インドの小売り大手Future Groupが同社の約34億ドル(約3520億円)の資産をMukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏のReliance Industriesに販売しようとしたことを、パートナーのAmazon(アマゾン)に妨害および阻止されようとしたことに対して起こした訴訟で、インドの裁判所はFutureの訴えを退けた。それは、世界で2番目に大きなインターネット市場に65億ドル(約6730億円)あまりを投資している米国のeコマース企業に、かすかな希望をもたらしている。
Future Groupは、パートナーのAmazonが規制当局やその他の機関に懸念を申し立ててインドの2つの大企業間の取引を停止させようとすることを禁じる暫定差し止め命令を求めていた。デリーの最高裁は米国時間12月21日に、Amazonが「修復不可能な損害の可能性」を理由として規制当局と諸機関に懸念を申し立てることを禁じることはできない、と裁定した。その取引が合法的で承認されるべきものかは、規制当局が決定するとその裁定では述べている。
しかしながら裁判所は、Future Groupの下のFuture Retailが起こしている訴訟は有効であり、Reliance Industrieとの取引の承認を求める試みも正当と裁定した。
「名誉あるデリー最高裁による、Future Retailの求める暫定差し止め命令と、緊急時仲裁人プロセスはインドの法の下では無効とする主張を退けた裁定を私たちは歓迎する」とAmazonの広報担当者は述べている。
この裁定は、AmazonとFuture Groupという冷え込んだパートナー間での賭け金の高い抗争における最新のエピソードだ。Amazonは2019年、その価値が1億ドル(約103億円)以上といわれる取引で、Futureの非上場企業の1つの49%を手に入れた(未訳記事)。その取引では、Futureは資産をライバルに売ることはできないとなっている。Amazonは、裁判所への提出文書でそう述べている。
2020年の新型コロナウイルスパンデミックで、インドの企業がキャッシュ不足になってから事態は変わった、とFuture GroupのCEOであるKishore Biyani(キショア・ビヤニ)氏は最近のバーチャル会議で話している。Future Gropuによれば、8月に同社はアンバニ氏のReliance Industriesとの合意に達し、インド最大の小売チェーンを持つRelianceにFutureの小売りとホールセール、ロジスティクス、および倉庫業ビジネスを34億ドルで売ることになった。
数カ月後にAmazonは、シンガポールに仲裁人を立ててこの取引に抗議し、インドの小売り大手間の取引を法廷がブロックすることを求めた。Amazonは10月終わりにシンガポールで仲裁裁判に勝ち、緊急救援を確保した(未訳記事)。それによりFuture Groupは、Relianceへの売却を棚上げされた。
しかし12月21日までは、裁定がインドの法廷で有効かどうか不明だった。シンガポールの仲裁裁判所の裁定が出てから数時間後にFuture GroupとRelianceは声明で、取引を「遅滞なく進める」と発表した。
一方、Amazonはインドの監視機関であるインド競争委員会に駆け込んで、この取引をブロックするよう求めた。しかしながらインド競争委員会は、2つのインド企業間の取引を承認した。初期の聴聞でFuture Groupの弁護士は、Future Groupの取引をブロックしようとするAmazonの努力を東インド会社になぞらえた。この英国商社のインド進出により、200年近くの植民地支配が始まった。
抗争の俎上にあるのは、コンサルタント企業BCGとインドの業界団体Retailers’ Association Indiaによると2019年の7000億ドル(約72兆5000億円)が2025年には1兆3000億ドル(約134兆6000億円)になるといわれているインドの小売り市場だ。現在、インドの小売業の全売上の3%がオンラインだ。
Future Groupはまだ、コメントの求めに応じていない。
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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Future Group、Amazon、インド、eコマース、裁判
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)