Zoomのセキュリティ顧問が暗号技術開発のKeybaseを買収した狙い

Zoomはセキュリティ上の弱点を修正するために同社の創業者でCEOであるEric Yuan(エリック・ユアン)氏直属のコンサルタントとして元Facebookのセキュリティ専門家だったAlex Stamos(アレックス・スタモス)氏と契約した。Zoomに明確かつ首尾一貫したセキュリティ戦略を与えることが目的だった。

ビデオ会議をエンドツーエンドで強固に暗号化することがスタモス氏のアドバイスの1つであり、これが米国時間5月7日朝に発表されたKeybaseの買収として実現した。

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スタモス氏はこの買収の背景や意図に対するTechCrunchの取材に「実はZoomが望んでいたようなレベルのエンドツーエンドの暗号化プロダクトは誰も作っていなかった。つまりZoomに導入してサービスを暗号化できるような既成のプロダクトは市場に存在しなかった。Zoomがエンタープライズ向けビデオチャットを暗号化しようとするならゼロからスタートしなければならなかった」と語った。

ZoomがKeybaseを選んだのはファイルやチャットの暗号化で同種の問題に十分経験を積んでいるからだった。このエンジニアチームならZoomの問題解決にすぐに役立つと考えたわけだ。

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現在進行中のプロジェクトなのでKeybaseによる暗号化がいつ一般に利用できるようになるか、正確な期日はまだ分からない。しかしスタモス氏はZoomは5月22日に暗号化計画の概要を発表する予定だと述べた。この概要をたたき台として広く意見を求め、設計を最終決定するという。

当初の目標は、エンドツーエンドの暗号化の採用によりセキュリティを確保したZoomミーティングの新しいバージョンをリリースすることだという。 暗号化はまずZoomクライアントあるいはZoom対応ハードウェアを使用している場合のみ利用できるようになる。つまり外部からその場でミーティングに参加してきた相手とのコミュニケーションを暗号化することはできない。

KeybaseがZoomに買収されたことでKeybaseのプロダクトの今後について懸念を抱く必要はないとしてスタモス氏は「Keybaseの暗号化のセキュリティで重要なのは誰がサーバーやシステムを所有しているかによって信用度が変わることはないという点だ」と述べた。

画像:TechCrunch

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

起業家円卓会議(ERA)デモデーにおける12社のプレゼンテーション

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ご存知ない方へ。Entrepreneur Roundtable Accelerator(起業家円卓会議アクセラレーター)は、他のアクセラレーターと同様に、参加するスタートアップ企業を投資候補者へ紹介するプログラムである。

プログラムはまた、スタートアップがマーケットに参加することを助けてくれる、業界に関連したメンターとのペアリングも行う。今年は、12スタートアップのうちの11社が、ERAから40000ドルのシード投資を受けた

このプログラムの有名な卒業生の1つはPublic Stuffだ。苦情管理で顧客をアシストするソフトウェア企業である ‐ 現在はブルジュ・ハリファのビル管理における苦情管理を支援している。

今年のスタートアップは、あらゆる場所からのB2B市場への対応、サイバーセキュリティプラットフォーム、そしてネット接続された犬小屋までをカバーする幅広いものだった。以下に、各企業についての概要をまとめよう。

Caylent

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ソフトウェア開発者が、クラウドを通じてコンテナの構築、ロールアウト、そして管理をできるようにデザインされたDevOpsプラットフォーム。Caylentは、企業のプログラマーたちの新しいプログラムとプロジェクトの構築と保守を簡単にして、本質的に1つの強い組織を作り上げる手助けをする。

Caylentのパイプラインは、アプリケーションのテスト、構築、そしてデプロイを含んでいて、サーバー管理にもおよぶ。Dockerとコンテナテクノロジーで提携し、新しいコードのデプロイ、監視、そして自動テストを可能にしている ‐ これによって企業のプログラマーをDevOpsマシーンへと変身させる。

プレゼンテーションの中では、このフィールドに関する同社の向かう方向への将来性へのアピールに加えて、MicrosoftがCaylentのクラウドインフラストラクチャに投資していることも言及された。

ClearChat

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安全な通信のための企業向けサイバーセキュリティプラットフォーム。私たちも以前取り上げたことがある。今も増大し続ける、金融、健康、法務、政府などに適した、セキュアなチームのコミュニケーションとファイル共有の必要性に応えることを狙っている ‐ もちろんTechCrunchのような出版にも。

ClearChat は、本質的にSlackの補完を狙っている。隔週とも言えるペースで主要なコミュニケーションプラットフォームが破られていて 、個人情報が危険にさらされている。ClearChatは、やりとりしているものの内容に関してプライバシーと安全を守る、チームのためのよりよいプラットフォームを提供しつつ、こうした危険な現状を終わらせたと願っている。

