窪田製薬ホールディングスは8月25日、100%子会社のクボタビジョン・インク開発の独自のアクティブスティミュレーション技術「クボタメガネテクノロジー」を用いたウェアラブル近視デバイス「クボタメガネ」の概念実証(POC)試験の結果、眼軸長の短縮を確認し、試験が成功したと発表した。
近視は、屈折性近視・軸性近視・偽近視・核性近視などの区分があり、その多くは眼軸が伸展することによりおこる軸性近視と診断されるという。眼軸長が伸びると、眼球の中で焦点が網膜より手前に位置づけられるために、遠くが見えにくくなる。
クボタメガネテクノロジーとは、アクティブスティミュレーションという、網膜に人工的な光刺激を与えて近視の進行抑制、治療を目指す同社独自の技術。近視により後方に伸展した網膜の周辺部に、同社独自の映像を投影することで、対象眼と比較して、眼軸長の短縮が確認された。これは、すでにFDA(米国食品医薬品局)にも認められた製品の理論的根拠である「myopic defocus」という網膜の周辺部をぼかすことにより、近視が抑制されるという現象を応用している。さらに、従来製品が受動的な刺激を用いていたのに対して、同社では、ナノテクノロジーを駆使して能動的に特殊な映像を投影することで、より短い時間、より自然な見え方を維持して、高い効果を実現するべく開発を進めている。
今回の臨床試験では、米Manhattan Vision Associates/Institute for Vision Research(MVA)において、18歳〜35歳までの25名の近視傾向のある被験者が、クボタメガネテクノロジーを用いたウェアラブルデバイスを数時間装着し、眼軸長(角膜から網膜までの長さ)に与える効果を検証した。
MVAは、これまでにも複数の世界最大級の眼科製薬・医療機器企業の臨床試験・製品開発に参加している実績を持つ眼科専門の研究所。
窪田製薬ホールディングスは、同臨床試験はあくまでもウェアラブルデバイスを用いた概念実証試験(POC)であり、医療機器としての製造販売認証申請のための臨床試験ではないとしている。
今後は、クボタメガネテクノロジーをスマートメガネ、スマートコンタクトレンズに応用し、実用化を目指すという。スマートメガネ「クボタメガネ」については、2020年内にプロトタイプを完成させ、2021年内の商業化を目標として開発を進めていく。クボタメガネテクノロジーは、将来的には、AR機器、VR機器へ応用し、子供の近視予防への応用が期待されているという。
同社は、クボタメガネテクノロジーにより、メガネのいらない世界を目指すとしている。