こんにちは、Webコンサルティング事業部の藤沢です。今回は内部リンクの話をしようと思います。
私がクライアントサイトのSEO課題解決のため最も多く提案しているのが内部リンク設計の見直しかもしれません。キーワード戦略にのっとって正しく内部リンク設計をしていけば、ページ本来の評価を得ることができ、そのSEO効果は絶大です。逆にいかに作り込んだWebページでも内部リンク設計をミスってしまっていると検索エンジンから低い評価を受けてしまうことが往々にしてあります。
そこで今回は成功事例を交えながら、改めてSEOにおける内部リンク設計の重要性やポイントについて触れていこうと思います。
事例紹介
まずは実際に私がSEO施策を担当しているECサイトで、内部リンク設計を見直すことで自然検索流入数を大幅に増やすことに成功したクライアント事例を紹介します。
サイト概要
Web上でアンティーク家具を販売しているECサイト。6000点にも及ぶ商品を扱っているほか、家具のレイアウトやおすすめの使用方法を紹介する写真集コンテンツや、家具に関するお役立ち情報を発信するオウンドメディアも展開しています。
クライアントからの要望
サイト内のコンテンツ追加は頑張っているものの、思うようにランキング改善および検索流入の増加に繋がっていかないからSEOで協力してほしい。
施策開始前のサイト状況
以下はSEO施策を開始する前のサイト状況・自然検索トラフィック状況・ランキング状況です。
サイト課題
1.静的なリンクが設けられていないため、検索エンジンがクロールしずらくなっているページ
⇒小カテゴリページ
2.十分に内部リンクを集められていないページ
⇒大カテゴリページ、小カテゴリページ、家具タイプページ、利用シーンページ
3.関連ページへの発リンクが出来ていないページ
⇒商品詳細ページ、写真集詳細ページ、コラム詳細ページ
カテゴリページへの自然検索流入が2.23%と非常に少ない状況でした。
全1,250キーワードで順位を計測した結果、1位のキーワード数は13個という状況でした。
どのようなプランニングをしたか?
キーワード調査の結果、カテゴリページに対応するキーワードに検索ニーズが存在することが分かりましたが、カテゴリページの評価が低かったことでこれらのキーワード帯からの検索流入を集めきれていませんでした。 これがセッションおよび収益を上げきれていないSEO課題の一つと捉え、サイト内部を調査してみたところ、
・カテゴリページへの導線がクロールしにくくなっている
・関連するページからカテゴリページに対して内部リンクを集めきれていない
このようなサイト内部課題が見つかったため、内部リンクの最適化およびリンク設計施策を進めることで、カテゴリページのランキングを改善させ、自然検索トラフィック及び収益の改善を狙っていくことにしました。
実施してきた内部リンク設計施策
おもに以下のようにページ単位で内部リンク設計施策を継続的に進めていきました。
施策内容
1.静的なリンクが設けてクロールを促進
⇒大カテゴリページ、小カテゴリページ
2.関連ページへの発リンクを設置
⇒商品詳細ページ、写真集詳細ページ、コラム詳細ページ
また、このほかにも「内部リンク先のURLの調整」「各ページのtitle・meta description・h1のキーワード調整」「商品詳細ページのコンテンツ追加」についても同時に着手していきました。
施策を進めてきた結果
内部リンク設計を軸にSEO施策を進めてきた結果、1年間で以下の成果を出すことが出来ました。
全体の自然検索経由でのセッション数は193%改善、カテゴリページへの自然検索経由でのセッション数は1,157%改善しました。
カテゴリページへの自然検索トラフィックの推移です。施策開始後少しずつセッションが改善していき、2016年8月から9月にかけて大きくセッションを伸ばすことが出来ました。
ランキング状況も、1位のキーワード数が93個、2位-5位が161個に改善しました。
SEOに取り組むうえで内部リンク設計は非常に重要であることはお分かり頂けたのではないかと思います。
次からはSEOに取り組むうえでの内部リンク設計で抑えるべきポイントについて触れていきます。
内部リンク設計のポイント
内部リンク設計のポイントは「SEO上重要なページに、関連するページから、正しい方法でリンクを集める」ことです。検索エンジンはリンクが多く集まっているページを重要ぺージとして認識しますが、それ以外にもページ同士の関連性やリンク形式も確認し、総合的な評価をしています。
そこで、重要なページに正しく内部リンクを集めるために抑えるべきポイントを以下に書いていきます。
