どの会社も四半期や年間の予算を策定しているだろう。これまではエクセルでこうした作業を行う企業も多かったかもしれないが、エクセルだと時間も手間もかかる。DIGGLEはこの作業を簡単にするサービスだ。DIGGLEを提供するタシナレッジは本日、500 Startups Japan、Draper Nexus、サンブリッジコーポレーション、AS-acceleratorよりJ-KISS型新株予約権方式で総額5500万円を調達したことを発表した。
DIGGLEは特に予算の作成と予算実績対比の部分を簡略化することに注力している。会社の財務担当者がDIGGLEの「予算ジェネレータ」機能をの入力項目に従って平均単価、受注数、受注率などを入力していくと、基本的な予算案を自動で策定する。営業所別や部署別、あるいは経費予算や人件費、マーケティング予算を分けて予算シーツを追加作成できる。
予実管理の面では、予算シートとは別に実績シートを作成する。実績の入力は、各企業がすでに利用している営業管理ツールからエクスポートしたCSVやエクセルを取り込んで作成する方式だ。比較したい予算シートと実績シートチェックを入れると、予実が比較できる。
また、複数のシートを選択すると、各シートの勘定科目を合算した集計結果を見ることも可能だ。例えば、部署別のシートを全て選択すると全社での予実が確認できる。
10人未満の会社なら、予算作成や予算管理はそう複雑ではない。しかし、10人以上の組織に育ってくると人員が増え、一人が担当している案件も多くなると各案件にかかるコストと収益率が不明瞭になってくるとタシナレッジの代表取締役を務める山本清貴氏は説明する。それぞれの社員がどの案件にどれくらい時間をかけているかが分かりづらくなるからだ。
「案件ごとに収益にばらつきが出てきます。案件としては規模が大きくとも、実際のところ収益があがっていないという状態も起こります」。
DIGGLEはそうした状態を防ぐため、会社の予算管理を軸に財務状況を可視化したい考えだ。予算作成や予実管理のデータ作成にかかる時間が削減できれば、予実に差があった場合の分析や戦略の立案といった、もっと事業のパフォーマンスを高める施策に時間を割けるようになると山本氏は話す。
今回調達資金は、人材採用とマーケティングに充てていく。現在、業種別に最適な予算作成のための「業種テンプレート」や複数ユーザーで予実管理をするための権限設定機能などの開発を進めているそうだ。
DIGGLEは2016年12月末からベータ版を提供していて、すでに70社以上が登録しているという。次の数ヶ月内にも正式版をリリースする予定だ。DIGGLEの基本機能は無償で提供し、業種別のテンプレートやデータのエクスポート機能、権限管理機能などが利用できる有料プランを提供する考えだ。価格は月額5万円からを想定しているという。
ゆくゆくは例えば、営業管理ツールや人事労務系サービスともAPI連携できるようにしていきたいと山本氏は話している。
2016年6月に設立したタシナレッジは、 昨年開催したTechCrunch Tokyo 2016のスタートアップバトルのファイナリストに選ばれている。以下の動画はその時のピッチの様子だ。