「学習のCookpadを目指す」ノート共有アプリClearのアルクテラスがZ会、朝日学生新聞と提携——1.1億円の資金調達も実施

アルクテラス代表取締役の新井豪一郎氏

アルクテラス代表取締役の新井豪一郎氏

ノート共有アプリ「Clear」を運営するアルクテラスが、Z会、朝日学生新聞社との業務提携を発表した。業務提携を機に、Z会の親会社である増進会出版社と朝日学生新聞社を対象に1億1千万円の第三者割り当て増資も実施。主力事業であるノート共有アプリClearの有料コンテンツ強化をすることが目的だ。

アルクテラスは2010年10月に創業。2015年6月には、Clearの開発強化のために1億3000万円の資金調達を行っている。今回の資金調達は前回の金額とほぼ同額。シリーズBでの調達となる。

Clearユーザーはグローバル120万人。日本では95万人を突破

今回の資金調達と業務提携の目的はClearのコンテンツ強化だ。Clearより前から展開している個別指導塾向けの学習個性式指導ツール「カイズ」はすでに単体黒字化に成功しているという。カイズ、Clearを開発する際の実験の場としての側面を持つ個別指導塾の「志樹学院」も引き続き運営を行っているそうだ。

Clearのユーザー側画面

Clearのユーザー側画面

Clearは、前回の調達後も順調に成長を遂げているという。ユーザー数はグローバルで約120万人。展開している国は日本をはじめ、タイ、台湾、中国、韓国。国別にユーザー数は日本が95万人。タイは25万人。台湾が1万人。韓国と中国はこれから展開強化予定とのことだ。メインユーザー層は国ごとに異なるが、どの国でも受験層が多い。ユーザーが増えやすい国の特徴としては、ノートに書き込む文化や、相互協力性の高さ、学習意欲の高さなどが影響する。

学習のクックパッドを目指す

ノートの情報を共有することで、いわば「学習のクックパッド」を目指してきたClear。これまではユーザーの獲得、UXの改善などに注力してきたが、今後はユーザー向けに有料コンテンツを開発していく。「現在は企業向けのタイアップ広告などを展開してきましたが、今後はユーザー課金型の有料コンテンツ開発も行なっていきたいと思っています。今回の業務提携も有料コンテンツの開発などを意識したものとなっています」(新井氏)

今回の提携は、ユーザー課金型のコンテンツ開発の第一歩でもある。教育教材を提供しているZ会の教材をClear内で提供。教材を解くための情報をまとめたノートやQ&Aによって、1人で学習を行う受験生が、同じ問題を解く仲間(他のユーザー)とコミュニケーションをとることで、学習をサポートしていく。

朝日新聞のコンテンツ配信イメージ

朝日新聞のコンテンツ配信イメージ

「通信教育の教材を解く際には、1人で学習をします。今回の業務提携によって、Clear内でZ会の教材を解くことができるようになるので、独習でつまずいて、進めないときにもソーシャル上でコミュニケーションを取りながら、問題を解くことができるようになります。ユーザーの利用意向も高いです」(新井氏)サービス提供は2017年7月以降を予定。価格は未定だ。

朝日学生新聞社の提携も、同様に受験生の学習サポートを目的としている。朝日学生新聞社が持つ受験サポート情報(例えば、学習方法や受験問題に関する情報)をClear内で配信する。2016年5月と6月にテスト配信をしたところ受験生からの評判がよかったことから今回の正式リリースが決まった。朝日新聞の記事は、受験の問題に利用されることが多い。そのため、受験生向けの情報が充実しており、ノウハウも豊富だそうだ。

個人に最適化された学校を作りたい

今後はClearの有料コンテンツの開発とグローバル展開を目指していく一方で、アダプティブラーニング(生徒ごとに最適な学習内容を提供する教育方法)をより広めるために、学校法人の立ち上げも将来的に検討するとしている。

「テクノロジーを使ってアダプティブラーニングを実現できる学校を作っていく。学校は画一的なので、それを一人一人の能力に合わせて最適化して提供してあげればもっと力がつくと考えています。」(新井氏)

ITを活用し、個性にあった最適な教育を受けることができる世界を目指すアルクテラス。現在従業員数は12人。代表の新井氏のほか、開発メンバーが6人、塾長が1人、カイズのコンテンツ開発が2人、グローバルマーケティング担当が1人、COO兼CFOの白石氏で合計12人。加えて、海外拠点には5人ずつインターンもいるそうだ。

アルクテラスのメンバー。現在は一軒家をオフィスとして利用している

アルクテラスのメンバー。現在は一軒家をオフィスとして利用している

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。