アジアでのネット販売は複数のeコマースの利用が必要不可欠な難題…その総合サービスを提供する香港のBranch8

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アジアはアジアというたった一つのラベルを貼ることが無意味なぐらい、文化も民族も多様だ。まあそれは、地図上の特定の範囲の呼称にすぎない。言語など、ほかの文化要素に負けず、eコマースもアジアのそれは多様性が激しい。

アジアには、西側のAmazonやeBayに相当する単一の支配的勢力がない。中国ではAlibabaとJDが優勢、日本はRakuten、韓国はCoupang。東南アジアや南アジアなどの途上国市場は、もっと分裂していて、Rocket Internetはここに足場を築くために10億ドル近くを費やした。とりわけインドでは、Flipkart、Snapdeal、Paytmなどの地元勢力がAmazonと互角に戦っている。

競争があって選べることは消費者にとって嬉しいが、商業者にとっては厄介だ。アジアでできるだけ多くの国で売ろうとすれば、五つか六つのeコマースサイトと付き合わなければならない。複数のサイトで売ることが面倒であるだけでなく、在庫管理、需要予測、パッケージの手配など、商業者として日常やるべき業務も複雑多岐になる。その仕事量たるや膨大で、一商業者が片手間でやれるようなタスクではない。

そこでeコマース商業者のマルチサイト展開を助けるサービスが、必要になる。ここでご紹介するBranch8が、まさにその一つだ。同社は、商業者が複数のサイトで売ることを、簡単にできるようにしてくれる。

Branch8のファウンダたちは全員、eコマース畑の古強者だ。CEOのElton ChanはRocket InternetのLazadaで電子製品の販売を担当し、CTOはFacebookとMicrosoftにいた人物、そしてCOOとCPOは前歴が、いろんなマーケットプレースで売ってきた有能なリテイラーだ。…Branch8は、複数のマーケットプレースで売りたい人を助けるワンストップショップ(なんでもやってくれるサービス)を志向している。

ChanはLazadaにいたとき、このようなサービスを着想した。さまざまな売り手(商業者)を相手にする機会が多かったからだ。“彼らのアカウントを見ると、いろんな国のいろんなマーケットプレースで商売することの難しさが、まるで自分のことのようによく理解できた”、と彼は語る。

Branch8はオフィスは香港にあるが、Y Combinatorの今年の夏のクラスに参加した。5月には招待制でローンチし、そして今ではすべての商業者が利用できる。現在のユーザは1000社(店)近く、製品(商品)は60万種以上、そして彼らの、Branch8プラットホーム上の各月の売上は100万ドルを超えている。

ローンチしてまもなくの今、サポートしているeコマースサービスは、AmazonとLazada、Rakuten、eBay、そしてJumiaのみだが、同社は売ることだけでなく、トラフィックの分析や、他社(他店)の売値のチェック、商品の他プラットホームへの移行、サードパーティのロジスティックサービスの利用、などもサービスに含めている。Chanによると、こういう一連の付加価値が、ユーザである商業者から見てBranch8の強みになるはずだ。

Chanはこう語る: “うちの差別化要素は分析だ。SKUベースでトラフィックを追えるツールは、ほかにほとんどない。価格調査や新しいプラットホームへの移行(展開)も、各商業者が単独でやれば厄介なタスクになるが、それをうちは自動化している”。

このサービスは最初の3ヶ月は無料だが、その後は毎月315ドルからの有料になる(最高は715ドル)。商品の種類が多いほど、そして上記のような顧客サービスのリクエストの頻度が多いほど、料金は高くなる。

YCは対象をNPOやバイオにも広げるなど、多様化に熱心だが、香港など合衆国以外の地域でのアクセラレータ業務はまだ経験が浅い。しかしそれでも、Chanによると、とくにプロダクト開発の面では、YCの存在が大いに助けになっている、という。

“うちは学ぶことに貪欲だから、YCからも多くのことを学んだ。とくにネットワークの使い方や、プロダクト開発のやり方がとても役に立った。YCのメンター制度は有益で、新しい考え方に目を開かせてもらえた”、と彼は述べている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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