へき地のインターネットを手作りで、MozillaとNSFが懸賞で地域の小規模プロジェクトを募る

FCCは今、委員長のPaiが頻繁に言うように、“デジタル格差の解消”に熱心に取り組んでいて、そのためのファンドConnect America Fund IIも役に立つのだろう。でも大企業が設備投資に走る中、インターネットを安定的に利用できない人たちがアメリカの至るところにいる。MozillaとNational Science Foundation(NSF, 米国科学財団)は、まだまともな帯域を利用できない人びとに良質なインターネット接続を提供するためのプロジェクトを、懸賞つきで募集している。

このWireless Innovation for a Networks Society(略称WINS)と呼ばれる懸賞には募集課題が二つある。ひとつは、災害時やそのほかの緊急時に、人びとにワイヤレスでインターネット接続を提供する技術。そしてもうひとつは、既存のワイヤレスインフラストラクチャにコミュニティ*が接続してインターネットを正常に利用できるようにする技術。〔*: コミュニティ, 原住民居住区など、恵まれないコミュニティ〕

優勝賞金は一等が6万ドル、二等が4万ドル、三等が3万ドルだ。これらの最初の賞金は大きなプロジェクトの最初のラウンドで、夏までには設計コンセプトをプロトタイプに実装して、実用デモを行い、最終勝者は秋に決まる。

最初の“オフ・ザ・グリッド”(off-the-grid, 災害時緊急時の自給接続)賞は、一等がLanternだ。このポケットサイズのデバイス(下図)は、一般市販の部品を使って、一種のオフラインWi-Fiを作り、ほかの人たちがそこに接続できる。SDカードにロードする各地域データは、アプリやWebからワイヤレスで入手できる。

アップデートや、インターネット上のほかのユーザーからのメッセージや情報などもダウンロードされ、それらリソースの場所がオフラインのマップに加えられる。

二等と三等は、ポータブルなネットワークインフラストラクチャデバイスで、ベーシックな(携帯の)通話やメッセージングで互いにつながり、可能ならLTEネットワークにもつながる。

第二の賞、コミュニティを既存のネットワークにつなぐ部門の一等賞は、Equitable Internet Initiativeだ。このデトロイト生まれのプロジェクトは、一つの都市内にギガバイトを享受できる地区と、ブロードバンドのブの字もない地区がある、という不満の解消をねらっている。プロジェクトを推進したDetroit Community Technology ProjectのDiana Nuceraはセットアップを2016年に開始し、ワイヤレスのリピーターと、独自のギガビット接続を広げるアクセスポイント、そして必要に応じてイントラネットのリソースをインストールしている。

チームは6万ドルの賞金でネットワークを強化し、電力をソーラーでバックアップしたり、緊急時用や長期的プランも作りたい、としている。

二等賞のNoogaNetは、電柱を利用してメッシュネットワークを作る。同点二等賞のSouthern Connected Communities Networkは、アパラチア地方や南部の不遇の地に、ブロードバンドをワイヤレスで広めようとしている。

さらに12の佳作があり、それぞれ1万ドルをもらった。WINSのWebサイトに入賞者のリストがある。あなたの地域で、お手伝いできることが、あるかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。