ハードウェア・スタートアップはプロダクトを作るだけでなく試作や量産、物流まで考える必要があるため、ウェブだけで完結するサービスより立ち上げが難しい。そうしたハードウェア・スタートアップを支援する施設やプログラムはいくつかあるが、京都に拠点を置くDarma Tech Labsもハードウェアに特化したアクセラレータープログラム「Makers Boot Camp」を提供している。3月7日、Darma Tech Labsはさらに一歩進んだスタートアップ支援を提供するため、IoTスタートアップを対象とする20億円規模のファンド組成を目指すという。このファンドには京都銀行がアンカーLPとして5億円出資することが決定している。Darma Tech Labsによると、ファンドの最終的なクローズ時期は2017年12月を予定していて、すでに15億円ほどの出資の見通しが立っているという。
「Makers Boot Camp」は、Darma Tech Labsおよび、機械金属関連の中小企業10社が共同で立ち上げた京都試作ネットが協力して運営しているアクセラレーター・プログラムだ。Darma Tech Labsでは特に、ハードウェアスタートアップにとって課題となる試作から量産化の部分に焦点を当てたサポートを提供している。「Makers Boot Camp」は、電子マネーの残高を表示するケース「Coban」や壁掛け窓に風景動画を表示するデジタルデバイス「ATMOPH」などが含む国内外10社以上の試作支援を行ってきた。今回のファンド組成はアクセラレータープログラムに加え、ファンドから投資を実施することで、さらなるスタートアップの成長支援を提供することを目的としている。
Darma Tech Labsは2015年8月に創業した。代表取締役を務めるのは、SunBridge Global Ventures Inc.でマネージャーを務める牧野成将氏だ。ディレクターで共同創立者の竹田正俊氏は、プロダクトの試作サービスなどを提供するクロスエフェクトの代表取締役でもある。そしてもう1人の共同創立者は、企業向けの食事指導を提供するヘルスケアアプリを提供するハカルスの代表取締役を務める藤原健真氏だ。ハカルスは昨年渋谷で開催した「TechCrunch Tokyo 2016」のスタートアップバトルにも出場している。
牧野氏はファンド組成について、「このファンドを通じて、世界中からハードウェア/IoTスタートアップを京都/日本に呼び込むような流れを作り、「京都をモノづくりベンチャーの都」にすると共に、日本全体にとっても新しい産業創出やイノベーション創出に寄与出来たらと思っております」とコメントしている。また、ファンドの投資分野は、今のところIoT全般としているが、将来的にはロボティクスやヘルスケア分野などにも注力していきたいと話す。
今回のファンド組成に伴い、フューチャーベンチャーキャピタルで最高投資責任者を務めた木村美都氏と公認会計士の桑原学がマネージング・ディレクターがDarma Tech Labsに参画すると発表した。また、ニューヨークを拠点を置くものづくり系アクセラレーター「FabFoundry」のCEO関信浩氏は取締役に就任するという。
[追記 3/8 14:00] ファンドの組成状況と牧野氏のコメントを追記しました。