デルタ航空は、アトランタ国際空港の同社ターミナルで国際便を利用する客を対象にした顔認証を年内に導入する。
同航空によると、顔スキャンは任意とのことだ。スキャンは各フライト手続きにかかる時間をほんの数分短縮するだけだが、国境、そして搭乗前のセキュリティを管理する当局の負担を軽減する。この顔認証の試行はデトロイトのメトロポリタン空港、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港に続くものだ。
顔認証は、一部の人にとっては便利かもしれないが、別の人にとってはプライバシーの侵害となるーまた議会の承認もないままの導入は違法なのでは、と指摘する声もある。
空港における顔認証は物議をかもしていて、昨年初めて導入されて以来、ずっと非難の対象となっている。さらに広範囲での導入を見据え、すでに米国内の6つの主要空港で導入済みだ。税関・国境警備局は顔認証データを収集するのに航空会社に頼っていて、デルタ航空もそこから逃れなれなかったようだ。顔認証は“税関・国境警備局とデルタによる任意の顔認証搭乗テストに続くステップだ”と同航空は述べている。
税関・国境警備局は以前、顔認証導入の動きは違法滞在を取り締まるためのものと説明したが、プライバシーを主張する人々はプライバシー権を踏みにじるものだ、としている。
デルタの広報Kathryn SteeleはTechCrunchに対し、「顔データがとられたくない、という旅行者は、オプトアウトするいくつかの選択肢が与えられ、セキュリティを通る“普通の手続き”が引き続き利用できる」と説明した。
税関・国境警備局の広報Jennifer Gabrisは、米国民だけがオプトアウトでき、書類がマニュアルで審査される、としている。
国境警備を管轄する国土安全保障省は昨年、顔スキャンをオプトアウトしたい人は“旅行を控える”べきだ、とこれまた違う解釈を示している。
デルタが集めたバイオメトリックデータは政府により2週間保存されるが、米国市民とグリーンカード保持者の出国記録は15年間、移民ではないビジターの場合は75年間保存される。
もしこれに不安を感じるなら、導入スピードはゆるやかになると考えない方がいい。国土安全保障省はこの制度の拡大を続け、陸路の国境にも導入しようとしている。空港のスキャナーに関しては先月、ワシントン・ダレス国際空港で顔スキャン後に偽パスポートを使った旅行者が捕まった。
唯一のサクセスストーリーだが、政府が今すぐ方針を変えるということはなさそうだ。
[原文へ]
(翻訳:Mizoguchi)