ヤマト運輸は2020年4月の宅急便やクロネコDM便などの小口貨物の取り扱い実績を発表した。取り扱い個数は1億5599万6436個で前年同期比113.2%。新型コロナウイルス蔓延を受け、全国的な外出自粛要請の中で予想どおり増加している。一方で郵便物と同様にポスト投函が可能なクロネコDM便は、前年比68.5%の6275万6055冊と大幅に減っている。法人需要が高いクロネコDM便は、企業活動の停滞により取り扱い量が減少したと考えられる。
ちなみに同社の2020年1~3月の小口貨物の取り扱い実績は、1月が前年比99.2%の1億3280万9864個、2月が前年比101.7%の1億2809万7812個、3月が前年比103.9%の1億4899万1349個。年度末の3月と年度初めの4月はもともと取り扱い量が多い時期だが、今年はさらに物流量が激増し、業務が逼迫しているのが数字からも見てとれる。4月の前年比113.2%という数字を個数に換算すると約1800万個の荷物を増えたことになる。
取り扱い荷物の内訳を見ると、通常の宅急便と60サイズ以下の荷物を送れる宅配便コンパクトは前年比109.3%の1億3528万3461個だったのに対し、ネコポスは前年比147.6%の2071万2975個と激増。ネコポスはA4サイズまでで厚さ2.5cm以内、重さ1kg以内の荷物を送れるサービス。クロネコDM便と同様に郵便ポストに投函するため再配達が不要な小口貨物で、書籍はアクセサリーなどの発送に適している。こちらは1月は前年比115.0%、2月は117.1%、120.9%と増加傾向が続いていた。
取り扱い量の全体的な増加は、お取り寄せグルメや通販サイトなどの取り扱い量が増加したことが要因として挙げられるが、ネコポスの大幅な増加はフリマアプリ・サービスの存在が大きい。業界大手のメルカリの直近の決算を見ると、2020年6月期を末日とする第3四半期(1~3月)の売上高は533億5000万円で前年同期比142.7%とやはり激増している。ちなみに、メルカリの第3四半期の経常損失は、前年同期比339.0%のマイナス203億2000万円だった。
全国で渦巻く新型コロナ禍で飲食業や観光業の売上が落ち込む中、物流業界では外出自粛、巣ごもり消費増の影響が如実に現れている。