MVNO(仮想移動体通信事業者)サービスの「MINEO(マイネオ)」やコンシューマ向けFTTHサービス「eo光」のほか、ITソリューションサービスなどを展開するオプテージは2019年10月下旬から、飲食店向けのソリューションサービス「オミセノテック」を提供開始すると発表した。
オミセノテックは予約管理や注文受け付け、決済だけでなく、メニュー管理や配席、調理など飲食店の一連のオペレーションをシステム化し、統合管理できるというもの。AIカメラを活用して来店客の属性を分析することで、お客の属性に応じたメニューの提供やリピーターの獲得が期待できるという。
オプテージの取締役・常務執行役員でソリューション事業推進本部長を務める橘 俊郎氏は、社会的課題や企業の課題を解決するソリューションとしてオミセノテックを開発したと語る。
「社会的な課題として人手不足や少子高齢化といった課題があり、飲食業界でも人員の不足、人員のスキルアップ、お客様満足度をいかに向上させるかなど、さまざまな課題があります。そこでコンサルティングの上流からアプリ開発、回線、IoT、データセンター、アウトソーシングといった下流まで一貫した幅広いワンストップソリューションを提供する我々が、お客様やお店の満足向上に向けてワンストップソリューションを提供していきたいと考え、今回の開発に至りました」と語る。
オミセノテックは顧客を管理するCRM(Customer Relationship Management)システムを中心に、事前予約だけでなく事前注文や事前決済にも対応するウェブ予約システム、顧客の予約情報を一元管理する予約台帳システム、店内の着席・空席状況を管理できる来店管理システム、ハンディオーダー端末やテーブルオーダー端末、キオスク端末などのオーダー端末とキッチン端末とをつなぐオーダーエントリーシステムなどをパッケージにしたものだ。
さらにウェブカメラを導入することで、カメラ映像から顧客属性(年齢・性別)をAI(人工知能)で判別するだけでなく、リピーターを判別することが可能になる。AIカメラで把握した新規顧客の属性やリピーターの来店履歴・注文履歴から、好みや季節などに応じて最適なメニューを最適なタイミングで提案できるリコメンド機能も提供するという。
オプテージ ソリューション事業推進本部 ソリューション開発部 ソリューションビジネス開発チーム シニアマネージャーの藤田靖征氏はお店のテックの特徴として「省人化による人手不足の解消」「オールインワン管理による生産性アップ」、「データ収集とAI分析による集客力アップ」の3つを挙げた。
テーブルオーダー端末やIPインカムで省人化
省人化の面では、お客の注文を聞いて店員が入力するハンディオーダー端末に加えて、客がテーブルで自ら注文するテーブルオーダー端末、さらに注文に加えて決済も行えるキオスク端末を用意。店舗のニーズに応じて選択して導入できる。
店員が装着するIPインカムもシステムと連携する。テーブルオーダー端末で会計ボタンが押されると、店員のIPインカムに「○番テーブル会計です」という通知が自動音声で流れることで、会計までスピーディーな対応が可能になる。
飲み放題などで、残り30分の時点でラストオーダーを聞く必要がある場合も、自動的にIPインカムに音声で通知してくれるので、テーブルごとのラストオーダーをいちいち気にせずに業務を進められるという。
ウェブ予約から決済までのオールインワン管理
ウェブ予約から予約台帳管理、オーダーエントリー、決済までオールインワンで提供するのも大きな特徴だ。レストランのウェブサイトやInstagram、Facebookなどから予約サイトにアクセスして予約ができ、予約台帳管理システムで一元管理ができる。電話予約の場合、過去に予約があった顧客の場合はCTI(コンピュータテレフォニー統合)システムから顧客名や予約履歴などが表示しながら対応できる。営業時間外などで店舗が電話を受けられない場合は、IVR(自動音声応答装置)が対応できるようになっている。
