ローカルの店舗を軸に15分デリバリーの食料品レースに参加するJOKRがシリーズAで188億円調達

「より良質で、サステナブルで、地域と製品を尊重する、新たなAmazonのような存在を世界が求めているという事実に、当社のビジョンを見据えています」。Amazonに取って代わるという展望を主張するのは(その創業者の宇宙参入と同じように)かなりのことだが、JOKRの創業者兼CEOであるRalf Wenzel(ラルフ・ヴェンツェル)氏は、自社に見込みがあると固く信じている。そしてその目標に向けて大規模な資金調達を進めている。

急成長を続ける食料品と小売配達のプラットフォームが7月下旬、1億7000万ドル(約188億円)という巨額のシリーズA資金調達ラウンドを完了した。今回のラウンドは、同社が米国、ラテンアメリカ、欧州で事業をスタートさせてから3カ月後に行われたものだ。JOKRのチームは、foodpandaとDelivery Heroの両方を生み出した人物で構成されており、少なくとも外側から見ると、このチームは大きなビジネスを構築する才能を持ち合わせているように思われる。

本ラウンドを主導したのはGGV Capital、Balderton Capital、Tiger Global Managementで、Activant Capital、Greycroft、Fabrice GrindaのFJ Labs、ラテンアメリカのテック特化VCであるKaszekとmonashees、そして初の機関投資家としてHV Capitalも参加した。

2021年6月にローンチしたニューヨークを本拠とするJOKRは、米国、ラテンアメリカ、欧州の各都市へのロールアウトを計画している。現在、ラテンアメリカのブラジル、メキシコ、コロンビア、ペルーと欧州のポーランド、オーストリアにわたる9都市で展開中だ。

ヴェンツェル氏は次のように語っている。「発表した投資は、即時配送、ローカル製品オファリングへのフォーカス、サステナブルな配送とサプライチェーンを軸に、新世代のオンラインショッピングの最高のプラットフォームへと成長を遂げ、かつてないスピードで事業を拡大し続けるための、JOKRの原動力となるでしょう。このような傑出した国際的テック投資家グループのパートナーとなり、目の前にある大きな好機を捉えるサポートを得られることを、大変光栄に思います」。

JOKRが掲げる強みは、ローカルの小規模企業が他のローカル企業から調達した商品をプラットフォーム経由で販売できるようにし、複雑な物流や配送ネットワークを必要とせずにリーチを広げることができるというものだ。一方で、その地域的な側面は、同社のモデルにサステナビリティを組み込むことにもつながっている。

GGV Capitalのマネージングパートナーで、新たにJOKRの取締役に就任したHans Tung(ハンス・トゥン)氏は次のように述べている。「ラルフ(・ヴェンツェル氏)は、小売サプライチェーンを変革するフードデリバリーのためのオールスターチームを結成しました。フードデリバリーのエクスペリエンスと、在庫の配分と発送を最適化する高度なデータ機能の組み合わせにより、JOKRの事業モデルは他と一線を画しています。小売をより迅速に、民主的に、サステナブルなものにするという彼らのミッションに協力できることを、心から楽しみにしています」。

JOKRは、GorillasやGetirのような他のファストデリバリー食料品プロバイダーに続き、スーパーマーケットやコンビニエンス商品、医薬品だけでなく、通常のスーパーマーケットでは手に入らない「限定的な」ローカル商品の15分デリバリーを提供している。ただし、現時点ではGoogle Playでのみ利用可能となっている。

筆者とのインタビューで、ヴェンツェル氏は次のように語った。「当社は食料品に重点を置くInstacartに近い存在で、オファリングはGorillasよりもはるかに広範囲にわたっています。利便性やあらゆる種類の食料品カテゴリーにフォーカスしているだけでなく、スーパーマーケットのオファリングにも近づいており、最大の競合要素は、伝統的なスーパーマーケットやオフラインのスーパーマーケット、そしてオンラインの食料品のプロポジションにあると見ています。垂直統合により直接調達を実現し、中間業者を排除して独自の配送倉庫の構築を進めています」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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