広告ブロッカーが、ウェブ上の広告ベースのビジネスモデルに、不利な影響を与えていることは特に秘密ではない。これは、広告主たちの様々な反応を引き起こしている。例えばあるサイトは比較的丁寧な利用者へのホワイトリストへの追加依頼(TechCrunchが行っているもの)を行い、また他のあるサイトはブロックを避けるための広告の動的再配備を行う。新しい調査によると、Web上の上位1万サイトのうち、3分の1近くが広告ブロッキング対策を講じている。その多くは対抗策を静かに実行し、とても洗練されている。
アンチア広告ブロッキング技術の伸びを受けて、アイオワ大学とUCリバーサイド校の研究者たちは、かつて行われたものを上回る規模で、主要なサイトに対する詳細な調査(PDF)を行うことにした。目に見えたり、ポップアップや壊れたコンテンツなどの明らかなアンチ広告ブロッキング対策などの観察から立てられたりした最初の予想では、おそらく有名サイトの1から5%がそのような対策を施しているのだろうと思われていた――しかし実際には、その割合は桁違いに高かったのだ。
研究者たちは、広告ブロックソフトウェアが埋め込まれたブラウザー、埋め込まれていないブラウザーの両者を用いて、何千ものサイトを何度も訪問した。ブロックを行うブラウザーと、ブロックを行わないブラウザーの最終レンダリングコードを比較することによって、たとえ利用者に通知を行わなくても、サイトがページ内容を変更したり、ブロッカーの存在を認知していることを判断できる。
上に示したように、(調査会社Alexaによる)トップ1万サイトのうち30.5%が、何らかの広告ブロッカー検出を行っていた。トップ1000で見てみると、その割合は38.2%となる(TechCrunchもこの中に含まれているが、私の知る限りでは、訪問者に、サイトをホワイトリストへ追加するよう依頼している)。
得られた結果は、アンチ広告ブロッカーは、以前レポートされたときよりも、更に普及が進んでいることを示している[…]私たちの仮説は、以前に報告されたものよりも、更に多くのウェブサイトが、広告ブロッカーを「気にしてはいる」ものの、多くのサイトはまだ、実際には広告ブロッカーを使うユーザーに対して対抗手段をとってはいないだろうというものだった。
しかし、実際には多くの広告プロバイダーが、アンチブロッキングテクノロジーを提供していることが判明した。それは広告に似た様々な「おとり」コンテンツを生成するスクリプトの形で提供されている。例えば広告ブロッカーを起動するきっかけになる名前やタグが付けられた画像や要素がある場合、サイト側にそれを知らせる。例えば”banner_ad”というマークのついたdiv は読み込まず、”banner”という説明の書かれたイメージはロードするようなブロックのパターンは、ブラウザによって強制される広告ブロッキングの種類と深さを明らかにする。
サイトは、(単に応答の必要性を判断するために)単純にこの情報を記録したり、検知された広告ブロッカーが反応しない形で、広告の再配備を行ったりすることができる。
広告主たちによるこれらの新しい共通対抗手段の検出に加えて、研究者たちは、現在の広告ブロッカーたちを、意図通りに機能させ続けさせることができるかもしれない、いくつかの手段を提案している。
1つの方法は、ブロッカーをチェックするJavaScriptコードを動的に書き換えてしまい、ブロッカーがないと思わせるようにすることだ。しかし、この方法は、本当は広告ブロッカーがあるのに、あたかもブロッカーが無いようにレンダリングさせることで、いくつかのサイトを壊してしまう可能性がある。
2番目の方法は「おとり」のコンテンツを特定し、それをわざとブロックしないことで、サイト側にブラウザーにブロッカーがないと思わせ、サイトから広告を普通に出させる――しかし結局実際の広告はブロックする――というものだ。
しかし、もちろんそれは、広告主たちによる、新しくより洗練された対策を誘発していくことになるだろう。論文の結論は以下の通り:
長期的に出版社や広告主たちに圧力をかけ続けるために、急速に拡大している技術競争の中で、広告ブロッカーはアンチ広告ブロッカーに対抗するペースを緩めないことが大切である。私たちの研究は、この方向への重要な一歩である。
この調査は、2018年2月のNetwork and Distributed Systems Security Symposiumに向けて投稿された。
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(翻訳:sako)