細胞培養コラーゲンメーカーであるGeltor(ジェルター)は、世界トップのコラーゲンサプライヤーであるGelita(ジェリタ)と9桁(日本円で数百億円)規模の取引契約にサインしたようだ。TechCrunchが得た情報によると、Geltorは現在少なくとも5000万ドル(約54億円)の新規資金調達を目指している。
同社の計画を知る筋によると、調達額は5000万ドル〜1億ドル(約54億円〜108億円)になる見込み。調達資金は、Gelitaとの長期契約遂行に必要なコラーゲン製造能力拡大に使われる。
Geltorはタンパク質の大量培養技術を開発中。動物由来のタンパク質を補完する位置づけだが、最終的には代替するのが狙いだ。他社は培養製品を肉の代替品として開発しているが、Geltorはサプライチェーンの別の側面、すなわちコラーゲンとゼラチン添加剤が一般に食肉産業からの廃棄物から作られる点に注目した。
古来、ゼラチンは動物の皮膚、軟骨、骨から煮出す。この物質は増粘剤として機能するため化粧品や食品に多く使われている。Geltorが挑むコラーゲンとゼラチンの市場は合わせて90億ドル(約1兆円)と、かなりの規模がある。
市場規模と同様に重要な点は、代替肉産業が確立された場合、従来の食肉加工からの廃棄物に代わる原材料を見つける必要があるということだ。Geltorは、非動物由来コラーゲンとして、海洋性コラーゲン「Collume」ブランドとヒトコラーゲン「HumaColl21」ブランドを販売している。いずれもスキンケア市場向けだ。
Gelitaとの契約は、Geltorが食品・飲料添加物市場に初めて参入したことを意味する。GelitaのコラーゲンペプチドビジネスユニットのグローバルバイスプレジデントであるHans-Ulrich Frech(ハンス=ウルリッヒ・フレッヒ)氏は先月「バイオデザイン技術に投資するという当社の決定は、市場のニーズを満たすこととイノベーションに当社が真剣に取り組んでいる代表的な例だ。Gelitaのコラーゲンビジネスに新たに加わるGeltorは、我々がすでに保有する科学的に実証済みのBioactive Collagen Peptidesを補完することになる。Bioactive Collagen Peptidesは食品および栄養補助食品の主要成分で、タンパク質としての性質と生理学的利点を有している」と発表した。
一方、Geltorにとってこの契約は、タンパク質製造が食肉市場以外でも大きなビジネスになり得るという仮説を証明することになった。Memphis MeatsやFuture Meat Technologiesなどの、従来の細胞培養による代替肉開発企業も関心をもっている。
GeltorのCEOであるAlexander Lorestani(アレクサンダー・ロレスタニ)氏は「この契約は、世界が新しい時代に入ったという当社の見解を支持するものだ。世界中の消費者が日常生活で使う製品の改善にタンパク質が有用だ。いよいよ市場環境が整い、タンパク質成分を使った付加価値のある製品への需要が高まってきた。Geltorがその需要を満たす役割を果たせる」と語った。
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(翻訳:Mizoguchi)