次に紹介するのは、アユダンテ株式会社の安川洋氏である。お題は、
である。
一度だけアユダンテの方とはお話をしたことがある。
真性のホワイトハットSEOであり、システム連携といった難易度の高い案件などに参画し技術力で食っている会社であるらしい。
多くののSEO業者はホワイトハットと言いつつ、実際話を聞いてみると、
「やっぱり被リンクですよ」
ってな感じが普通であるため、かなり驚いた記憶がある。
その会社の代表が安川氏であり、やっぱり否が応でも期待するところであったが、期待を裏切らずセミナーの内容は非常に濃いものであった。
惜しむらくは時間が押していたことと、元々の持ち時間が少なかったため、話された内容を頭のなかで理解するための時間が取れなかったことが残念だった
さて、本題だ。
海外レディースファッション通販サイトWajaの事例でECサイトにおけるSEOの急所について語ってくれたのがこのセミナーである。
何に対してオプティマイゼーションするのか?
- ユーザーの視点
- 検索エンジンの視点
この2つの視点がある。
※情報供給者の視点で考えてはいけない。
ユーザーは意図を検索キーワードに込めて検索を行う。
検索結果に表示される説明に検索意図と合致するページがあればクリックするし、なければ戻るボタンを押す。
「H&M」というキーワードで検索した場合の例。
検索結果はよく対策されている。納期の説明も書かれているのがよい。
サイトに来訪したユーザーの意図
- キッズの商品はどこかな
- H&Mのドレスがほしいんだけどな
といったニーズがあって来訪している。
それらのニーズに答える選択肢があるのであれば、ファーストビューの中にクリックできる選択肢を入れ、ユーザーを適切に誘導できるようにする。
そうすればGoogleもそれを認識してサイトリンクに表示するようになる。
・キーワードが重要
子供服を売っているのであれば、「子供服」というキーワードで最適化を行うべきだ。
「キッズ」というキーワードを使うと、多くの検索ニーズを取りこぼしてしまう。
しかし、キーワードを組み合わせた時に、「ブランド名 キッズ」の方が「ブランド名 子供服」よりも検索数が多い場合もあるためチューニングが必要だ。
・検索結果を見て買いたくなるか
・ファーストビューに、ユーザーが最初にしたくなる絞り込みが表示されるか
※コーディネート、といったような直接的にコンバージョンに結びつかないキーワードは今回の対象にしない。
キーワードの種類ごとにコンテンツと施策を考える
- ビッグキーワード(例:海外ファッション/ファッション通販)
施策すべきページ:トップページ - ブランド名(例:カルバンクライン/ケイトスペード)
施策すべきページ:ブランドページ
コンテンツ:ブランド名は商品の羅列になりがちだがSEOを考えるとそれだけでは弱い。
ケイトスペードと検索した人に対して、ケイトスペードの商品を数千羅列したようなページを出すのがいいのか?っていう話だ。
ブランド名を検索する人はそのブランドの歴史といったものを知りたい人もいるわけで、商品情報だけではなくブランドについての解説といったコンテンツも必要だろう。商品のランキングといったコンテンツもよい。 - アイテムカテゴリ(例:ダウンコート/財布)
施策すべきページ:アイテムカテゴリページ
コンテンツ:そのアイテムにおけるトレンド、ランキング、商品情報 - ブランド・アイテム掛けあわせ(マックスマーラー ダウンコート/ケイトスペード 財布)
施策すべきページ:クロスカテゴリーページ(ブランドとカテゴリをかけあわせたもの)
コンテンツ:海外ファッション通販のメリットなど
クロスカテゴリにおいてどっちの軸を優先に考えるべきか?
「ケイトスペード バッグ」「バッグ ケイトスペード」
通常は前者になる。ブランド名の方がユーザーに対するコミットメントが強いからだ。
ブランドはコンバージョン性行が非常に高い。
ブランドにも、アイテムにも強豪は多くどっちも重要。
有名なブランドならブランドを優先し、ニッチなブランドであればアイテムを優先すべき。
ブランドとは?
ブランドとは指名で購入されるということ
ブランド名が命。「トリーバーチ」なのか「Tory Burch」
日本語で検索されることが多い。アルファベットは綴りが長くなると、アルファベットで検索されることはまずない。
「トリーバーチ」といったように検索される。
ブランドの並べ方について
アルファベット順でよいのか?
人気のブランド、SEO的に重視すべきブランドをフィーチャーするようにする。
これらの特別なブランドについてはフラグを立てて(他のデーターと違うことをデータ項目として持たせておくこと)前に並べる、複数のページで表示されるといった対策が必要だ。
お店でも売れ筋を全面に押し出して陳列するのと同じである。
勝てるキーワードを選ばなければならない。
例えば、「ワンピース」1語、これで勝てるか?
