暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年7月19日~25日の情報をまとめた。
次世代Webブラウザー「Brave」と「みんなのコード」が提携、独自ポイントBAPをみんなのコードに寄付可能に
不要な広告やトラッカーをブロックすることで高速ブラウジングを実現する次世代Webブラウザー「Brave」(ブレイブ)を開発・提供するBrave Softwareは7月20日、NPO法人 みんなのコードとのパートナーシップ契約の締結を発表した。両社は、Braveを使用することで報酬が得られるBrave Rewardsやブラウザー「紹介プログラム」などを利用した新しいNPO支援の仕組みを構築する。
みんなのコードは、「全ての子どもがプログラミングを楽しむ国にする」をミッションに掲げ、学校向けプログラミング教材や、先生向けのプログラミング教育の実践事例集の提供など、公教育向けのプログラミング教育の普及に関する取り組みを行っている。
今回の提携によりBrave Softwareは、みんなのコードに対してBraveの「紹介プログラム」と「カスタムホームページ機能」を提供する。これによりみんなのコードは、Braveを通じて、同団体の活動を支援するサポーターから持続的な支援を受けることが可能になる。
具体的には、サポーターがみんなのコードの特設サイトよりBraveブラウザーをインストールし利用することで、みんなのコードはBrave紹介プログラムによりBrave Softwareから紹介報酬を受け取ることができる。サポーターは、みんなのコードの活動を間接的に支援できるという仕組みだ。
またBraveは、Braveが提供する企業の広告を通知、新規タブページを見ることで貯められるBATポイント(BAP)によるリワードプログラムBrave Rewardsを提供している。貯めたBAPは、Braveが認定したクリエイターコンテンツ(Webサイト)に対し、Braveブラウザーからチップとして寄付できる。寄付によるクリエイター支援が可能なのだ。
そして今回、みんなのコードに寄付もできるようになった。BAPは好きなタイミングで好きなだけ、もしくは自動的に毎月一定ポイントを寄付することが可能だ。
Braveは、Google Chromeにも活用されている「Chromium」をベースに開発されたオープンソースのWebブラウザー。特徴的な機能として広告ブロック機能を標準装備し、軽快な動作や匿名性を実現している。また、暗号資産イーサリアム上で発行されたERC-20準拠トークンBAT(Basic Attention Token)を用いたBrave Rewardsの仕組みを備え、ブラウザー利用者はBraveが許可した広告を見ることで報酬としてBATが得られる。ただし2020年7月現在、日本では、改正資金決済法を遵守するためにBATではなくBATと対価のBATポイント(BAP)が使用される。
すでにWindows、macOS、Linux、iOS、Android版が存在し、完全なクロスプラットフォーム化が完了している。各プラットフォームすべてにおいて同じ機能が利用できる。
世界で注目されているBraveブラウザーと暗号資産BAT
Brave Softwareは、高速でプライバシー保護機能を備えるWebブラウザーに、ブロックチェーンのデジタル広告プラットフォーム機能を統合し、前述の報酬などの仕組みで新しいビジネスモデルを構築しようとしているのだ。ユーザー、パブリッシャー、広告主のためになる新たなWeb環境を作り直すことを目指している。
Brave Softwareは2020年6月、Braveブラウザーの月間アクティブユーザー数(MAU)が1500万人を超え、1540万人に達したことをが発表している。MAUは過去1年で約2.25倍増加した。また、日間指標であるデイリーアクティブユーザー数(DAU)は、1年前の200万人から530万人に増えている。その結果からは、Brave Softwareの試みが世界中で支持されつつあることがうかがい知れる。
また、2017年5月にBrave SoftwareがBraveブラウザーで利用できる暗号資産として発行したBATにも注目度も高まっている。現在、BATの使途はBraveブラウザーの報酬としてのみならず、イーサリアムの分散型金融(DeFi。Decentralized Finance)プロジェクトMakerDAOでもステーブルコインDaiの担保金に採用されるなど、その流動性と価値を高めている。
暗号資産BATを新規に取り扱う取引所が日本でも増加
日本国内においても、暗号資産BATを新規に取り扱う暗号資産交換業者が、2020年になって増えつつある。GMOコインが3月18日に、bitFlyerが4月9日、そしてCoincheckが7月21日にそれぞれ取り扱いを開始した。2020年6月15日時点では、BATの時価総額は約344億円となっている。
さらにbitFlyerは7月9日、Brave Softwareの子会社でブロックチェーン関連業務を行うBrave Software International SEZCとの業務提携についての合意を発表した。同社は両社サービスの連携を目指し、Braveブラウザーの暗号資産ウォレット領域におけるパートナーシップを結んだ。今後は、Braveブラウザーのユーザー向けにウォレット機能を共同開発するほか、共同でマーケティング活動を開始することを明らかにした。
国内においても続々と展開するBraveブラウザーおよび暗号資産BATの動向は、要注目のプロジェクトではないだろうか。
新作位置ゲーム「駅メモ! Our Rails」リリース決定!「駅トークン」でトークン化された駅のオーナーに
