SpaceXが新たにStarlink衛星60機打ち上げ、Starshipロケットは一度に最大400機まで打ち上げ可能に

SpaceX(スペースエックス)が、Starlink(スターリンク)衛星の新しいバッチを打ち上げた。いつものように地球低軌道向けの60機の衛星で構成されており、打ち上げ済みの1000機の衛星コンステレーションに加わることになった。今回の打ち上げは、SpaceXにとって2021年5回目のStarlink衛星の打ち上げであり、トータルでは20回目の打ち上げとなる。

2021年の初めにSpaceXは、払い戻し可能な前払いの予約システムを介して、現在または計画されているStarlinkのサービスエリアへ、誰でもアクセスできるようにした。同社は、このような打ち上げを2021年を通して続け、世界のはるか広い範囲で顧客にサービスを提供できる、衛星コンステレーションを構成することを目指している。以前SpaceXのCOOで社長であるGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏は、同社は約1200個の衛星で世界の多くの地域をカバーできると予想していると語っていたが、現在同社はネットワークの容量と速度を完全に作り上げるために3万個以上の衛星打ち上げを計画している。

SpaceXは、Falcon 9ロケットを使ったStarlinkの打ち上げを順調に進めているが、その一方で衛星コンステレーション成長のキードライバーとしてStarshipにも目を向けている。南テキサスで開発中のSpaceXの次世代ロケット「Starship」は、一度に400個のStarlink衛星を軌道に投入することが可能で、完全な再利用性と迅速なターンアラウンドを考慮して設計されている。

1回のミッションで6倍以上の衛星を打ち上げることができるようになれば、Starlinkネットワークの展開速度や計画の全体的なコストの面で、SpaceX社にとって大きな助けになるだろう(なおここでは、Starshipが量産ロケットとなった際には、Starlinkが一般的に手頃な価格になるとしている彼らのコスト予測が正確であると仮定している)。少なくともそれは間違いなく数年先のことだが、SpaceXは米国時間3月3日に新しいマイルストーンを達成し、それが実現する可能性があることを十分に示している。

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同社の最新のStarship試作機は、米国時間3月3日にこれまでで最も成功したテスト打ち上げを行った。同機はSpaceX社のテキサス州ボカチカ開発サイトから離陸し、高度約3万2000フィート(約9728m)まで飛行した後「フロップ」操作を実行して、垂直方向の軟着陸のために自身の向きを変えた。今回のテストロケットも、着陸後10分以内に爆発を起こしたが、その派手な結末にもかかわらず、今回のテストでは、SpaceXがStarshipを現実のものにするために必要な基本的なエンジニアリング作業の多くが証明された。

Starlinkは数年に渡る巨大な取り組みであり、Starshipの大量生産や飛行が数年先になったとしても、プロジェクト全体にまだ大きな影響を与えられるはずだ。そして、Starlinkが完全に展開され運用が始まった後は、定期的な保守作業が発生する。ネットワーク内の個々の衛星は、実際には最大で5年までの運用ができるように設計されているに過ぎない。そのため運用をスムースに行い続けるためには、定期的な交換が必要となるのだ。

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXStarshipロケット衛星コンステレーション人工衛星

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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