日本の精神を体現した持続可能で高品質な製品やブランドの成長と海外進出を支援するForest

COOの西澤正文氏、CEOの湯原 伸悟、投資家のMichael Takahashi(マイケル・タカハシ)氏(画像クレジット:Forest)

日本は、古来より伝統的な美術工芸品の発祥の地だ。熟練したの職人技、細部に至る細心の注意、デザインと機能のバランスがあいまって、陶磁器、伝統的織物、和紙、木工、ガラス、弁当箱など日本独特のさまざまな製品を生み出してきた。

こうした職人技は世代を超えて受け継がれ、現代の日本に生きている。しかし、販売に成功するためのスキルとツールを持たない職人たちは、目まぐるしく変わる21世紀のビジネス環境から置き去りにされている。

近年、安い量産品から個人のニーズやライフスタイルに合う多様化した製品へとシフトする消費者需要に答えるために、数多くのeコマース起業家が独自の製品やブランドを立ち上げ始めた。

日本のeコマースアグリゲーターであるForest(フォレスト)は、日本の精神を生かした持続可能で高品質な製品とブランドを見出し、テクノロジーの力を使って、その成長と国際市場への参入を支援することを目指している。

米国時間11月24日、Forestは9億円のシードラウンドをThe University of Tokyo Edge Capital Partners(UTEC、東京大学エッジキャピタルパートナーズ)およびNordstar Partners(ノードスター・パートナーズ)のリードで完了したことを発表した。

同社は新たな資金を用いて、起業家たちによって注意深く育まれ、集められてきた日本の300以上のeコマースブランドを買収する計画だ。Forestは、デジタルマーケティング戦略を大規模に適用することで、データ分析を通じて販売を最適化し、在庫計画を強化するとともに、eコマースの国境を超えた拡大を支援する。

現在Forestは最初の買収案件をまとめているところだ。今後も、売上100万ドル(約1億2000万円)から500万ドル(約5億8000万円)のブランドを探し続け、2022年には売上1000万ドル(約11億5000万ね)以上の企業を買収する目標だと、ForestのCEO湯原伸悟氏がTechCrunchに話した。

同社はさらに、2000~3000万ドル(約23億1000万〜34億6000万円)のエクイティおよびデットプロバイダーからの資金調達を2022年前半に行う予定だと湯原氏はいう。

Forestは、Amazon(アマゾン)、Rakuten(楽天)、ZOZOTOWN、Yahoo Japan(ヤフー・ジャパン)、Shopify(ショッピファイ)などのマーケットプレイスに着目している。

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2021年7月に湯原氏とCOOの西澤正文が共同設立したForestは、国際市場ではRainforest(レインフォレスト)、Una Brands(ウナ・ブランズ)、Thrasio(スラシオ)などのeコマースアグリゲーターと競合する。Forestは、初めての日本市場に特化したアグリゲーターだと主張する。同社は当初日本市場に焦点を合わせていることから、RainforestやThrasioを純粋なライバルとは見ていない、と湯原氏はいう。

Thrasioは3月に、Amazon Japanなどのeコマースプラットフォームで販売されている日本のブランドや製品を買収するために、日本支社を立ち上げた

日本の2020年のeコマース市場規模は1650億ドル(約19兆円)になると日本の経済産業省の報告書は推計している。

「Forestへの投資は当社のITセクターへのシードラウンド投資の中で最大規模です。かつて私は家族経営のアパレル事業を経営し、中小企業の苦悩と限界を実体験してきました。Forestならこうした問題を解決し、テクノロジーの力を通じてそれらの企業の可能性を引き出すことができると固く信じています」とUTECのパートナー、坂本教晃取締役が語った。「この魅力的な市場機会に挑戦する経験豊富の創業者たちと仕事をすることは楽しみであり、リードインベスターの1社として参加できることを光栄に思います」。

「Forestという、日本のニッチなブランドを買収してスケーリングする大きなチャンスを利用する優位な位置にいる企業に投資できることを大変喜んでいます」とNordstarのマネージングパートナー、Ole Ruch(オレ・ルッチ)氏はいう。

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(文:Kate Park、翻訳:Nob Takahashi / facebook