スコアリングは顧客分析に活用します。数値化することで、リードナーチャリングをスムーズかつ効率的に進めることが可能です。
「スコアリングでは、具体的に何をすればいいの?」
「そもそも、リードナーチャリングにスコアリングは必要?」
このような疑問を持つ方に向けて、スコアリングの特徴や具体的な方法を解説します。
具体的には、
- スコアリングの特徴
- スコアリングすべき理由
- スコアリングの点数をつける要素
- スコアリングのルール決めに役立つ方法
の流れで、スコアリングの実施を迷っている方に必要な情報をまとめています。また、記事後半で「スコアリングを成功させるためのポイント」も紹介しているので、ぜひ最後までお読みください。
スコアリング(リードスコアリング)とは?
スコアリングとは、顧客の属性や行動によってポイントを加算/減算し、顧客の状態を数値化する手法のことです。見込み客や顧客のステージを数値化することで、製品やサービスへの関心・理解度別にアプローチする参考情報となります。スコアリングは、リードナーチャリングで顧客にどんなアプローチをすべきか判断するときの情報として役立つでしょう。
リードナーチャリングは商談につなげるために重要な施策ですが、顧客の自社商品・サービスへの関心度が高い/低いが判断できなければ、アプローチが空振りしてしまう可能性があります。例えば自社商品・サービスへの興味関心度が薄い顧客に対して、商談を設定しようとしても上手くいかないのは明らかです。
一方で、スコアリングで数値化された情報をもとに、自社商品・サービスへの関心度が高い顧客に商談を持ち掛けた場合はどうでしょうか。アプローチ方法にもよりますが、闇雲に営業するよりも商談につながる可能性は高くなります。このように、スコアリングを十分に行うことで、購買意欲の高い顧客を逃さずに営業できるのです。
スコアリングをすべき理由とは?
企業のマーケティング活動において、顧客のスコアリングは非常に有効です。なぜならスコアリングによって、安定的な商談獲得につなげやすくなるからです。
マーケティングにおいて、商品・サービスへの関心が強い「ホットリード」と呼ばれる層は、全体の数%しかいません。つまり、成約のためにすぐアプローチをかける必要がある顧客は、非常に限られているのです。
リード獲得時点でホットリード化していた顧客へのアプローチだけでは、商談獲得の数に限界がきてしまいます。さらに非効率的な営業を闇雲に行うとホットリード以外にアプローチして失注する恐れもあるでしょう。
このように、
- ホットリードの数を増やして、商談に進む顧客の数を獲得する
- 闇雲な営業で、興味関心の薄い顧客にアプローチして失注する可能性が減る
といった点から、スコアリングはとても重要です。
スコアリングで点数をつける3つの項目
スコアリングはマーケティングを行なっていく上で非常に重要ですが、どういったものに点数をつけて顧客を分けていけばいいのか分からない方も多いです。
スコアリングする場合、以下3つの項目に点数をつけます。
これらの項目に点数をつけていけば、アプローチすべき見込み客を特定しやすくなります。それぞれ順番に解説します。
【要素種類1】顧客の属性
顧客の属性とは、具体的には以下のようなものです。
- 企業の属性(企業の規模や業界)
- 企業担当者の属性(役職、導入時期)
例えば企業規模が100人以上と大きいのであれば10点、顧客が役職についているなら5点といった形です。スコアリングを行う際は上記のような加点だけではなく、減点ポイントも考慮することが重要となります。なぜならスコアだけ見ると高得点であったとしても、自社商品・サービスを導入する見込みが低いケースがあるからです。
例えば、
- すでに競合他社の商品・サービスを使っていた
- そもそも対象者が競合他社の担当者だった
などの場合は、自社商品・サービスを導入する見込みが低いでしょう。こういったデータがスコアリングで高得点とならないように、減点するルールなどを設定しておくことが重要です。
【要素種類2】顧客の興味度
顧客の行動から興味関心度を判断し、スコアリングしていきます。顧客の行動としては、以下のような例があります。
- 記事の閲覧
- メールの開封
- 資料のダウンロード
- ウェビナーへの参加
- 広告のクリック
- 問い合わせ
- 無料トライアルの利用
商品・サービスの購入に結びつきやすい行動には、多く加点していきましょう。例えば無料トライアルの利用や問い合わせは、商談につながりやすいので加点が多くなります。
