オープンソースのバックエンド・アズ・ア・サービスSupabaseが約33億円調達

バックエンド・アズ・ア・サービス(backend-as-a-service)のSupabaseは今週、シリーズAで3000万ドル(約33億円)を調達したことを発表した。

Supabaseはよく、GoogleのFirebaseのオープンソース版だと説明される。Firebaseを知ってる人にはそれでもよいが、そうでない人にとってSupabaseはデベロッパーによるプロジェクトの構築を助けるツールの集まりであり、開発の楽屋裏で行われる大量の仕事( 例:データベースのデプロイ)を自動化して高速化する。

プロジェクトを作成すると、Supabaseは、Postgresデータベース、データベースの変更に応じて自動的に進化(ドキュメント化)するデータベースとのやりとりのためのAPI、一般的なログインプロバイダー(Facebook、Twitter、Google、Appleなど)と親和性のあるユーザー認証システム、画像や動画のアップロードなどを処理するストレージシステム、そしてそれらすべてを監視・管理するためのUIを提供。最新のアプリケーションやサービスを構築するために必要な多くの作業を、数回のクリックで済ませることができる。

Supabaseはホビーで使う(あるいは試用する)のは無料だが、大きなデータベースやデータのバックアップなどが必要になれは、月額の利用料金は1プロジェクトにつき25ドル(約2750円)からとなる。デプロイを自分で行って¥もよいが、面倒な作業が多いし、今のところ管理用のUIは提供されない。

2020年12月の600万ドル(約6億6000万円)から数えると、今度のシリーズAはかなり早い。同社によると、このラウンドは主にCoatueがリードし、一部はGitHubの共同創業者であるTom Preston-Werner(トム・プレストン-ウェルナー)氏や、PagerDutyの共同創業者Alex Solomon(アレックス・ソロモン)氏、Dockerの共同創業者Solomon Hykes(ソロモン・ハイクス)氏などの、新たに参加した高名なエンジェル投資家たちが投資した。

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Supabaseの共同創業者であるPaul Copplestone(ポール・コプルストーン)氏によると、チームは現在24名で、世界中に散らばっている。「うちは最初からリモートだよ」と氏はいう。

その理由は2つある。パンデミックが広がり始めたときに同社の成長が始まった。そして同社は主に、Supabaseを構成しているツールを作って寄与、貢献している人たちを雇用している。彼らがすでに良い仕事をしているときに、わざわざ引っ越しをしてオフィスにきてもらう必要はない(Supabaseの本社はシンガポール)。

「私たちはおそらく製品で6種類ほどのツールを使っています。そしてそれらの1つ1つに、リードメンテナーがいます。その場合、オープンソースのコントリビューターがいれば、世界のどこに住んでいてもその人にお願いしています」とコプルストーン氏はいう。

Supabaseは、Y Combinatorの2020年夏を卒業したが、実はこの学期からYCのクラスは全員がリモートになった。それでも大人気で、夏季は200社ほどが参加した。それだけ多いと目立つのも難しいが、でもSupabaseは、最初からあちこちで話題になっていた。

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Supabaseのバックエンドは、こんな画面で立ち上がる。

画像クレジット:Supabase

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

SupabaseがFirebaseのオープンソース代替製品のために6.2億円を調達

Supabase(スーパベース)が、米国時間12月15日Coatueが主導する600万ドル(約6億2000万円)の資金調達ラウンドを発表した。同ラウンドにはYC、Mozilla、約20人のエンジェル投資家グループも参加している。Supabaseとは、Google(グーグル)のFirebase(ファイアーベース)や、それに類似したプラットフォームのオープンソースの代替製品を提供するYCインキュベートのスタートアップだ。

現在Supabaseには、PostgreSQLデータベース認証ツールのサポートが含まれており、ストレージならびにサーバーレスソリューションが間もなく登場する。また、データベースを操作するための通常のツールや、データベースの変更を監視するツール、そしてデータベースを管理するためのウェブベースのUIが提供されている。開発チームは、グーグルのFirebaseと比較されることは避けられないものの、1対1で置き換えることを意図したものではないことを、最初に指摘している。そして、NoSQLデータベースを利用しているFirebaseとは異なり、SupabaseはPostgreSQLを利用している。

