ハイテク創薬技術のXtalPiがソフトバンク主導の巨額シリーズCラウンド336億円を調達

米国と中国を拠点とするAIを活用した創薬バイオテック企業XtalPi(晶泰科技)は、ソフトバンク・ビジョン・ファンド率いる熱烈な投資家たちによるシリーズCラウンドで3億1900万ドル(約336億円)を調達した。明らかに価値が高く魅力的な分野でのこの9桁のラウンドには、他にも多くの投資家も参加している。

XtalPiは、新薬になり得る有望な分子を特定し、それに関するできるだけ多く知識を得る必要性に迫られたPfizer(ファイザー)などの大手製薬会社に協力している。そこはまさに競争の世界。AIでそのプロセスをスピードアップすると主張する企業には、巨額の資金が集中する。だがこの分野では、これといって際立ったブレイクスルーはいまだ見られない。とはいうものの、重要なプレイヤーたちがそれを我慢できるとは、とうてい思えない。

2014年に創設されたこの企業は、目標とする分子の非常にローレベルのシミュレーションと予測の提供を目標としている。どちらも原子レベルでの物理特性のシミュレーションと伝統的なデータ科学に基づく作業により、行き詰まりを回避し、より実りある方向へ探索の道を延ばしている。

こうした進展はデジタル世界でのことだが、結果の検証と前進のためには、どの企業もいまだに大勢の経験豊富の科学者の手と、さらにはそれを支える施設が必要となる。それが、歩みの遅い製薬業界のスピードアップに貢献するのだが、安く簡単に行えるものではない。

AI(実際には機械学習の手法だが)に支えられたバイオテック企業は、製薬大手が賭けを行う中で、巨額の資金調達ラウンドや大きな利益をもたらす(またはその可能性のある)提携を獲得してきた。Insitro(インシトロ)の創設者Daphne Koller(ダフニー・コラー)氏も、ほんの2週間前にDisruptでそんな話をしていた

ご想像に違わずXtalPiは、現在の事業をアルゴリズムの改良し、より多くのデータ、より強力なコンピューターパワーで拡大するために今回の資金を活用する計画だ。

「AIは、製薬の生産性という課題を解決する鍵を握っていると、私たちは確信しています」と、会長で共同創設者のShuhao Wen(温书豪、ウェン・シュハオ)氏は広報資料で述べている。「具体的には、XtalPiのAIを原動力とするプラットフォームは、製薬業界の研究の効率性と成功率を高め、新薬の発見と開発のコストを削減します。私たちはより多くのファースト・イン・クラス(画期的医薬品)をもたらし、飛躍的に進歩した薬を市場に送り出し、未解決の医療問題に対処して全世界規模で患者に恩恵を与えるこのプラットフォームを、クライアントに提供できる日を心待ちにしています」

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カテゴリー:バイオテック

タグ:XtalPi ソフトバンク・ビジョン・ファンド 資金調達

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(翻訳:金井哲夫)