米国時間3月2日夜、ITを活用した医療保険会社Oscar Health(オスカーヘルス)は、IPO価格を1株当たり39ドルに設定した。この最終価格は同社がIPOガイダンスで提示していたよりも1株当たり1ドル高い。当初Oscar HealthはIPO価格の目標を32~34ドルとしていた。
そして、3704万1026株が39ドルで売られ、うち3639万1946株は会社自身から提供された。引受会社のために予約されている株(詳しくはこちらを参照)を別にして、Oscar Healthは最低14億4000万ドル(約1541億8000万円)相当の株式を39ドルで売ったことになる。売却で得た金額の98%は同社の会計に組み込まれた。
出資しているThrive Capital、Founders Fund、Formation 8、CapitalG、Fidelty、Alphabet、Coatue、Tiger Globalらにとって、この日は金融クーデターだった。
しかし、会社の民間出資者にとってはどれほどよい結果だったのか?それを知るためには1株当たり39ドルで同社の価値がいくらになるかを計算する必要がある。OscarはSEC(証券取引委員会)提出したS-1/A書類で見込んでいたよりも多くの株式をIPOで売却したため、株数の確定が少々面倒だ。単純計算によるIPO価格に基づく同社の会社価値は79億2000万ドル(約8477億3000万円)強だ。しかしIPO投資グループのRenaissance Capitalは、行使されていないストックオプションなどを含む追加の株式を勘定に入れた完全希薄化後の会社価値を95億ドル(約1兆168億円)と推定している。
Oscar HealthのIPOはいくつかの意味で成功といえるだろう。資金調達の面では、最終IPO価格を初期の株価範囲と比べると、当初の計画よりも多くの金額を調達した。会社価値の面でも、知られている最後の私的評価価値である2018年のシリーズGで設定された32億ドル(約3425億2000万円)の数倍に相当する(PitchBook dataのデータよる)。そのラウンドと今回のIPOの間にも同社は民間資金を調達しているが、当時の会社価値の数字は入手できていない。
3月3日午前に始まるOscar Healthの取引は、インシュアテック、それも医療インシュアテックというサブニッチの試金石として注目に値する。同社のIPO価値に関するこれまでのTechCrunchの記事はさておき、投資家はOscar Healthに改めて価値を付け直した。本当の意味で株式市場に出た後、今後同社がどのように振る舞っていくのか見ていきたい。
カテゴリー:ヘルステック
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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook )