通常、アップルが確立された市場にあとから参入することは、既存プレーヤーに破滅をもたらす傾向があるが、アップルの最新のデジタルワークアウトサービスであるApple Fitness+について、投資家は他社の勢いを奪うことをそれほど心配しているようには見えない。
その一部は、アップルの新製品と新サービスに対する期待値が、すでにこれらの銘柄の価格に織り込み済みだったのかしれない。Fitness+は先月のBloombergのレポートで噂されていたが、本日発表されたサービスの詳細はほとんど公表されておらず、PelotonやFitbitの提供するサービスと同じように見えるが、もちろんApple Watchのハードウェアを完全に活用するものになるだろう。なお、サービスの開始は2020年の末に予定されている。
オンラインフィットネスのPelotonはすでに素晴らしい1日を過ごしている。現在株価は5%以上アップ。アップルのFitness+のプレゼンテーション中に一時的なヒットとなり復活した。同社の株価は現在、2020年に191%という驚異的な上昇率を記録している。
一方ウェアラブル端末大手のFitbitの株価は、日中取引では変動は見られなかった。同社は先月Fitbit Premiumサービスをローンチしたが、株価は年初から横ばいだ。
この市場に参入しているフィットネス企業にとっては状況はさほど変わっていない。今年に入ってから株価がほぼ半減したWeight Watchers International(ウェイト・ウォッチャーズ・インターナショナル)は1%未満の下落となり荒れた1年だったが、回復の兆しを見せているPlanet Fitness(プラネット・フィットネス)は記事執筆時には5%近く上昇していた。
なぜ全体的にあまり動きがないのだろうか?現在アップルは、同社のサービス事業における多くのデジタル市場への参入を進めている。 そしてその広がりは業界支配への注力を弱める可能性がある。米国では「Apple One」のサブスクリプションにApple Fitness+がをバンドルしていることから、消費者はまずは別のサブスクリプションを辞めずに、月額9.99ドルのApple Fitness+、もしくは月額29.95ドルApple One Premiewに加入しなければならない。これはコスト的に高いハードルかもれいない。その一方で、一旦加入してしまえば、ライバルのフィットネスサービスに目を向けなくなるだろう。
アップルを過小評価することは決して賢明ではないが、同社はいくつかのデジタルサービスを始動させようとする前例のない立場にある。少なくともしょっぱなからスラムダンクを決めたわけでない。
画像クレジット:champlifezy@gmail.com / Getty Images/ Getty Images
[原文へ]
(翻訳:TechCrunch Japan)