【要素種類3】顧客の活性度
活性度とは、顧客の直近の動きを基準としたスコアリング要素です。購買につながる行動はさまざまなものがありますが、行われたタイミングによっても意味が変わってきます。なぜなら、自社商品に興味関心の高いタイミングで顧客にアプローチすれば、商談につながりやすいからです。
具体的には、以下のような加点・減点基準を設けると良いでしょう。
- 短期間の間に、記事の閲覧数・資料のダウンロード数が多い:+50の加点
- 半年以上の間、連絡・記事の閲覧なし:-20の減点
記事の閲覧や資料のダウンロード数が多いのは、購買意欲の高い行動といえます。しかし、これらの行動が行われたのが半年以上前だと、すでに商品・サービスへの関心を失っていたり、他社の製品を購入したりということも考えられます。逆に記事の閲覧や資料のダウンロードが直近数日前に行われていれば、顧客の活性度=購買意欲が非常に高いと判断できます。
商品・サービスへの関心は、時間が経つにつれて薄れていくものです。スコアリングによって顧客の活性度を判断し、商談へのチャンスを逃さないようにしましょう。
スコアリングのルール決めに役立つ4つの方法
スコアリングのルールは固定されたものではなく、扱う商品・サービス、企業の方針によって変わってきます。そのため、どのようにルールを決めればいいか迷うことも多いでしょう。
スコアリングのルールを決める際は、以下4つの方法が役立ちます。より有効なスコアリングを可能にするにはどうすればいいのか、それぞれ順番に解説します。
【方法1】営業担当者にヒアリング・同行して整理する
普段から顧客と商談やコミュニケーションを重ねている営業担当者に、ヒアリングしたり同行したりするのもひとつの手段です。営業担当者は、現場目線で「顧客がどのようなニーズを抱えているか」「どのような検討プロセスを辿るのか」などさまざまな顧客の行動心理を熟知しています。
営業担当者にヒアリングする項目としては、以下のものがあります。
-
顧客が自社商品・サービスを導入した決め手→どういった課題を持っている顧客を集めるべきかわかる
-
問い合わせや商談につながったきっかけ→何を起点に興味を持ったのかがわかる
-
問い合わせから商談につながらなかった理由の例→マイナスの要因として何があるのかがわかる
仮に自社サービスへの商談につながりやすい企業課題があり、関連するホワイトペーパーのダウンロードをきっかけに商談につながっていたとしましょう。この場合は、対象のホワイトペーパーがダウンロードされた際のスコアリング得点を上げることで、より商談につながりやすい顧客を高得点にできます。その結果スコアリングのルールの精度が上がり、商談化率も上がる効果が期待できるのではないでしょうか。
逆に商談につながりにくくなっているマイナス要因がわかれば、今後マーケティングを行う上での改善策を打つことができます。商談につながりにくい顧客に対しては減点するルールを追加し、事前にフィルターをかけるといったことも効果的です。
営業担当者は顧客と直接関わっているため、データだけでは判断できないニーズも把握している可能性があります。積極的にヒアリングを行い、スコアリングに役立てましょう。
【方法2】導入事例の記事を参考に整理する
企業によっては、営業担当者へのヒアリングや同行が難しいこともあります。その場合は、過去の導入事例の記事を参考にする方法が有効です。
導入事例には、以下のような情報が詰まっています。
- 導入した企業の情報
- サービス導入前の課題
- サービス導入後の解決事例
導入後に得られる上記のデータを活用すれば、スコアリングのルールが決めやすくなります。仮にIT系企業での導入事例が多い場合は、業種として得点を多くすることも有効です。重視する業種を絞るだけでも、スコアリングがしやすくなります。また、どこに営業リソースを割くべきかの判断もスムーズにできるので、見込み客への営業も行いやすいでしょう。
【方法3】コンバージョンポイントを考慮する
商品・サービスのコンバージョンポイントを考慮して、スコアリングの得点を決める方法もあります。コンバージョンとは、サイトに訪問したユーザーがサイト上で問い合わせや、会員登録、資料請求などの「成果」とみなされる行動をとることをいいます。
コンバージョンポイントの一例は、以下のものです。
- 問い合わせ
- 資料ダウンロード
- ウェビナーの申し込み
- メールマガジンの登録
