脅威! ピンタンブラー錠を瞬時に解錠できるバンプキーが3Dプリンターで簡単に作れる

バンプキーというのはロックスミス(または悪い奴)が使う非常にシンプルな解錠ツールだ。バンプキーは錠前の種類に合わせていちいち作る必要があるため、多種類の錠前をバンプキーで開けるには相当の手間がかかった。しかし3Dプリンターのおかげでもうそうではなくなったかもしれない。

下のビデオにはJos WeyersとChristian Hollerが標準的な錠前にプラスティックのバンプキーを差し込みハンマーで軽く叩いて繰り返し解錠するところが撮影されている。2人は鍵穴の写真を撮るだけでバンプキーを3Dプリンターで出力する方法を編み出した。出力されたキーブランクのプラスティックに慎重にいくつかの刻み目を入れるだけでバンプキーの出来上がりだ。

鍵穴にバンプキーを差し込み、軽く回しながらハンマーで叩くと簡単に解錠される。

この2人は別にこの方法でオフィスや家に忍び込もうとしているわけではない。逆に普通の錠前がいかに頼りにならないものか警告を発しているのだ。カメラと3Dプリンターさえあればどんな鍵でも開いてしまうというのは怖い話だ。

via Wired

〔日本版〕バンプキーというのはリンク先の説明にもあるように、ピンタンブラー錠に差し込んで軽く叩くことによって2分割されたピンを上に飛ばすツールだ。飛ばされたピンが下がってくるとき、上下のピンの間に一瞬隙間ができる。解錠する方向にバンプキーに軽く圧力を掛けていると、このピンの隙間がシアライン(錠前の固定されたケースと回転部分の接する線)を通るときに回転が始まり解錠されてしまう。

ピッキングガンに似ているが全部のピンを一度に解放できるので時間がかからず、技術もほとんどいらない。Wikipediaには「現在、日本で市販されている錠前はバンピング対策ずみ」とあるが、対策にも強弱があり、2005年以前に製造された錠前は未対策のものが多いようだ。

ただバンプキーの断面形状は鍵穴の写真からデータを取れるだろうが、キーの長さと刻み目の数、適切な深さは錠前の種類ごとに異なる。このデータがあれば3Dプリンターで完成版のバンプキーを出力できるが、データがない場合は手作業で試行錯誤するか同種の錠j前を分解して測定することになり、かなりの手間がかかる。

3Dプリンターで銃を作るというのは話題としてセンセーショナルなだけで実用性は低いが、もし未対策のピンタンブラー錠のバンプキー作成データがネットに出回ると、その被害は非常に深刻なものになる可能性がある。(合鍵作成業者は必要なデータを持っている)。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+