeはコメントを控えた。同社は、Coatue、Ribbit Capital、Sequoia Capital Indiaなどを既存の投資家として抱えている。

BharatPeは、オフラインの加盟店がデジタル決済を受け入れ、運転資金を確保するための同名のサービスを運営している。インドはすでに6億人以上のユーザーを抱える世界第2位のインターネット市場として台頭しているが、国内の多くの地域ではまだオフラインのままだ。

その中には、道端のお茶屋や近所のお店など、インターネットが届かない場所で小さなビジネスを営む商人がいる。BharatPeは、こうした商人にデジタル決済を気持ちよく受け入れてもらうため、政府が支援するUPI決済インフラをサポートするQRコードとPOSマシンを利用している。

600万以上の加盟店にサービスを提供しているBharatPeは、2020年11月までに5万台以上のPOSマシンを導入し、毎月1億2300万ドル(約135億円)以上の取引を可能にしているという。同社は、ユニバーサルQRコードへのアクセスで加盟店に利用料金を請求しておらず、資金の貸し出しによって収益を得ようとしている。今や、その目標の多くを簡単に達成できるようになるはずだ。

銀行になる

インドの中央銀行RBIは現地時間6月18日、2021年初めに経営難に陥った銀行を買収したCentrum Financial Servicesに、小口金融銀行の設立を許可する仮ライセンスを付与した。Centrum Financial Servicesは、BharatPeと協力してこのライセンスを取得した。BharatPeは2社が「対等」なパートナーであると声明で述べた。

Centrumグループのエグゼクティブ・チェアマンであるJaspal Bindra(ジャスパル・ビンドラ)氏は声明で、2社は「新時代の銀行」の創造のために努力すると述べた。

BharatPeはさらに、2つの新しいアプリの立ち上げにも取り組んでおり、そのうちの1つ「PostPe」はQR UPIでの与信を可能にし、もう1つのB2Cアプリは最大12%の金利でピアツーピアの貸し出しを可能にするものだ(担保なし、ただしBharatPeが仲介役を務める)。消息筋によると、これらの新製品は早ければ6月中にも展開される。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Tiger GlobalインドBharatPe

画像クレジット:ANNA ZIEMINSKI / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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