レノボはハイビジネス向けのThinkPad&ThinkBook、スタンダードビジネス向けのLenovo、コンシューマー向けのIdeaPad、マルチモードPCブランドのYoga、ゲーミングブランドのLegionと多くのブランドを擁している。今回レビューする「Yoga S940(14)」は、Yogaブランドのフラッグシップモデルに位置づけられているが、唯一、ディスプレイが360度回転するマルチモードを備えていないクラムシェルスタイルのノートPCだ。
CPUは第10世代Core i7を採用、薄型モバイルノートPCとして上限に近いスペック
Yoga S940(14)は、OSにWindows 10 Home 64ビット、CPUに第10世代(Ice Lake)のCore i7-1065G7(4コア8スレッド、1.30~3.90GHz)を採用。メモリーは16GB(LPDDR4X)、ストレージは1TB SSD(NVMe)を搭載。ディスプレイは、14.0型UHD(3840×2160ドット)のIPS液晶(光沢、輝度400cd/平方m、DisplayHDR対応)が選択されている。
ハードウェア的に用意されているのはこの1構成のみで、Office非搭載モデルが23万30円、「Microsoft Office Home & Business 2019」搭載モデルが25万50円という値付けだ(どちらもクーポン適用後の税込み、送料込み価格)。
メモリー、ストレージをカスタマイズしたいという方はいるだろうが、ハードウェア構成を1モデルに限定したからこそ、この低価格を実現できているのだろう。
外装の質感も非常に高い。ボディはアルミニウムから削り出し、サンドブラスト加工が施されている。設計容量5万2000mWh、フル充電容量5万5160mWhのバッテリーを搭載し、約9.2時間のバッテリー駆動時間をうたいつつ、本体サイズは幅319.3×奥行き197.4×厚さ12.2mm、重量約1.25kgという小型、軽量ボディを実現している。
処理性能は申しぶんなし。今回、レノボ独自の管理ユーティリティー「Lenovo Vantage」の電源設定を最大の「エクストリーム・パフォーマンス」に切り替えてベンチマークを実行してみたが、「CINEBENCH R20.060」のCPUスコアは1740pts、「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは792cb、「ファイナルファンタジ-XIV: 漆黒の反逆者 ベンチマ-ク」のスコアは5047(とても快適)、「CrystalDiskMark 7.0.0」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は3528.82MB/秒、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は3016.95MB/秒と、いずれも高いスコアを記録した。
CINEBENCH R20.060のCPUスコアで比較すると、第6世代(Skylake)のハイエンドノートPC向けプロセッサー「Core i7-6700HQ」(4コア8スレッド、2.60~3.50GHz)の約1.06倍のパフォーマンスを発揮したことになる。メモリー、ストレージも十分な容量なので、動画編集やRAW画像現像にも十分活用できる能力を備えていると言える。
コスパに優れた1台
外部グラフィックスを搭載していない14型4KノートPCであるYoga S940(14)のライバルを、MacBookシリーズから探すとなると「13インチMacBook Pro」ということになる。しかし13インチMacBook Proは後継モデルの発表が多くのメディアで噂されている。MacBookとどちらがいいかと悩む方であれば、新モデルの発表を待ったほうが無難だ。
Yoga S940(14)は非常にオーソドックスなスタイルながら、高いトータルスペック、高級感ある質感、ThinkPadと遜色ないキーボードと、クラムシェルスタイルの理想型に限りなく近いノートPCだ。ThinkPadブランドとTrackPointなどのThinkPad固有の装備にこだわりがないのであれば、コストパフォーマンスに優れたノートPCとして魅力的な1台だ。