軌道上のデブリを減らすパーデュー大学開発の宇宙版シーアンカーが11月にテスト打ち上げ

宇宙への打ち上げをサービスとして提供しているFireflyが11月に行う予定の軌道飛行では、米国インディアナ州にあるパーデュー大学のエンジニアが開発した実験的なペイロードを運ぶことになる。そのペイロードとは、ロケットがミッションを完遂して積荷を展開したあと、ロケットを地球に戻すために使う宇宙版シーアンカー(海錨)とも言えるものだ。使用済みの打ち上げ用ビークルを安全に軌道から外すことで、最近増加傾向にある軌道領域で地球を周回する巨大なガラクタを1つ減らせることになる。

ビークル(ペイロードを輸送するのに使用されるロケット)の多くは、最終的には自力で安全に軌道から外れる。しかし各段のロケットをすべてとなると、100年を要することもある。最近では衛星のような宇宙船でも、寿命が来たら自力で脱軌道するために推力系を備えているケースもあるが、宇宙で運用される航空機にはロケットという推進系もともとがあるのだから、推力系と推進系の両方を持てば打ち上げの費用も高騰する。そして、計器類やその他のミッションクリティカルなペイロードのための十分なスペースもなくなるだろう。

パーデュー大学のチームは「推進剤ベースの自律推進システムも、宇宙船が機能するためには稼働している必要がある。逆に、ドラグパラシュートは故障した宇宙船でも安全装置で軌道離脱できる受動的な手段だ」と指摘する。

ドラグセイルは、抗力を発生させることによって機能し、打ち上げ機または宇宙船の軌道速度を補助なしで発生するよりもはるかに速く減少させることができる。宇宙で地球の周りを回っている物体は、非常に高速で移動しているため、その軌道を維持することしかできないのだ。

その実験的なシーアンカーは「Spinnaker3」と呼ばれ、展開すると面積は194平方フィート(18平方m)ある。そしてこれをプロトタイプとして今後、パーデュー大学で航空宇宙専門の准教授を務めるDavid Spencer(デビッド・スペンサー)氏が創業したVestigo Airspaceが、一連のシーアンカー製品を商業生産していく。そして小型の衛星とシーアンカーを付けた打ち上げ機の組み合わせが、地球軌道への打ち上げが今後かなり増えても、軌道上宇宙空間のゴミの低減に寄与するかもしれない。

画像クレジット: Purdue University video/Erin Easterling

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。