暗号資産・ブロックチェーン業界の最新1週間(2020.9.13~9.19)

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、重要かつこれはという話題をピックアップし、最新情報としてまとめて1週間分を共有していく。今回は2020年9月613日~9月19日の情報をまとめた。

グルメSNS「シンクロライフ」と川崎フロンターレが提案する「スタジアム飲食と地域活性化をDXで実現」プロジェクトを神奈川県が支援

トークンエコノミー型グルメSNS「シンクロライフ」を運営するGINKAN(ギンカン)は9月14日、Jリーグ川崎フロンターレと共同で提案する「スタジアム飲食と地域活性化をデジタルトランスフォーメーションで実現」プロジェクトが、神奈川県の「ビジネス・アクセラレーター・かながわ」(BAK)に採択されたことを発表した

神奈川県は、スタートアップ企業に対する支援策として「ビジネス・アクセラレーター・かながわ」を実施。新型コロナウイルスの感染拡大によって生じている社会課題の解決に取り組むスタートアップ企業などによる新しいプロジェクトを募集した。今回45件の提案から、有識者らによる審査の結果、県が支援を行う6プロジェクトが決定。GINKANと川崎フロンターレの提案が採択され、両社は今後、同プロジェクトを進めていく。

GINKANと川崎フロンターレの提案するプロジェクト「スタジアム飲食と地域活性化をデジタルトランスフォーメーションで実現」は、グルメSNS「シンクロライフ」のスマホアプリ(Android版iOS版)によるモバイルオーダーと、ブロックチェーン活用の暗号資産ポイントシステム(トークンエコノミー)を通して、川崎フロンターレの本拠地スタジアム内の飲食店と、川崎地域の地元飲食店のマーケティング領域におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していく。

グルメSNS「シンクロライフ」と川崎フロンターレが提案する「スタジアム飲食と地域活性化をDXで実現」プロジェクトを神奈川県が支援

具体的には、モバイルオーダーによる混雑回避、キャッシュレス推進、試合結果に応じた、来店インセンティブ付与による地元飲食店集客への寄与を目指すという。安心・安全なスタジアム運営と、地域経済の活性化の実現を目標としている。

グルメSNS「シンクロライフ」は世界で展開中

GINKANが提供するグルメSNS「シンクロライフ」は、飲食のレビューや加盟店の利用を通して独自のポイント(シンクロポイント)を受け取れるグルメSNS。AI活用のレコメンドシステムを搭載し、独自アルゴリズムによる分析・機械学習により、自分好みの飲食店を見つけることもでき、ユーザーは「口コミへの不審感」と「検索の煩雑さ」から解放される仕組みが特徴。現在、シンクロライフは155ヵ国4言語(日本語・英語・韓国語・中国語)にて展開しており、23万件の食レビューと10万件以上の飲食店が掲載されている。

「シンクロライフ」は、サービスの基盤にブロックチェーンを活用しており、シンクロポイントをイーサリアムのERC-20準拠トークンとして発行する暗号資産シンクロコイン(SYC)へ変換できる(「SynchroCoin」ホワイトペーパー)。加盟店で飲食することで食事代金の1%以上のトークン還元を受けることも可能(法律の関係上、日本ではポイントの付与)。シンクロコイン(SYC)またはポイントは、店舗から提供されたQRコードを読み取ることで、アプリ内のウォレットに付与される。

シンクロライフは、ギフティが提供する法人向けサービス「giftee for Business」と連携し、シンクロポイントでファストフード店、コンビニやマッサージ施設などで利用できる「eギフト」の購入が可能。購入したeギフトは、店舗で利用が可能なほかプレゼントも行える。eギフトは順次ブランドを追加予定となっている。また、将来的には加盟店にてシンクロポイントによる電子決済を行うことも可能になるという。

シンクロコイン(SYC)は、GINKANの子会社SynchroLife Limitedが発行する海外の暗号資産取引所LATOKENにて上場する暗号資産。アプリ内に表示される「SYC活用ガイド」によると、将来的には、シンクロポイントはシンクロコイン(SYC)に1対1で交換可能になるという。シンクロコイン(SYC)は、現時点では国内において他の暗号資産や法定通貨との交換はできない。

損保協会とNECは、ブロックチェーン技術を活用した共同保険の契約情報交換に関する実証検証を実施

一般社団法人日本損害保険協会(損保協会)日本電気(NEC)は9月17日、ブロックチェーン技術を活用した共同保険の契約情報交換に関する共同検証の実施を発表した。共同保険の事務効率化に向け、ブロックチェーン技術の有効性や課題の洗い出しを行う。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、with/afterコロナの「新しい生活様式」への対応が求められている中、損害保険業界においても新しいテクノロジーを積極的に導入し、業務効率化を図っていくことが重要になっている。そこで、損保協会はNECの協力のもと、共同保険の書面・押印・対面での手続きを見直すなど、ブロックチェーン技術の活用による手続きの事務効率化の効果を測るべく、共同検証を実施する。