CoLoadX

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古臭い慣習が支配する国際海上貨物業界を狙っているB2Bマーケットプレイス。CoLoadXは海上貨物の船積みの近代化を行おうとしているが、輸送費の節約だけではなく、大規模な船積みにも対応できる標準的な方式の地位になることを狙っている。

現在、彼らの最初の顧客たちはニューヨークからドバイまでの範囲で運行を行っている、このように彼らは既にいくつかの海と大洋をカバーしている。

Fauad Shariff、Petere Miner、そしてSalima Fassellの3人組に率いられた同社は、輸送コンテナ業界に新しい方式を持ち込むことに断固たる決意で臨んでいる。単に最もコストが安い提案を顧客のために見つけるだけでなく、それをインターネットを介して行うのだ – これは大部分をFAXと電話に頼っている業界にとって、新鮮な手段なのだ。彼らがこのジレンマに対して正しいアプローチをしていると考えてくれる顧客が、どの位いるのかがこの先注目される点だ。

Dog Parker

dog-parker-2-190x80彼らは今年のDisrupt NYの参加者である。これが要約だ:安全で、分刻みの温度管理がされた犬小屋。よく分からない説明である。

Dog Parkerの目標は、店舗がその敷地内に安全な犬小屋を設置できるようにすること、具体的にはDog Parkerの犬小屋を置いてもらうということだ。ビジネス上の観点は、通常は衛生上の規制から、こうした施設がなければ来店することのできない犬の飼い主を、小売店が引きつけられるようにすること。そうして業界を問わずビジネスの推進が行われるようにすることである。

一方、商品としての本当のアイデアは、犬の所有者が健康と安全に関してDog Parkerを信頼できるようにすることで、安全で、抗菌で、温度管理のされた鍵のかかる犬小屋は事前にアプリを通して予約をすることが可能で、どの位置にあるかもアプリを通して知ることができる。

問題は、私のジャーマン・シェパードのどの1匹もその中に収まろうとしないことだ。

Felix Gray

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David RogerとChris Benedictによって創業されたFelix Grayは、目の健康を意識している21世紀のスタートアップだ。大人のミレニアル世代と現代の子供たちの両方を相手にしている。眼精疲労の原因になるブルーライトやスクリーンの反射から目を保護することを目的としたメガネを売っている(この技術はGunnar Optiksに酷似している)。これによってドライアイの、究極には不眠の原因になるという眼精疲労を予防するのである。

結局のところ、いまや誰もが何時間も画面を見つめている。何時間もの間画面を見続ける私たちの眼精疲労を軽減するための手頃なソリューションを提供したいというのがFelix Grayの主張である。Felix Grayのメガネはブルーライトフィルター付きで95ドル、なしで75ドルである。

問題は、これは光学的なアプローチではなく、ハードウェアの改良によって解決されると思われる問題に対する一時的な解だということだ。

FROTH

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Catie Cole、Dae Lim、そしてHarry Leeによって創業された First Round on the House(FROTH)はアルコール飲料ブランドのためにデザインされたニューヨークのマーケティングプラットフォームだ。

その目的は、iOSアプリを介して、消費者に飲料ブランドのマーケティング効果を届けることだ。もしAbsolutウォッカが気になっているが、飲むことがなかった場合、Absoluteはあなたに彼らのウォッカを飲む気にさせる。

ブランドは、アプリを利用して飲み手のために特定の場所(バー)を指定する。飲み手(ユーザー)は自分の手元でアプリを使い、気分に合った飲み物を指定する。ユーザーの選んだ場所で飲料ブランドはこのコネクションを使って、ユーザーをターゲットにして飲み物の選択肢を提供することが出来る ‐ その店でのテイスティング(味見)の一環としてだ。皆がタダ酒を好きなこと、そして無料で試飲させてくれるブランドには更に向かいやすいことにに気がつくのにそれほど長い時間はいらない。そして、結局それらが飲み手の好む飲料になっていくことにも。

Bullet BourbonとKetel One VodkaがFROTHの新しい2つのパートナーである、今年の後半にはノンアルコールのブランドの参加も計画されている。

inkHunter

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InkHunterはモバイルアプリ全般を改善することを狙ったARプラットフォームである、ARはモバイルでは遅く、一貫性がないと思われてることがその開発の動機だ。

Oleksandra RohachoveとPavlo Razumovskyiによって創業されたinkHunterは、ARを使って自分の体の上のタトゥーをプレビューすることを可能にする – これは、彼らの提供するマークベースのARテクノロジーの1応用例である。身体の上でタトゥーを入れたい場所にスマイルマークを描くことで、inkHunterアプリはその落書きを認識しタトゥーに変換してARを使い画面上に表示する。

これまでのところ、inkHunterはApp Storeで250万回以上ダウンロードされている。彼らはプレゼンテーションで、タトゥーを超えて、彼らのAR技術をeコマースや、健康産業、そしてゲーム会社で利用してもらうことが彼らの希望だと述べた。

