SVB Financial Group(SVB)は米国時間1月4日、ボストンのBoston Private Financial Holdingsを現金と株式9億ドル(約924億5000万円)で買収することに合意した。
SVBは37年の歴史の中で、ベンチャー企業やプライベート・エクイティ投資家だけでなく、新興企業にフレンドリーな銀行としての評判を得てきたが、今回の買収はSVBにとって重要な取引と言える。SVB Asset Managementの関連資産14 億ドル(約1440億円)と比較すると、1987 年に設立されたBoston Privateは、約163億ドル(約1兆6,740億円)の運用資産を有している。
2011年にウェルスアドバイザリー事業を設立したSVBは、数年前からウェルス・マネジメントへの参入をより積極的に推し進めており、2018年半ばにはCapital One(キャピタル・ワン)でウェルス戦略を率いていたYvette Butler(イヴェット・バトラー)氏を採用している。
バトラー氏はそれ以来、同行のウェルス・マネジメントチームのメンバーを増やしており、昨年のBusiness Insider誌インタビューで「自分の仕事は主にリテンション戦略だと思っています。…クライアントはすでにいるのですから。私たちは彼らのファンドやビジネスの成長を支援してきましたが、プライベートバンクとして、またウェルスアドバイザリーとしての我々の役割は、顧客を維持することだと考えています」と語っている。
すでに同行と取引のある富裕層との関係を強化するためのSVBの努力を強調し、同社の社長兼CEOのGreg Becker(グレッグ・ベッカー)氏は4日、新たな提携についてのプレスリリースの中で次のように述べている。「当社のお客様は、ビジネスと私生活の両方で成功する確率を高めるために、当社を頼りにしてくださっています。」
バトラー氏は、過去2年間Boston PrivateのCEOを務めてきたAnthony DeChellis(アンソニー・デケリス)氏と共に、プライベート・バンキングとウェルス・マネジメント事業の統合を指揮することになる。デケリス氏は、クラウドファンディング・プラットフォームOurCrowdの社長を短期間務めた後にBoston Privateに入社し、それ以前はクレディ・スイス プライベート・バンキング(南北アメリカ)のCEOを7年以上務めていた人物だ。
今回の取引の一環として、Boston Privateの株主はSVBの普通株式0.0228株と、1株につき2.10ドル(約215円)の現金を受け取ることになる。
2020年の銀行株は総じて打ちのめされたが、ボストン・グローブ紙が指摘するように、SVBの株はテック分野に注力しているため、過去3年間で60%以上も上昇しているのに対し、Boston Privateの株は45%も下落していた。
関連記事:活気づく企業支出管理サービス分野でDivvyが169億円を調達
カテゴリー:フィンテック
タグ:買収
[原文へ]
(翻訳:Nakazato)