Collective(コレクティブ)は、開発、プロダクトデザイン、デジタルマーケティング、データ戦略など、フリーランスとして働くことの意味を再定義しようとするフランスのスタートアップだ。同社は、複数のフリーランサーがチームを組んで、同じプロジェクトに取り組むことができるようなプラットフォームを構築した。
ポイントとなるのは、それらのチームが独立したフリーランサーであり続けるということだ。彼らは同じ会社のために働いているのではなく、あくまで同じプロジェクトで働いているだけなのだ。そして、仕事が終わると、全員が請求書の一部を受け取ることができる。
Collectiveは、スタートアップ企業であるeFounders(イーファウンダーズ)の支援を受けて設立されたが、Blossom Capital(ブロッサム・キャピタル)が800万ドル(約9億円)のシードラウンドを実施した。また、多くのビジネスエンジェル投資家がこのスタートアップに投資している。フリーランスの仕事でCollectiveを利用しているフリーランサーの中には、Collectiveに投資している人もいる。彼らは自らお金をかけているのだ。
フリーランサーのためのプラットフォームは決して新しいものではない。フランスに拠点を置く開発者の多くは、Malt(モルト)やComet(コメット)にすでに慣れ親しんでいることだろう。しかし、Collectiveはこれらの市場と真っ向勝負するつもりはない。その代わりに、Collectiveはフリーランサーのチームのみを受け入れている。それは、スクワッド、スタジオ、フラッシュチーム、コミュニティなどだ。
共同設立者兼CEOのJean de Rauglaudre(ジャン・ド・ラグラードレ)氏は「私たちは、独立したコレクティブ(集団)に特化した初のSaaSプラットフォームを構築しています」と語った。同氏は、伝統的な開発会社と比較した場合のコレクティブの利点を挙げてくれた。
同氏によると、フリーランサーのチームは通常、代理業者に比べて安価だ。代理業者の場合は固定費がかかるからだ。一方フリーランサーも、健康保険や年金などの費用を払わなければならないのは事実だ。基本的には、コレクティブは同じ福利厚生を共有しないので、同僚グループという考え方に関する個人主義的な考え方になる。
しかし、それを気にしないのであれば、他にもコレクティブにはもっと明らかなメリットがある。例えば、コレクティブに参加すると、副業として自分のプロジェクトに取り組むことができるので、よりフレキシブルな働き方ができる。また、一度に複数のコレクティブに参加することもできる。
同社は、フリーランスに必要なツールを提供する。例えば、プラットフォーム上でコレクティブを管理することを選択した場合、単一の請求書を作成して顧客に送信することができる。顧客は請求書を一度だけ支払えばよい。支払いの分割や各アカウントへの追加は同社が行ってくれる。
また、Collectiveは「Portage Administratif(ポータジュ・アドミニストレーション)」と呼ばれる特別なステータスを利用している。これにより、同社は合法的に請求書を発行し、チームを代表するものとして名乗ることができるのだ。一方、フリーランサーは自分で法人格を選ぶことができる。
管理業務に加えて、同社はマーケティングツールも提供したいと考えている。例えば、軽量のコンテンツプラットフォームを開発し、各コレクティブが独自のブランディングを行い、仕事のポートフォリオを見せることができるようにしたいと考えている。
Collectiveは、フリーランスに支払われる請求額からわずかに手数料を引く。もし顧客がCollectivを通して直接来たのであれば、同社はより多くの手数料を要求することになるだろう。すでに何百社もの企業がコレクティブと仕事をしており、この仕組みはうまく機能しているようだ。
コレクティブのガバナンスシステムを解明することも興味深いことだ。従来の民間企業とは異なり、コレクティブは誰も「所有」していないからだ。つまり、次の仕事や報酬システムを選択する際には、誰もが発言権を持つことになる。
多くのDAO(分散型自律組織)は、重要な意思決定をブロックチェーン上のトークンに依存している。Collectiveでは、ブロックチェーンは関係ない。そして同社は、コンセンサスを得るのに必ずしもブロックチェーンが必要ではないということを証明してくれているだろう。
画像クレジット:Nathan Dumlao / Unsplash
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(文:Romain Dillet、翻訳:AKihito Mizukoshi)