遺伝子治療に特化した大手バイオテクノロジー企業のElevateBioは、シリーズCラウンドで5億2500万ドル(約573億円)という巨額の資金を調達し、2020年完了したシリーズBの1億9300万ドル(約211億円)の資金を倍増させた。今回の資金調達は既存の投資家であるMatrix Capital Managementからのもので、新たにSoftBank Vision FundとFidelity Management & Research Companyが加わり、ElevateBioの研究開発と製造能力の拡大を支援し、同社の研究に基づく新たな企業やパートナーシップのスピンアウトを継続するために使われる。
マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするElevateBioは、細胞および遺伝子治療の学術的な研究開発の世界と、商業化や生産規模の製造の世界とを橋渡しするために設立された。同社は特に重度あるいは慢性疾患の治療において、細胞および遺伝子編集を活用した治療法の開発で行われている有望な科学治療を市場に投入するための、より効率的な手段の必要性を認識している。ElevateBioのビジネスモデルは自社の治療法を開発・商品化することに加え、学術研究機関や他のバイオ企業と長期的なパートナーシップを結び、自社の技術を市場に投入することにある。
この目的のためにElevateBioは、特定の治療法に特化したスピンアウト企業を頻繁に設立し、新しい事業ではそれぞれ特定の治療薬に焦点を当てている。同社はこれまでにAlloVir(ベイラー医科大学との提携)、HighPassBio(遺伝子編集会社Fred Hutchinsonとの合弁事業)、Life Edit Therapeutics(AgBiome社との提携)の3社を発表している。ElevateBioによると他にもスピンアウトされた企業があるが、まだ公表されていない。
予測されていたように、ElevateBioは世界的なパンデミックとその影響によってバイオテクノロジー投資に対する需要が高まったことから、恩恵を受けたようだ。同社のスピンアウト企業であるAlloVirは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応するT細胞療法の候補を研究しており、これは患者のSARS-CoV-2に感染した細胞を排除して疾患の拡大を遅らせ、その重症化を軽減するのに有効である可能性がある。
カテゴリー:バイオテック
タグ:ElevateBio、資金調達、遺伝子、SoftBank Vision Fund
画像クレジット:Bloomberg / Getty Images
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(文:Darrell Etherington、翻訳:塚本直樹 / Twitter)