実際、このチームは既存のオープンソースプロジェクトに大きく依存しており、可能な限りそれらに貢献している。たとえばSupabaseのフルタイム従業員の1人は、データベース上にAPIを構築するためのPostgRESTツールをメンテナンスしている。

「私たちは、また別のシステムを構築しようとしているわけではありません」と語るのは、Supabaseの共同創業者でCEOのPaul Copplestone(ポール・コプルストーン)氏だ。「私たちは、信頼性が高く、拡張性のあるエンタープライズ向けオープンソース製品は、すでに存在していると考えています。私たちが提供しようとしている、ユーザビリティを向上させるためのコンポーネントが不足しているだけなのです。ということで、実際には現在のSupabaseは6つのツールの集合体です。すぐに7つになりますけれど。その中には私たち自身が開発したものもあります。市場に出ていったときに、もしスケーラブルで、本当に問題を解決できそうなものが見つからない場合には、自分たちでそれを構築してオープンソース化することになります。ですが、それ以外の場合には既存のツールを使います」。

画像クレジット:Supabase

オープンソースのツールを市場に出すための伝統的なルートは、ツールを作成してから次にホストされたバージョンを立ち上げることだ 。おそらく作業に対する収益を得るために追加機能も加えられるだろう。Supabaseはこれとは少し違ったルートを取り、すぐにホストバージョンを立ち上げた。

もし第三者が自分でサービスをホストしたい場合には、そのコードを利用可能だが、自分自身でPaaSを運用するのは明らかに大きな挑戦だ。だがそれこそが、チームが今回のアプローチを採用した理由でもある。Firebaseが便利なのは、数クリックですべての設定ができることだと彼は指摘した。Supabaseは、同じような体験を提供できるようにしたいと考えている。「それは自分でホスティングをしている場合には得られないものの1つです」と彼はいう。「私たちが提供するような、文字通りワンクリックで数分後にはすべての設定が完了するようなホスト型プラットフォームと同じような感動を、セルフホスティングでは得ることができません」。

さらに彼は、同社が開発している安定したツールの成長をサポートできるようにしたいと考えており、そのためにはデータベースサービスをベースにしたツールを商業化することが最も簡単な方法だとも述べている

他のY Combinatorスタートアップと同様に、Supabaseは8月に開催されたアクセラレーターのデモデーの後に資金調達ラウンドをクローズした。チームは当初SAFEラウンド(未訳記事)の実施を検討していたが、創業者に有利な条件を提供してくれる機関投資家のグループを見つけたので、この機関投資家ラウンドを実施することにしたのだ。

「Firebaseが提供している手厚い無料ティアに対抗するためには、かなりのコストがかかるでしょうね」とコプルストーン氏は述べた。「そしてそれはデータベースですからね。使っていないからといって、状態を無効のままにしたり、シャットダウンしたりすることはできません。今回の資金調達ラウンドは、長期に渡って余裕のある資金を提供してくれます。さらに重要なのは、私たちのプラットフォーム上で開発してくれる開発者にとっては、好きなだけ時間をかけて、後から自分たちでマネタイズを始めることができるということです」。

同社は今回の新たな資金を活用して、成長をサポートするために、今後も様々なツールへの投資や採用を行っていく予定だという。

Coatueのジェネラルパートナーであり、Facebook(フェイスブック)の元グローバルコミュニケーション担当副社長でもあるCaryn Marooney(カリン・マルーニー)氏は、「週末に開発してすぐにスケールアップできるSupabaseの価値提案は、すぐに心に響きました」と語っている。「このチームと一緒に仕事ができることを誇りに思い、彼らの開発者に対する鋭いフォーカスと、スピードと信頼性へのコミットメントに大いに期待しています」。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Supabase資金調達

画像クレジット:GettyImages

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(翻訳:sako)