ワンピースは漫画のワンピースが検索結果の多くを占めてしまうから、これに勝つのはまず無理だろう。
そこで「ワンピ」といったキーワードを考える。この検索結果にはワンピースは混ざらない。
でっかいキーワードで無理矢理1位にしようすることは得策ではないのだ。
巨大なワンピースジャンルのなかにも宝物がある。
「マキシワンピース」「マキシ丈ワンピース」「リネン ワンピース」「フォーマル ワンピース」
こんなキーワードである。
(「リネン」は素材だよね?カテゴリじゃないんじゃない?そんなこと気にしなくていい)
属性カテゴリとは・・・レディース、メンズ、子供服、ベビー服マタニティなど
基本的にはレディースとメンズはユーザービリティ的に分けたいが、検索数が少なくSEOの観点におけるキーワードとしては優先度が低い。
検索数の多い子供服・ベビー服を第一階層に置き、レディースとメンズはアイテムで絞り込んで、その後の絞り込みとしたほうがよい。
絞込階層の例)
Tシャツ -> メンズ
子供服 -> Tシャツ
カテゴリで絞り込んでいくと、特定カテゴリが多すぎたり、少なすぎたりしてバランスが悪くなることがある。
統合する・分割するなどしてアイテム数のバランスを整える必要がある。
複数のカテゴリを指定して絞り込んだ場合の表示結果。
絞り込みの要素は2つがよい。3つ以上の絞り込みを使う場合には細心の注意が必要になる。
存在しないカテゴリを作らないように注意すること。絞込んだ結果が存在しないクロスは作らないようにする。
リンクがグレーアウトまたは非表示といった処理を行う。また、絞り込み結果が少ないものは他のカテゴリに統合する。
4つ以上の絞り込みを行う場合は、ファセットナビゲーションを用いることになるが、階層構造を検索エンジンに伝えることができないため用いないほうがよい。
絞り込みの主軸を考えることが大切。
最優先となる主軸はブランドを持ってくるべき。URLもパンくずリストも。
例)
URL: /brand/handm/t-sharts
パンくずリスト: ブランド >> H&M >> Tシャツ
- ユーザーが「マンゴ」と検索した場合
どの「マンゴ」のことか分からないなあ。取りあえずは検索結果の中に少しずつ色々入れたほうがいいな。 - クロール中にトレンチコートをオススメ順に並べたページと価格の並べかえを見つけた。
どっちも検索結果に表示するのはユーザーの利便性が下がるからどっちかだけにしよう。 - クロール中に似たような大量のページを見つけた
いちいち重複を確認するのも大変だから、サイト全体が低品質だってことでいいとしよう。
1サイトのコンテンツボリュームに対するGoogleの評価価値のこと。
PageRankが高いとこれが一般的には大きいと考えられる。
(※筆者注:クロールバジェットについてはWeb担当者Forumのパンダ・アップデート後の重複コンテンツを知る – 重複コンテンツ対策完全ガイド #1に詳しい)
クロールバジェットに対してはこれを増やす、節約する2つのアプローチがある。
- 自然なリンクを増やすことで、サイト価値を増すことでクロールバジェットを増やす。
- 価値のないページをクローリングさせないことで、クロールバジェットを節約する。
あれもこれもcanonicalってやめて欲しいって考える。
どれもこれもcanonicalってなっているとせっかくクローリングしたのに、その処理が全部無駄になってしまう。
間違えて使うぐらいなら使わない方がよい。
canonicalを使わなくても、重複コンテンツの排除は可能だ。
検索キーワードにならない並べ替えの表示結果はAjax、FORM POSTなどを使ってインデックスさせないようにする。
URLにパラメータを持たせるのではなく、Cookieを使用する。
といったような方法を用いることで、canonicalを使わなくても重複ページを回避することが可能だ。
商品数がゼロのページ。
並べかえ、一部の絞り混み、おすすめ順のページと安い順のページはほぼ確実に重複になる。
絞り込みの順番が違うことにより異なるURLが生成される場合は非常に危険。
- 階層を強く意識したURL
絞りこみの主軸をメインにURLを構築し、パンくずもこれに合わせる(前述の通り)。これによって検索エンジンが主軸を重要だと認識する。 - ページネーション
1ページ目
/brand/handm/shirt/
2ページ目
/brand/handm/shirt/2/
最後は/で終わるようにする。実装する技術要素に依存しなくなる。
.php .asp .htmlといった拡張子がつくようなURLにすることは好ましくない。
PHPで実装されていたサイトを、別の言語で実装し直すとURLが変化してしまったりする。
1ページ目に戻った時
◯ /brand/handm/shirt/
× /brand/handm/shirt/1/
1ページ目に戻るときは、/1/ にならないようにする(重複コンテンツになってしまう)。 - 絞り込み
主な絞り込み条件にならない条件をURLに反映させない。
例)/color/red/,/size/m/
色とかサイズといった条件で検索する人はいないので、上記例のようなURLは存在させないほうがよい。 - クロールさせないテクニック
・robots.txt 特定のページだけを除外しようとするのは面倒
・nofollow,noindex クロールバジェットの節約効果が低い
・Ajax
・FORM POST
・ウェブマスターツール 他の手法と併用可。しかし、設定ミスなどでまとめてインデックスされなくなるなどの問題もある。