気候問題にフォーカスしたスウェーデンのアーリーステージファンド「Pale Blue Dot」がデビュー

スウェーデンのマルメに拠点を置く「気候限定」の新ベンチャーキャピタル会社であるPale Blue Dot(ペール・ブルー・ドット)が6月16日正式にデビューし、初のファンド5300万ユーロ(約64億円)をクローズした。差し当たっては欧州拠点のプレシード期またはシード期のスタートアップを対象とし、気候問題を解決するのにテクノロジーを使っている企業を支援する計画だ。最初のファンドから最大40社を支援することを目標としていて、出資額のレンジは20万〜200万ユーロ(約2400万〜2億4000万円)だ。

このファンドは他のファンドが特化していないところに目を向けており、気候に大きな好影響をもたらすソフトウェアやテクノロジーへの投資を検討する。現在フォーカスしているのは、食糧・農業、産業、ファッション・アパレル、エネルギー、輸送の分野だ。

「我々は、気候への貢献を拡張できるスタートアップを求めている。気候への貢献の拡張というのは往々にして、多くのインターネット企業がそうであるようにソフトウェア、データ、ネットワークの効果で達成できるものを意味する」と Pale Blue Dotの創業パートナーであるJoel Larsson(ジョエル・ラーソン)氏はTechCrunchに語った。「こうした企業がどんどんデジタル化している。我々や他のベンチャーファンドも自然豊かな世界への変化を加速するためにそうした企業に投資できることを期待している」。

Pale Blue Dotの3人の創業パートナーであるHampus Jakobsson(ハンパス・ヤコブソン)氏、Heidi Lindvall(ハイディ・リンドヴァル)氏、そしてラーソン氏は北欧のテックエコシステムでは比較的よく知られている。

ヤコブソン氏は2012年にBlackberry(ブラックベリー)に売却されたTAT(The Astonishing Tribe)を共同創業し、北欧では主要なエンジェル投資家のひとりだ。直近ではBlueYard Capitalでベンチャーパートナーを務めている。

リンドヴァル氏はFast Track Malmöのアクセラレーター・投資のチームの前責任者で、人権とメディアを専門としてきた経歴を持つ。

そしてラーソン氏はFast Track Malmöの前マネージングディレクターで、テックを専門とし、ファンドマネージメントの経験がある。

特筆すべきは、Pale Blue Dotは専門分野を持つ数ある新たな欧州VCの1つであるということだ。これは北欧の成熟したエコシステムを証明するものだろう。つまり、多数の一般VCも程度の違いはあるが明らかに気候テックに賭けている。

「すべてのファンドは『地球に優しく』、より良い世界のためになるものであるべきだと考えている。しかしこのフォーカスが主流となるには時間を要する」と「気候限定」VCの必要性についてリンドヴァル氏は語る。「それでも、大半のファンドは評価の後期にポジティブな影響の可能性を調べ、スタートアップが世界をよい方向へと大胆に導くようでなかったとしてもディールを断らない」。

「素晴らしいLP(リミテッッドパートナー)たちを獲得できて幸運だった。新型コロナ禍中での資金調達だったために、彼らの多くが我々と実際に顔を合わせていなかった」とヤコブソン氏は付け加えた。「資金の50%弱がスウェーデンからで、主要なLPはスウェーデンのVCであるSaminvestだ。また素晴らしい起業家と投資家のリストも手にしている」。

リストにはSupercell、Zendesk、Navision、Unityといったユニコーン企業の創業者や前従業員のファミリーオフィス、Albert Wenger (USV)、Staffan Helgesson (Creandum)、VC fund Atomicoといった投資家が含まれるようだ。

Pale Blue Dotはすでに3件に投資した。ロンドンに本部を置く会社で計算生物学と合成生物学を活用して新たな作物を生み出すPhytoform、サンフランシスコ拠点で従来型と最新の「炭素除去」手法に融資するカーボンオフセットプラットフォームのPatch、アムステルダム拠点のスタートアップで、森林火災や停電のリスクを抑制するのに役立つ樹木の理解に機械学習と衛星データを活用している20tree.aiだ。

画像クレジット:Pale Blue Dot

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(翻訳:Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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