Karate Health

karate-health-190x80Arif SorathiaとBrett Adelmanによって創業された、データサイエンス主導のスタートアップである。狼瘡などの、慢性で自己免疫疾患の患者を対象にしている。

Karate Healthは、ピアリレーションシップ、薬や副作用の追跡、そして教育素材を組み合わせたアプリだ。ユーザーは自分の処方薬、経験した症状、そして幾つかの必要な個人情報(年齢や性別など)を入力する。患者たちに自分自身の状態について学んでもらうことがKarate Healthの最終目標であり、一方ヘルスケアプロバイダーに彼らの患者の状態や症状について知るためのよりコスト効率の高い手段も提供し、研究と治療を改善する。

成功の可能性という点では、Karate Healthはそのプレゼンテーションの中で、現在1500人以上の狼瘡患者を支援しており、程なくその専門分野を関節リウマチ(RA)患者を支援にも広げると述べた。

Koa

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Mark Hartmanによって創業されたKoaは、住宅ローンの買い手と売り手のためのソフトウェアプラットフォームである。エンドツーエンドの取引及びローン管理を行うこのシステムは、2008年の金融危機からずっとアップデートされて来なかった業界の、近代化を目指している。

Koaの現在および将来の顧客は、彼らのローン投資に対する管理、分析、執行を、コンピューター上のオンラインコントロールパネルを使用して行う。有効性に対するKoaの主張は、Koaのそのまま使えるソフトウェア実装によってユーザーはコストを減らし、利益を増やす便益を受けることができるというものだ。一見ものすごくエキサイティングなものではないが、潜在的な顧客の増加に伴い、Koaの究極のビジョンは顧客同士の取引を可能にするものとなる – おそらくそれは有用なものであろう。

Pairprep

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Pairprep:教育プラットフォームのスタートアップ。Sean Lanningによって創業され、AIを活用する企業だ。写真を撮るか、PDFをアップロードすることで、教師(または親)が課題を作成することができ、それらを彼らの生徒たちのための個別の必要性に応じて調整することができる。

より良くより豊かな課題を作成し、究極的には主要な教科書出版社と競うことを可能にするために、複数の教師(または親)がコラボレーションするためのツールが用意されている。Pairprepの主張は、50000人の代数教師のチームは、PearsonやMcGraw-Hillといった大出版社の専門家たちよりも、生徒のためのよりよい課題を生み出すことができるというものである。

35万8000人のユーザーを擁するPairPrepは、業界を根底から覆すだけの強みと知識を(その協力する教師たちが)持っていると考えている。当初、ソフトウェアの基本機能に対しての教師からの支払いは発生しない、プレミアム機能(生徒のための個別支援機能など)に対して支払いを行ってくれる学校を獲得するのが彼らの目標である。

SensorKit

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Houtan FanisalekとKenneth Krugerによって設立されたSensorKitは、アクティビティやジェスチャー認識を行うプラットフォームである。彼らが主張するのは、機械学習を使ってApple WatchやMoto 360 smartwatchesのようなウェアラブルからのトラッキングを向上させるという点である。ありがたいことに、これは新しいハードウェアを生産するということではなく、既存のウェアラブルのセンサーを改良するという話である。

SensorKitはアプリを裏側で支える頭脳であり、YouMoveとよばれるソフトと同じメンバーによって開発された。AndroidとiOS向けのものが存在していて、プラットフォームを用いてユーザーのアクションを自動的に検出する。検出されるものはベンチプレス、スクワット、ボート漕ぎ運動、時間の設定や休憩などである ‐ すべて聴覚フィードバックを用いてユーザーのコーチに利用される。

以前はiPhone上のアプリだけだったが、SensorKitは新しく解放されたApple Watchのセンサーをこの先活用するようになる。よってYouMoveはApple Watch上で使えるようになる。これは10月7日からである。

Turnout.ai

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Julien Newmanが共同創業者であるTurnout.aiは、企業に近代的な世論調査を可能にする、B2Bの分析プラットフォームだ

世論調査員や申込書から世論データを手動で集めることは定型作業なので、Turnout.aiはそうしたフォームをスキャンして検索可能なPDFの形に変換する。「草の根アプリを使った草の根運動」の世論調査員は、リストを撮影しデータを集める。Turnout.aiはデータをデジタル化し、支持者たちにあなたの主張(登録時にアウトラインを入力したもの)に関連するデータとして送ることができる。

Turnout.aiの名簿に加わった最初の顧客はUberである、(アプリ全体ではなく)分析エンジンのみを使って、Turnout.aiによって定量化されたデータから定性データを見つけている、そうして社会的反発を回避するようにしている。その通り、本質的に彼らは企業や個人的な課題への支援を行うために対話の内容をマイニングしている – その是非の判断はお任せする。

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(翻訳:Sako)