何がコンバージョンポイントとなるかは、企業ごとに違います。もし顧客に求める行動が自社サービス資料のダウンロードなら、それがコンバージョンポイントです。営業担当者への同行や事例記事の分析などを参考に、コンバージョンポイントの優先度などを考慮してスコアリングの得点を決めましょう。
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【方法4】過去に商談につながった顧客の行動を整理する
これから商談につなげる顧客だけではなく、過去商談につながった顧客の行動を参考にするのもおすすめです。商談につながりやすい行動のきっかけを見極めやすく、スコアリングを調整してマーケティングに活かせるでしょう。
例えば直近1週間前よりも、問い合わせや資料請求などの商談につながるアクションが増えている顧客がいるとします。過去に商談につながった顧客の行動と同じ資料などをダウンロードしていた場合は、商談につなげるためのアプローチをすべきだという判断が可能です。
また、過去の事例をもとにして、さらに商談につながるよう導線を改善することもできます。ユーザーの目的やニーズを分析できれば、商談に誘導する対策も打ちやすいでしょう。商談につながる流れを整理しスコアリングに応用できれば、商談率が上がりやすくなります。現在の顧客と並行して、過去の事例からもスコアリングすることをおすすめします。
スコアリングを成功させるために気をつけたいポイント2つ
スコアリングをするだけで、必ずしも成果が上がるとは限りません。解釈や方法を誤れば、リードナーチャリングの成功に役立てられなくなるので注意が必要です。
スコアリングを行う際は、以下2点に注意することをおすすめします。それぞれ何に注意すべきか、詳しく解説します。
【ポイント1】スコアが高いという理由だけで、アプローチをかけない
「スコアが高い」という理由だけで、セールスをかけるのはおすすめできません。
「商談につながる顧客を見極めるために、スコアリングしていたのでは?」と思った方もいるかもしれませんが、それはあくまでも「スコアリングの精度が高くなったとき」である点に注意が必要です。
例えばスコアリングで減点のルールを決めていない場合は、
- 競合他社の担当者
- 半年前に資料請求していた顧客
などが高得点となってしまう可能性があります。
スコアが高い顧客を一覧化できたタイミングで、「アプローチすれば商談につながりそうか」を見極めることが重要です。
- 直近の顧客の動きから逆算し、自社商品・サービスへの興味がありそうか
- 過去導入した企業などの情報を参考に、商談につながりやすそうか
など、スコアリングの情報を参考にしつつ商談に進めるアプローチをすべきか判断しましょう。またこのタイミングで、「スコアは高得点だが、商談には進みづらい顧客」が多く混在している場合は、その顧客をフィルタリングするルールも検討するのがおすすめです。
スコアリングにおいて商談につながりづらい顧客の得点を下げるルールがあれば、スコアリングの精度が高まります。
【ポイント2】適切なKPIを設定して管理していく
スコアリングを行う際は、適切なKPI設定(事業目標を達成するためのプロセスを数値で評価したもの)にもとづいて管理しましょう。
スコアリングを設定しても、適切に数値を管理していかなければ効果が上がりにくくなります。何をKPIとするかは企業によって異なりますが、主にメールかセミナーであることが多いでしょう。そこでメールやセミナーでKPIになる数値項目を、以下の表にまとめました。
メール
|
|
セミナー
|
|
上記のように、具体的な数値化で判断できるKPIを設定することが重要です。
リードナーチャリングにおけるKPI設定について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。メール・ウェビナーなどに分けて、何をKPIとすべきかの例も紹介しています。
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スコアリングは、商談化率を上げる重要な施策の1つ
スコアリングを行うことで、最も営業リソースを割くべき顧客層が見えてくるため、商談数も増やしやすくなります。スコアリングで重要なのは、適切な得点ルールと数値化した後のデータ分析です。この2点を誤ってしまうと、スコアリングの効果を活かせません。この記事の内容を参考にして、効果的なスコアリングとリードナーチャリングを実施してください。
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