2008年頃から日本でもサービスの始まったソーシャルレンディング。お金を借りたい人(や企業)とお金を貸したい人をオンライン上でマッチングするというサービスだが、当初は個人向けの貸し付けを中心としていたこともあり、10%を超えるとも言われるデフォルト(貸し倒れ)率の高さなどが問題にもなった。
だが最近ではそういった状況も解決にしつつあり、また同時に高い年利や参入企業の増加もあって市場は拡大(最近ではCAMPFIREなども参入を発表している)しているところだ。主要18社に関しては2016年下期の平均利回りは8.1%、デフォルトは過去3年でゼロ件という実績なのだという。市場規模で見ても、2016年時点で前年比72%増となる533億円にまで成長している(米国では7兆円規模の市場だそう)。
改めて注目の集まるソーシャルレンディング。その事業者の情報を集約したサイトがスタートした。クラウドポートは2月2日、ソーシャルレンディング専門サイト「クラウドポート」を正式公開した。
クラウドポートは日本のソーシャルレンディング事業者の情報を横断比較ができるサービスと、ソーシャルレンディング専門のメディア「クラウドポートニュース」で構成される。
比較サービスのクラウドポートでは、日本のソーシャルレンディング事業者の主要18社に掲載されたファンド(案件)を掲載。利回りや運用期間などさまざまな条件で案件を比較検討できるほか、各事業者が掲載しない情報——利回りの分布や、事業者へのお金の集まり方など——も独自に提供するという。一方のクラウドポートニュースでは、ソーシャルレンディング業界のニュースのほか、事業者インタビューや著名投資家によるコラムなどを掲載していく。
サービスを手がけるクラウドポートは2016年11月の設立。代表を務める藤田雄一郎氏はソーシャルレンディング事業者のクラウドバンクの執行役員としてマーケティング領域を中心に活躍した人物。そして共同創業者はポイントアプリ「スマポ」をはじめとして、複数のサービスを立ち上げて売却した経験のある連続起業家の柴田陽氏だ。最近ではTokyo Founders Fundのメンバーとして海外スタートアップに投資も行っている。
藤田氏に改めて日本のソーシャルレンディング市場について尋ねたところ、貸し付けのニーズは「端的に言うと銀行がお金を貸せないところ」にあるという。
一時期はパチンコのように、公的な融資を受けるのが難しい業種が中心だったことあるようだが、現状はそのニーズも拡大している。例えば不動産を仕入れてリフォームやリノベーションをして短期で売却するというケースや、風力発電所などハコを作るまでは担保がなく融資を受けづらいというケースなどでも利用されているのだそうだ。「案件も健全化されてきた。銀行であれば(返済期間)1年、1000万円といった短期間で少額の融資自体が通りにくい。返済確実性だけ厳しくチェックして、それ以外の条件は柔軟性を持つソーシャルレンディングのニーズは非常に高い」(藤田氏)
海外を見てみると、Y Combinatorのプログラムにも参加したAlphaFlowやOrchard Platformといった同種のサービスがあるが、国内でソーシャルレンディングの情報を探すとなると、現状は事業者か個人サイトなどしかなかった状況。藤田氏は「第三者的な立場でソーシャルレンディングの魅力とリスクを伝えていきたい」と語る。同社は今後アフィリエイトや広告、データの販売などでマネタイズを行うとしている。