フェムテックは細分化により妊娠計画以上の事業に成長する

女性にフォーカスしたヘルスプロダクト(フェムテックとして知られている)は、PitchBookにあるアナリストのメモによると、細分化を通じて成長する準備が整っている。生殖に関する問題にフォーカスした従来のものから対象を広げ、女性に影響を及ぼす数多くの健康問題に取り組んでいる起業家にチャンスがあるとみている。

フェムテックはヘルステックの中でも「かなり未開発」の分野だ。分析では、女性が医療に年間いくら使っているか、それはおおよそ最大5000億ドル(約53兆円)だ。一方で女性の健康問題に向けられているヘルスケアのR&Dがいかに少ないか、それはわずか4%だ。その格差を強調している。

メモによると、昨年女性にフォーカスしたヘルスプロダクトのグローバルマーケットは8億2060万ドル(約865億円)を生み出し、2030年末までに少なくとも30億ドル(約3160億円)に達すると予想されている。フェムテックへの2019年のVC投資は5億9210万ドル(約624億円)で、2018年の6億2030万ドル(約654億円)からわずかに減った。今年の投資額はこれまでのところ57件のディールで3億7620万ドル(約400億円)となっていて、2019年と同じようなペースだ。

PitchBookは従来の妊娠に関するもの以外のフェムテックに成長のチャンスがあるととらえていて、それには次のようなものがある。女性の10人に1人が患っているとされる痛みを伴う子宮の内膜の病気である子宮内膜症、「一般的な健康&病気管理のためのパーソナライズされている女性専用のアプローチ」、中でも心臓の健康、疼痛管理、糖尿病と体重の管理、閉経への移行などにフォーカスしているものだ。

「フェムテックはまだニッチな産業である一方で、世俗的な要因でこの分野における新たな成長機会が拡大すると確信している」とアナリストのKaia Colban(カイア・コルバン)氏とAndrew Akers(アンドリュー・エイカーズ)氏は書いている。「ここには、ベンチャーがサポートするテクノロジーコミュニティにおける女性代表者の増加、女性の健康問題に対する意識の高まり、アフリカやアジアの一部の国の女性でみられる感染症の流行なども含まれる」

「さらには、フェムテックプロダクトの大半は従来、妊娠に関する健康にフォーカスしてきたが、女性の健康研究への新たなアプローチが新規のプロダクトやサービスにつながると確信している」

この分野の垂直的拡大はテーラーメイド医療の世界的な成長によって推進されている。テーラーメイド医療業界は2025年までに3兆2000億ドル(約337兆円)に達し、その間の CAGR(年平均成長率)は10.6%と予想されている。

ベンチャーコミュニティにおいて女性は過小評価されてきたが、それは投資家が女性の健康問題を解決するプロダクトにそれほど注意を向けてこなかったことの表れだ。男性の投資家への説明はフェムテックスタートアップにとってハードルとなっている。投資家はまた「かなりの」エグジットの記録をどちらかといえばしっかり追跡していなかったためにサブカテゴリーに冷淡だったと想像される。

「2019年にあったフェムテックのエグジットは6件のみだった。それでもエグジット額は2018年に比べて64%増えている」とノートにはある。「近年の最大のエグジットには、Progyny(プロジニー)の1億3000万ドル(約137億円)のIPO、Procter & Gamble(プロクターアンドギャンブル)による1億ドル(約105億円)でのThis is L買収が含まれる。Progynyの株価は上場から8カ月でおおよそ倍になった」

PitchBookでは、今年のVCのわずか14%が女性創業のスタートアップに向かう、と予想している。さらに、創業メンバーに少なくとも女性1人がいるスタートアップは17%にすぎないとも指摘している(フェムテックのスタートアップではこの割合は相当なものだが、それでもPitchBookが追跡しているフェムテックスタートアップにおいては69%だ。ここには、スキンケアや美容など医学的なものではない女性向けのプロダクトを手掛けているスタートアップは含まれない)。

「ただ、男性の投資家がフェムテックマーケットのチャンスを認識し、VCの世界でジェンダーの多様性が広がるにつれ、こうしたバリアは少なくなるはずだと考えている」と付け加えている。女性が創業した企業の投資に対する売上は男性が所有する企業の2倍超となっていて、こうした要素はさらに多くの投資家を振り向かせることになるかもしれない。

この業界を成長させる鍵となる別の要素は、助長するような法的環境、予防薬とホリスティック・ヘルス(全体的な健康)の高まり、パーソナライズされたプロダクトをよりアクセスしやすくまた手ごろ価格にしているAIや「クラウドベースの情報学」のような健康テクノロジーの発達だ。

M&Aは、健康全般やウェルネス部門のフェムテックスタートアップにとって最も一般的なものだとPitchBookは指摘している。ほとんどの企業がプロダクト1つだけを展開するが、フェムテック産業の成熟がプロダクトの多様化につながり、M&Aによってさらに後押しされるかもしれない。直近では、妊娠にフォーカスしたアプリが更年期の分野に足を踏み入れている例もあり、生殖スタートアップにとってチャンスが広がっていることをうかがわせる、としている。

画像クレジット: WOCinTech Chat / Flickr under a CC BY-SA 2.0 license.

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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