この2021年3月第2週に起きた一連のロボティクス投資は実に多様だ。つまり今週の調達ラウンドはあらゆる分野にわたっているということであり、ロボティクス投資全体にとって健康の証だ。VC(ベンチャーキャピタル)はさまざまな分野にわたるオートメーションに関してかなり強気のようだ。
医療は引き続き巨大だ。手術ロボットのすごいところは、実用に提供されてきた期間の長さだ。1980年代の整形外科手術にさかのぼる。より主流の用途ではIntuitive(インテュイティヴ)のda Vinci(ダビンチ)は20年以上使われており、現在、全世界に5000台近くが出回っている。
Intuitiveの共同ファウンダーであるFrederic Moll(フレデリック・モール)氏が、ForSight Robotics(フォアサイト・ロボティクス)のアドバイザーに就任した。イスラエルのスタートアップは、同社の眼科手術プラットフォームのための自称「メガ・シード・ラウンド」で1000万ドル(約10億9000万円)を調達したばかりだ。眼科的処理は、明白な理由によって、ほとんどの手術よりも許容される誤差が小さい。
同社は、この技術を使えば地理的条件を超えて困難な処置を「民主化」できる、述べている。専門家が身近にいない地域では特に。British Journal of Ophthalmologyによると、途上国における資格を持つ外科医の数は人口100万人あたり約3.7人だという。このような機械をもっと多くの医療施設が導入することで、少しでも平等な環境ができることが彼らの願いだ。
Rani Therapeuticsに関する興味深い記事がある。ロボティクス・ピルは研究者の間で(中でもMITは非常に進んでいる)長い間、扱われている興味深いアイデアだが、そのコンセプトが商品化に向かっているのはすばらしいことだ。具体的に同社の製品は小腸に皮下注射を行う。
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コンセプトの実用化といえば、Nimble Roboticsで実に興味深いのが、リアル世界に持ち込むまでのスピードだ。この会社はその名を冠し(nimble、機敏な)、当然ながら5000万ドル(約54億5000万円)のシリーズAを完了している。しかも同社はFei-Fei Li(李飛飛)氏とSebastian Thrun(セバスチアン・スラン)氏というビッグネーム2名をアドバイザーに迎えている。会社は模倣学習コンセプトに基づいて適応型ピック&プレース・フルフィルメント・ロボットを開発している。
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「私たちは最初のロボティクス・ピック&プレース会社ではありません。非常に早く成長して多くのロボットを生産現場に提供しています」とCEOが私に話した。「多くの人が倉庫の隅にロボットを眠らせています。私たちが出荷した数多くのロボットは各地に設置されていて、会社は急成長しています。そのロボットは実際に稼働して顧客のために毎日何万もの注文をさばいているのです」。
Bedrock Ocean Explorationの800万ドル(約8億7000万円)の資金調達は他と比べると巨額とはいえないが、大きな成長の可能性がある。それには理由がある。Shellが海中探査コンペティションであるXPrizeを主催したのはそれほど前のことではない。Nautilus Labsの共同ファウンダーであるAnthony DiMare(アンソニー・ディマレ)氏が立ち上げた同社は、海底探査用の先進的水中ロボットを、風力発電所から大陸間海底ケーブル敷設まで、さまざまな応用のために提供している。
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今週はラストマイル配達ロボティクス企業もいくつか紹介しなくてはならない。私が記事を書いたRefraction.AIは、数年前に本誌のMobilityイベントの壇上でデビューした。この会社は自転車フレーム上でロボットを作った。自転車レーンを走るのに最適なフォームファクターだ。ミシガン州アナーバーのスタートアップはつい最近420万ドル(約4億6000万円)調達したばかりで、さらに市場進出する計画だ。
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一方、サンフランシスコ・ベイエリアのスタートアップであるTortoise(トータス)はAlbertsons(アルバートソンズ)から強力な支援を受けている。食料品のメガコングロマリットはTortoiseのロボットを傘下Safewayの複数店舗でパイロットテストする予定だ。結果が良ければ、デリバリーロボットは西海岸に他店舗にも広がるだろう。
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フードチェーンの反対側にいるのがStrawbot(ストローボット)だ。数ある農業テックロボティクス会社の中で最近目立ってきたスタートアップだ。同社はイチゴ摘み取り作業者を追いかけることで、農家の労働コストを最大3分の1を節約できるという。Traptic(とラプティック)の提供するイチゴ摘み取りロボットとは異なるアプローチだ。摘み取り自体はやらないが、役に立つことは間違いない。
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最後にAnki(アンキ)……ではなくDigital Dream Labs(デジタル・ドリーム・ラボ)についてもひと言紹介しておきたい。ペンシルベニア州ピッツバーグ拠点の教育テック会社は、Ankiの知的財産権を買い取った。この資金豊富のスタートアップが崩壊した後のことだ。Digital Dream Labsは、人気のロボティクス玩具、Cozmo(コズモ)とVector(ベクター)を 再発売する計画を発表した。記事は次のように述べている。
彼らを生むために大量のリソースを投じており、その中にはPixarとDreamWorksの元スタッフたちもいる。ロボットを本当に生きてるような感じにするために、彼らが起用された。またロボットに個性を持たせるためにも工夫が施され、Vectorの一部のオーナーはそのロボットをオープンソースにしている。一方Cozmoは、発売後に同社のアプリでプログラマブルな機能を持つ予定だ。
というわけで、懐かしい友よ、またよろしく。
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カテゴリー:ロボティクス
タグ:ロボット
画像クレジット:Veanne Cao
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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook )