【抄訳】
最初はノーコメントだったNetflixが、FCCのAjit Pai委員から先週送られてきた書簡に返答した。その書簡は、Netflixが独自のキャッシング技術によって、自社のコンテンツのためにインターネットの高速レーンを実質的に確保している、と非難していた。当然ながらNetflixは、彼の説を否定する。
同社は、同社のキャッシングツール”Open Connect”は、同社のコンテンツを特別扱いしないし、オープンソースの技術がそのベースであり、ユーザのプライバシーを保護する、と主張する。
キャッシングは相互接続とは別の問題だ。相互接続の場合Netflixは、数社のISPに金を払って、同社のコンテンツを同社のプライベートネットワークに直接載せている。Netflixは過去に、それには金を払うべきでない、相互接続はネットワーク中立性のルールによって規制されるべきだ、と主張していたが、ユーザのビデオのパフォーマンスを維持するために短期的には払う、とも言っていた。
同社はまた、ISPのところにOpen Connect用のハードウェアを導入するためにも金を払っている。しかしその取り組みは、委員の言う“ストリーミングビデオのためのオープンスタンダード”とは異なり、Netflixによる同社コンテンツのキャッシング方法を、そのほかの企業の方法とは違う独自のものにする。
Paiは彼の書簡の中で、ネットワーク中立性に対するNetflixの支持は、Open Connectを使うための同社のやり方と相反している、と主張している。NetflixはOpen Connect用のハードウェアを置かせてもらうのに金を払っているから、自社のコンテンツを優遇するという、業界の標準に反する技術に金を払い、ほかのコンテンツ企業はNetflix的でないツールを使うことになる。
これらに対するNetflixの反論は、重要なのはネットワークのラストマイル(最後の1マイル)の部分であり、そこで(ISPのネットワーク上で)いかなるISPも同社のコンテンツをスピードアップしていないなら、完全にフェアである、というものだ。
しかしキャッシングはISPのネットワーク上にあり、したがってラストマイルの問題だ。したがってネットワーク中立性に関する当局の規制の対象にもなる。Netflixが自社独自の技術で、ISPのネットワーク上で高速化を図っているのなら、そもそもネットワーク中立性の精神に反することになる。他社が一般的に利用できない方法で、顧客へのコンテンツのデリバリを改良し、その取り組みに金を払っているのだから。
同社は反論文書の中で、ネットワーク中立性の支持と、金を払って使用するインターネットの高速レーンに対する反対意見を繰り返している。それにまたNetflixは、歴史を振り返っている。同社は、“FCCが2010年のOpen Internet Orderの公布に際して通信法第706条を利用したことを支持した”。しかし今年の1月になっってネットワーク中立性の旗色が議会や法廷で弱くなってきたため、“Pai委員をはじめとするFCCの人びとは、別の推進策を考えざるをえなくなった”、と今回の書簡の件を指摘している。
【中略】
もっと大きな政治的文脈としては、共和党員であるPai委員がネットワーク中立性に反対であることだ。そこで彼としては、Netflixのようなネットワーク中立性を積極的に支持している企業を偽善者として描き出すことにより、ネットワーク中立性をインターネットの保護という焦点から外して、なにかいかがわしいものとして、一般に印象づけることができる、と考えたのだ。
FCCがネットワーク中立性に関して最終決定をするのは2015年だ。予定では今年だったが、パブリックコメント(公募意見)が予想以上に大量に集まり、問題があまりにも複雑であり、また、あの先日の決定的な結果が出た中間選挙後に政治の雲行きも変わってきた。ネットワーク中立性が最終的にどんな形へとまとまるのか、予断を許さない現状だ。
画像: MARIT & TOOMAS HINNOSAAR/FLICKR Creative Commons 2.0のライセンスによる (画像はトリミングされている)
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))