仕事用スペースのレンタルサービスを提供しているBreatherは、少し変わったマーケティング戦略の一環として「Nope Button(いいえボタン)」と呼ばれるChromeのプラグインをリリースした。
このプラグインの目的は、Breatherの貸切スペースを使っていない人にも、仕事を邪魔されないような手立てを提供することだと彼らは話す。オープンスペース型のオフィスというのはスタートアップ(そしてスタートアップ以外の企業でも)一般的になってきており、一日の業務の中でさまざまな会話に引っ張り出されてしまうことがよくある。
Nope Buttonは、そんな状況から人を救い出すためのプラグインだ。
このプラグインの使い方は次の通りだ。
ユーザーはNope ButtonをChromeにインストールすると、携帯電話の番号を入力するよう求められ、その後「N」と書かれた大きなNope Buttonがブラウザの右側に現れる。あとは、オフィスで誰かが新しいタスクをお願いするため、もしくは単にあなたに話かけるために近づいてきたら、そのボタンを押すだけで良い。
ボタンを押すと、自動的に携帯に電話がかかってくるので、ユーザーはその会話から「脱出」して仕事に戻ることができるようになっているのだ。
電話の内容は、映画「マトリックス」の印象的なシーンにインスパイアされているという。こちらがその内容だ。
こんにちは。3つ数えたら、手を口にやって何か悪いニュースを聞いたように驚いた表情を作ってください。悲しい顔ではなく、心配しているような感じです。それでは、1、2、3。
恐らく同僚は、あなたの顔を見つめていることでしょう。そうしたら、同僚に向かって手を降って、携帯電話を指し示してください。きっとその人は立ち去るでしょう。まだあなたのことを見てるんですか?しょうがないですね。軽く笑い声をあげて目を回し、肩をすくめながらその人に向かって微笑みかけてみてください。そろそろ何が起きているかその人もわかるでしょう。
まだいるんですか?そうですか。それでは、今から私が言うことを真剣にちょっと心配したトーンで繰り返してください。「うん、もちろん今話せるよ。どうしたの?」これできっとうまくいくはずです。
どうやらあなたは職場でなかなか業務に集中できないようですね。もしもそうなら、いい場所を知っています。でも、まずこれだけ聞かせてください。本当にあなたは集中できる環境を求めていますか?Breatherは、オープンオフィスの問題点や気が散るような日頃の出来事からあなたを解放する、安全で静かな執務スペースです。
割引コードもありますが、これを使うかどうかはあなた次第です。コードはNOPE。この割引コードはBreather.comで使えます。それでは。
このプラグインにはいくつか問題がある。
あなたの上司や先輩が、何かを聞きにデスクの後ろから近づいてきたとして、もしもあなたがブラウザのボタンをクリックしまくっていたら、失礼な印象を与えてしまうだろう。
さらに上司や先輩が話そうとしているのに、電話を優先するというのもちょっと問題だ。
そして最後に、誰かが話しかけるたびにあなたの携帯電話が鳴っていれば、さすがに同僚もあなたがChromeのプラグインを使って何かしていると感づくだろう。
そうは言っても、このプラグインからはBreatherのマーケティング戦略の独創性が伺える。Breatherのサービスを知ってもらうという意味では面白い試みだし、開発にそこまでお金やリソースを割いていないとすれば、地下鉄広告のような既存のマーケティング施策よりもよっぽど良いかもしれない。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)