内部リンクの設置場所
まずは内部リンクの設置場所についてです。リンクを設置する場所ごとに考えなければいけないことも変わってきます。それぞれのリンク設置場所では、どのような点を考慮するべきかを見ていきましょう。
グローバルナビゲーション
サイトの全てのページに共通して設置された案内リンクを指します。どのページに訪れたユーザーであってもサイト全体のコンテンツ構成が分かるような構成にするのが望ましいです。
フッター
グローバルナビゲーション同様、サイトの全てのページ下部に共通して設置された案内リンクを指します。主要コンテンツへの遷移や自社で運営する他サイトへ誘導することを目的としてリンクを設置するのが一般的です。
サイドメニュー
サイト構造やシステムの制約にもよりますが、可能であればページ同士の関連性を示せるようにページ毎に内容をカスタマイズするのが望ましいです。サイドメニューがすべて共通のテンプレートになってしまっている状態ではページ同士の関連性を検索エンジンにうまく伝えられない可能性があります。
パンくずリスト
パンくずリストはユーザーに対して、サイト内のどの位置に滞在しているのかを視覚的に示してあげるとともに、検索エンジンにサイト構造を示す重要な役割を果たしています。(パンくずリストが複数ある場合には最上段に設置されているものからサイト構造を把握します)また、パンくずリストの構造をきちんと設計することで、下層ページから多くの関連リンクを重要ページに集められることに繋げられることもあるため、SEO戦略に基づく設計が必須です。
メインコンテンツ内
メインコンテンツ内は検索エンジンがページ内容を把握するうえで最も重要視している場所です。特に商品詳細ページや記事詳細ページといった末端ページからは、関連する一覧ページに発リンクできる絶好のチャンスでもありますので、SEO上重要なページに関連リンクをきちんと返していきましょう。
方法は様々ですが、上の図のように商品概要を表すメインコンテンツ内に関連ページへのリンクを設置する方法などがあります。
パンくずリストやメインコンテンツ内を用いて関連リンクを包括的に設置していきます。
内部リンクの形式
次に内部リンクの形式についてです。Googleの「検索エンジン最適化スターターガイド」にも記載のとおり、出来るだけアンカーテキストを用いてユーザーと検索エンジンにリンク先のページがどんな内容なのかを示すように設定していきましょう。
また、画像でリンクする場合にはalt属性に代替テキストを記述するようにしましょう。
検索エンジンにクロールされにくい場合
重要なコンテンツがクロールされにくい場合には、静的なリンク(<a>タグを用いたリンク)が設置されているかどうかを確認してみましょう。
詳しくは「SEOで本当によく見る”もったいない”内部リンク設計」をご覧ください。
内部リンク設計に適しているタイミングとは
SEOを考慮した内部リンクを設計するのに適しているタイミングはWebサイトのリニューアル時です。
サイト運用フェーズでは、
・システムの制約を受けて十分に変更することができない
・サイト構造を見直さなければ十分な効果が期待できない
ことが多くあるため、やはりサイトリニューアル時にWeb制作会社やシステム会社と十分に連携し、ユーザビリティ、SEOを考慮した内部リンク設計を実装していくことが理想的といえます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?一つ一つの項目がどこかで聞いたことのあるような話で、真新しい話は一切なかったかもしれませんが、十分に内部リンク設計が出来ているサイトが意外に少なく勿体ないなと感じたことと、内部リンク設計を見直すことで大きな成果に結びつく可能性があるという点をお伝えしたかったため、事例を交えて改めてご紹介させていただきました。
実際には内部リンクを集めるべきページの決定など、その会社のビジネスモデルや展開しているサービスによって異なってくるため、リンク設計よりもSEO戦略を考えるほうが難しかったり、サイト規模が大きくなればなるほど重要なページ数が増えていくためリンク設計が複雑化するなど、一筋縄じゃいかない場面もありますが、基本概念として「キーワード戦略にのっとって重要なページに関連リンクを集める」という事は変わりません。
もし内部リンク設計に課題があると感じるようであればこの記事を参考に改善にトライしてみてください。
【家具ECサイトのSEO事例】内部リンク設計でカテゴリページへの検索流入が1,157%改善はナイル株式会社 - SEO HACKSで公開された投稿です。