ウェブ開発者をモバイルアプリ開発者にするDriftyが2600万ドルを調達

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Driftyは、ウェブ開発者でもモバイルのネイティブアプリを簡単に作れるようにした。作成したアプリは、AppleのiTunes、AmazonのAppstore、そしてGoogle Playなどの主要アプリストアに公開することができる。Driftyは、この度シカゴのLightbankを筆頭に2600万ドルの資金調達に成功した。一般ユーザーや50社ほどの有名企業の開発者が続々とプラットフォームに登録していることを受け、資金調達に至った。

今回のラウンドには、CambridgeのFounder Collectiveと、前回のラウンドにも参加しているAuthur Venturesの名前もある。Authur Venturesは、Driftyが昨年行った1000万ドルのシードラウンドにも出資していた。

Driftyは、CTOのBen SperryとCEOのMax Lynchが2012年に立ち上げた会社だ。彼らはMMORPGのゲームなども手がけていた。そして、ウェブ開発者が自身の技術と専門性を活かして、ネイティブモバイルアプリを制作できるクロスプラットフォームのモバイルアプリ開発に大きな可能性があることを感じた。HTML、CSSそしてAngularJSといった、ウェブ開発者が使い慣れた技術を適用することができる。

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彼らは一年ほど前に、 Ionic Open Source Mobile SDK をローンチし、今までこれを使った50万のアプリが作成された。その一部(Driftyは正確に公開されたアプリの数をトラックしていないが、万単位のアプリ)は主要なアプリストアでも公開されている。Lynchによると、このプロジェクトは、Github上で1万5000スターによるお気に入り登録を獲得し、世界で上位40のプロジェクトに入っていると話した。

IonicのSDKは、一ヶ月で10万回以上もインストールされていて、この数字は伸び続けているとDriftyは報告した。

このスタートアップはまだ収益化していない。基本的なIonicの機能は無料で使用できるオープンソースモデルを作る計画だ。そこで開発者はモバイルアプリを制作し、そのアプリのテストまで行うことができる。フリーミアムの各種機能を付け加えることで、そこから収益へとつなげる予定だ。

具体的にはプッシュ通知の機能やベータでビジュアルデザインを確認しながら、開発者がドラッグアンドドロップだけでアプリを開発できる機能などだ。アナリティクスのサービスも開発中だ。

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他にもクロスプラットフォームでのモバイルアプリ開発ができるサービスを展開する企業はいくつかある。Lynchは、Ionicを差別化する特徴は、様々なジェスチャーでの動きなど、ネイティブアプリの優れている要素をウェブでも作ることができることだと言った。これによりウェブベースで制作したのではなく、さもネイティブアプリであるかのように感じさせるものを作ることができる。

Driftyのプラットフォームで制作されたSworkitというフィットネスアプリがある。このアプリは、3つの主要アプリストアで特集された。Ionicで作成されたアプリでも他のネイティブアプリと大差ないことが証明された。

開発者にとってのメリットはまだある。アプリに変更を加えた場合でも、アプリストアに更新版を提出して承認を得る必要がなくなる。同じ分野の競合アプリより、素早く更新を行えることは開発者にとって有利に働くだろう。

このプラットフォームでは現在コンシューマー向けのアプリが制作されることが多いが、Lynchは、アプリストアとは違う形でこのプラットフォームが利用されることもあり得ると話した。つまり、接続して使う端末のアプリや、企業内だけで使用されるアプリの作成などにも利用することができる。既にJPMorgan Chasem、CaterpillarやAmerican Familyなどの大手企業も利用している。

「アプリのダークネットで広まることを期待しています」とLynchは、このプラットフォームのコンシューマーアプリ制作以外での使用用途について話した。「Ionicは見た目も良いアプリを短い時間で作るのに適していて、物のインターネットや法人内で必要となるアプリの開発ニーズを埋めるのに最適だからです」と話した。

ウィスコンシン州、マディソンを拠点とする15名ほどの小さいチームは、ラウンドで得た資金を元に、さらなるプロダクト開発を進める予定だ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook

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TechCrunch Japan

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