ビットファクトリーは7月20日、ブロックチェーン×位置情報連動型ゲーム「ステーションメモリーズ!」(略称、駅メモ!)シリーズの最新ゲーム「駅メモ! Our Rails」(略称、アワメモ!)のリリースを発表した。8月3日よりWebブラウザー向けに配信を開始する。「アワメモ!」は、iOS 13.1以降のブラウザー「Safari」、Android 6以降のブラウザー「Google Chrome」でプレイできる。
「駅メモ!」は、端末の位置登録機能を利用してゲーム内の女の子たちと一緒に旅をする、実在する鉄道駅(周辺)を巡る駅収集位置ゲーム。日本全国9100以上の駅を巡って全駅制覇を目指す、人気ゲームだ。
最新の「アワメモ!」は、ユーザーがプレイヤーとしてゲームをプレイするだけではなく、ゲームに参加することで実際の駅を盛り上げることや収入を得ることができるなどの新機能追加により、ゲーム内での行動が現実世界にも影響するゲームになっている。
「アワメモ!」には、「駅メモ!」の既存機能にユーザー自ら駅を盛り上げることができる「フェア機能」、トークン化された駅(駅トークン)を購入し、ユーザー自身が駅のオーナーになれる「ステーションオーナー機能」の2つの機能が追加されている。
新機能「ステーションオーナー機能」は、ブロックチェーン技術により発行される「駅トークン」を購入し、ゲーム内に登場する駅を自分の駅として保有可能。また「フェア機能」では、フェアマスターという新たな役割として、自分が盛り上げたい駅を選ぶことができる。フェアマスターは、ステーションオーナーに利用料を支払い、オリジナルのフェアを開催可能なほか、フェア開催によってゲームイベント運営の一部を担うことができる。
ステーションオーナーは、フェアマスターと一緒に駅を盛り上げることで、対価として、フェアマスターが支払う利用料の一部を得ることができる。購入時価1万円の駅を保有するステーションオーナーが、フェアマスター1名(月額利用料500円)とともに駅を盛り上げた場合、その対価として年額4000円程度の収入(振込手数料を除く)が見込めるという(対価は、シミュレーション上の試算)。ちなみにステーションオーナー機能は、今後実装予定であり、実装されるまでの期間はビットファクトリーがステーションオーナーの機能を担うとしている。
なお、「駅トークン」は「ユニマ – Uniqys マーケットプレイス -」で購入でき、本人の所有物として保有が可能になっている。「駅トークン」は、全国9000駅以上の駅が対象で、2020年秋頃より順次販売予定。「駅トークン」は、購入後も返品可能であり、安心して購入できるとしている(返品の条件について、購入時に必ず詳細を確認すること)。
ビットファクトリーは、モバイルファクトリーの100%子会社。モバイルファクトリーがブロックチェーン関連事業を本格始動するにあたり、2018年7月に新たに設立した。ビットファクトリーは設立と同時に「Uniqys Project」(ユニキス プロジェクト)を発足。各方面から期待が高まるブロックチェーン技術を活用した分散型アプリケーション(DApps)の普及を目標に、DAppsを容易に開発できる環境の提供を目指すなどブロックチェーン技術の普及活動などを行ってきた。Uniqys Projectの一環としてDApps開発ツールキット「Uniqys Kit」をオープンソースソフトウェアとして公開している。
また、ビットファクトリーは新しいゲームの形である「ゲーム3.0」の実現に向けた取り組みを行ってきた。その取り組みの第1弾として、モバイルファクトリーの人気タイトル「駅メモ!」シリーズの最新作「駅メモ! Our Rails」の配信を開始する。「ゲーム3.0」では、ブロックチェーン技術を活かすことで、ゲーム内アイテムがゲームを超えた資産となるなど、既存ゲームの進化が見込めるという。同社は「駅メモ! Our Rails」を通してその可能性を実現していく。
暗号資産NEMを送金すると、レア楽曲を入手できる
東京・青山のクラブ「AOYAMA 0zero」で不定期開催されるミュージックイベント「Wa◉」は、新型コロナウイルスの感染再拡大の影響を受け、8月8日開催のイベントを無観客ストリーミング配信に切替えた。8日20時より25時までオンラインにて開催を予定している。
イベントのオープニング60分を担当するDJ Takamasa Owakiがこの日、新たな試みとして暗号資産NEMによるアーティストへの募金を受け付ける活動を行う。DJ Takamasa Owakiはプレイ中のどこかにQRコードを表示する。
リスナーはQRコードをスキャンし、暗号資産NEMを100XEM(7月24日時点では540円相当)以上送金することで、未販売楽曲「Planet Guitar(Extended Journy) – Takamasa Owaki(CactusExperience)」のダウンロードコードを入手できる。
ダウンロードコードはNEMブロックチェーンの持つ「0XEMの送金にも文字情報を載せる事が可能な機能」を使用し、送金への返信をする形で送られる予定になっている。提供される楽曲は14分を超える長編作品で、今後配信などで販売する計画がない、最新作とのこと。
なお、当日のストリーミング配信のプラットフォーム、アカウントは現在調整中で、最新情報は同クラブイベントの情報サイトより追って詳細が掲載される予定。今回の募金については、NEMブロックチェーンの利用により、募金をする側もされる側も共にプライバシーが守られ、またQRコードを使用することで送金アドレスのミスを防ぎ、より安全に利用することができる。
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