クラウドソーシングを活用した翻訳プラットフォームを展開するGengoは1月17日、グローバルで翻訳サービスを展開するライオンブリッジの完全子会社となったことを明らかにした。2018年12月にライオンブリッジがGengoの全株式を取得したという(取得金額は非公開)。
ライオンブリッジは1996年創業。米国マサチューセッツ州に本社を構え、20年以上に渡ってグローバル企業の翻訳やローカリゼーションをサポートしてきた実績を持つ。翻訳エキスパートをネットワーク化し、人と機械を組み合わせた翻訳サービスを提供。世界27ヵ国でビジネスを展開する。
一方のGengoは2009年に現在CEOを務めるマシュー・ロメイン氏らが共同で創業した日本のスタートアップだ。冒頭でも触れた通りクラウドソーシングの仕組みを活用した人力翻訳プラットフォームを開発。これまで6万5000件を超える顧客から10億単語以上の依頼を受けてきた。
また2018年からは新サービスとして「GengoAI」をスタート。これは同社が培ってきたネットワークを活用して、自然言語処理のAI開発に必要な学習データを編集するプラットフォームだ。
ライオンブリッジでも50万人の言語エキスパートによる機械学習のモデルやコンテンツ作成のための学習データを提供してきた実績があり、同社にとって今回の株式取得はこのGengoAIも含めた戦略的な投資という位置付け。ライオンブリッジCEOのジョン・フェネリー氏、Gengo共同創業者兼CEOのマシュー・ロメイン氏はそれぞれプレスリリース内で以下のようにコメントしている。
「このたびの株式取得は、弊社のビジネス戦略を即座に補強するものです。ライオンブリッジにとって、Gengoの優秀な人材を獲得し、AI業界の中で素早く新規市場を開拓する機会となります。Gengoの高度なテクノロジープラットフォームはライオンブリッジのローカリゼーションシステムの中心となります。これらの具体的なメリットの上に、より多くのテクノロジーツールを導入し、アジア市場へのリーチを拡大し、アジア現地の生命科学、コンピュータゲームおよび、その他様々な市場を開拓する機会となります」(ジョン・フェネリー氏)
「私たちはライオンブリッジと共に働くことを待ち望んでいます。両社が協力することで、互いの可能性や効率性、またお客様がライオンブリッジに求める品質を高めることができるでしょう。ライオンブリッジとGengoは今後、世界市場に新しい技術をもたらすことで、翻訳および機械学習両分野の可能性を広げていきます」(マシュー・ロメイン氏)
なおGengoはこれまでAtomico、Intel Capital、500 Startupsを含む国内外の投資家から約2600万ドルを調達。前回紹介したシリーズCラウンドではリクルートホールディングスを始め、SBIインベストメント、三菱UFJキャピタル 、クラウドワークスなど複数の日本企業からも出資を受けていた。