「オールインワンで提供するため、お客様は当社1社で契約していただけます。予約台帳、オーダーエントリー、POS(店頭管理システム)など、すべて当社にご連絡いただければ対応させていただきます。また、データが分散せずに一元管理されるため、いろいろなシステムからデータを集めてクレンジングすることなく、すぐに多角的に分析していただくことが可能です。店舗のみならず、お客様にも価値を最大化して提供できると考えております」と藤田氏。
AIカメラで顧客情報を自動認識
オミセノテックが強みとするのが顔認識によってお客の属性やリピーター顧客を判別するAIカメラだ。
藤田氏によると「AIカメラでお客様の年齢や性別、あるいはリピーターを判別することで、レコメンドが可能になります」とのこと。
例えば、30代女性に好まれるデザートがあれば食事の最後など適切なタイミングでテーブルオーダー端末でレコメンドすることで「もう1品、もう1杯をお客様に買っていただくということを考えております」という。
「来店データが蓄積されて、この日は40代男性のお客様が多いとなると、そういった方が好まれるメニューもわかりますので、食品の廃棄ロスをなくしていくことができます。また、店舗に来られるお客様の属性がわかれば、どのような属性の方にどのような料理が出ているのかを把握できます。最近は肉料理がよく出ているというのであれば、肉料理をもうちょっと充実させようなどと、メニュー開発にも役立てていただけると思います」と藤田氏は語る。
現在は関東と関西の数店舗で実験的に導入しており、AIカメラの認識精度は8割〜9割程度。さらに精度を向上させるべく開発を進めているとのことだった。
月額5万円以下で導入可能
オミセノテックの導入料金は、ウェブ予約から予約台帳管理、CTIシステム、キッチン側のオーダー管理アプリ、IPインカム、情報を一元管理できるダッシュボード、グルメサイト連携やスマホオーダーなどを含めて先着1000店舗まで初期費用2万円、月額1万9000円で提供する。
ハンディオーダーエントリーシステムは、端末5台まで使えて月額4000円、テーブルオーダーシステムについては月額6000円とのことだ(すべて先着1000店舗までの価格)。
藤田氏は「ハンディオーダー、テーブルオーダー、どちらも当社調べではありますが業界最安値だと思います」とコメント。
AIカメラは1台につき月額1万円で、2台で1万8000円。こちらも先着1000店舗までの価格だ。
藤田氏は「キャンペーン価格ではありますが、基本サービス1万9000円にハンディ5台までなら4000円で月額2万3000円。AIカメラを入り口と出口に取り付けて1万8000円なので、月額4万1000円で使えます。テーブルオーダーシステムを入れても、月額5万円台でIT化できます」と説明。
AIカメラは経済産業省と総務省、IoTコンソーシアムによる「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」に対応した形で提供するため「お客様にわかるように店舗側で掲示するなどの運用は店舗様にもご協力いただく必要があります」と藤田氏は話した。
なお、先述の料金にはハードウエアの導入料金は含まれていないため、別途購入する必要がある。藤田氏の試算によると、初期費用と月額料金の目安は以下のとおりだ。
●月額料金(合計3万3000円)
・基本サービス:1万9000円
・ハンディオーダーシステム:4000円
・AIカメラシステム:1万円
●初期費用(合計14万5000円)
・サービス初期費用:2万円
・オーダーエントリーシステム初期費用:2万円
・管理端末(iPad):3万5000円
・ハンディオーダー端末(Android端末5台):1万円×5=5万円
・AIカメラ(1台):カメラ 1万円+ミニPC 1万円=2万円
管理端末やテーブルオーダー端末などはiPad OSで提供するため、アップルのiPadシリーズが必要になるとのこと。また、AIカメラサービスには初期費用はかからないが、取り付けには別途工事費が必要になる場合がある。
藤田氏は「個店を中心に導入を進めつつ、大手チェーンとも商談しており、これで店舗を作ってみようかという企業もいます。カメラだけ、インカムだけというのでも結構ですので、触れていただければと思います。キャンペーンは1000店舗ですが、今後1年間で2000店舗の導入を目指します」とコメントした。