共同保険は、複数の保険会社が共同で保険を引き受ける方式の共同保険契約による保険証券。一保険会社では引き受けることが難しい巨大なリスクを分散するなど、各保険会社が自ら抱えるリスクを多様化・平準化するために共同保険とするもの。共同保険は、現在は年間数10万件におよぶ契約情報を、引受保険会社間で書面により交換し、各保険会社で契約計上業務を行っているという。

今回の共同検証には、損保協会の会員保険会社8社が参加し、ブロックチェーン技術を活用することで、書面を使わずに契約情報の交換を行う実証実験を開始する。実証実験により、迅速性、正確性、効率性を共同で検証する予定という。それにより、年間数10万件におよぶ契約情報の交換をペーパーレス化する。書面での情報交換をデータによる情報交換にするだけでも、各保険会社での契約計上業務が大幅に効率化されることが期待できるとしている。

損保協会とNECは、ブロックチェーン技術を活用した共同保険の契約情報交換に関する実証検証を実施

損保協会では実証実験を通じて、今後、業界横断での業務の共通化・標準化・共同化を通じて、社会インフラとして損害保険が持つ機能・役割をより発揮すべく、新しい技術による変革に努めていく。また、NECはブロックチェーン・AIなどの先進技術を活用するなど、デジタルを活用した金融サービスや金融業務の変革を支援する「Digital Finance」の取り組みを推進していくという。

Digital Financeでは、金融取引に特有のセキュリティや本人確認に対応した上で、デジタル技術を活用した新たな顧客体験・顧客理解を可能にするサービスや金融機関が有するサービスをオープンAPIでセキュアに連携可能とするサービスを提供していく。さらには、金融サービスのデジタル変革として、デジタルを活用した新たな業務プロセスや、セキュアなワークプレイス、新サービスを短期間で可能とする金融サービスのAPI群などを提供する。複雑化する金融業務におけるリスク対策や規制対応に対して、デジタル技術の活用を推進していく。

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

暗号資産取引所bitFlyerを運営するbitFlyerは9月17日、Tポイントをビットコインに交換できる同取引所のサービス「Tポイントプログラム」における月間交換利用者数が、8月に過去最高を記録したことを発表した。

2020年8月のTポイントプログラムの利用状況は、ビットコインの価格高騰を受け、Tポイントのビットコインへの交換数量が前月比1.8倍に、月間交換利用者数は前月比1.9倍を記録した。月間交換利用者数は昨年8月のサービスリリース以来、過去最高となった。

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

bitFlyerとTポイントジャパンは2019年8月に業務提携し、Tポイントとビットコインが交換できるサービス「Tポイントプログラム」の提供を開始した。同取引所のアカウントにTカードを連携することで、Tポイント100ptにつき85円相当のビットコインと交換できる。また、対象加盟店でbitFlyerウォレットを用いてビットコイン決済を行うと、500円ごとにTポイント1ptが付与されるサービスとなっている。Tポイントの会員数は現在、2020年7月時点で7066万人とされており、国内大手の共通ポイントサービスのひとつである。

Tポイントプログラムの連携者数推移は、8月は前月比3.8倍となり、月間連携者数はサービスリリース以来、過去2番目に多い月となった。

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

ビットコインの高騰が影響

2020年7月末にビットコインの価格が高騰し、90万円台から110万円台となった。8月に入ってからも価格上昇し、8月17日には約1年ぶりに130万円台を記録、bitFlyerのビットコインの取引量・取引者数が増加したという。ビットコインのみならず、イーサリアムも、2万5000円台から一時期4万円台まで変動している。

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

ビットコインに交換できるbitFlyerの「Tポイントプログラム」月間交換利用者数が8月に過去最高を記録

これを受けて、同社のマーケットアナリストを兼任する金光碧トレジャリー部部長は、「ビットコインの価格上昇については、コロナショックを受けて世界的な金融緩和が進んでおり、個人が投機的に買う投資対象からインフレヘッジとして機関投資家も買う資産へと見方が変わってきていることが影響しているのではないでしょうか」と分析。

「また、イーサリアムの価格上昇については、分散型金融(DeFi)で注目を集めていることが影響しています」という。「Tポイントプログラム利用者数増加の背景も同様に、ビットコインの価格上昇に伴いニーズが伸びているのだと思います」と指摘した。

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カテゴリー:ブロックチェーン

タグ:仮想通貨 / 暗号資産

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TechCrunch Japan

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