高速道路ではレベル4が走り、駐車場は不要になる――2020年の自動運転と都市のモビリティー

11月25日、僕たちTechCrunch Japanは「TechCrunch Tokyo 2017 x CarTech @BMW Group Tokyo Bay 〜自動運転と都市のモビリティーを考える」と題して、CarTechをテーマにしたトークイベントを開催した。

イベント当日はビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長 ペーター・クロンシュナーブル氏が基調講演を行い、その後に米Drivemode共同創業者の上田北斗氏、ティアフォー取締役の二宮芳樹氏、そしてビー・エム・ダブリュー株式会社テクノロジーオフィス・ジャパン研究員/テクノロジースカウトである山下祐作氏の3名をお招きしてパネルディスカッションを行った。その様子をお伝えしよう。

自動運転に切り替えてテレカンする近未来

ビー・エム・ダブリュー株式会社 代表取締役社長のペーター・クロンシュナーブル氏

2016年、日本におけるBMWグループの販売台数は約7万5000台となり輸入自動車のなかではトップの成績を記録した。クロンシュナーブル氏は日本市場について、「この市場には大きなポテンシャルがあり、私たちもその大きさを実感してきている」と話す。また、クロンシュナーブル氏は自動車業界の将来を担う4つのキーワードについても言及した。“Autonomous, Connected, Services, Electrified”だ。

その4つのキーワードを体現するのが、BMWが2021年に投入予定の新型車種「iNEXT」だ。iNEXTの自動運転技術は運転手との協調性に重点を置いているようで、当日流されたコンセプトムービーでは、普段は人間が運転しながらも、テレビ電話中は自動車が代わりに運転したり、運転手を目的地まで届けた後はクルマが自分で帰っていく様子も映されていた。さながらSF映画の世界のようだが、それが実現する日はもう間近に迫っている。

自動運転で街の景色が変わる

ティアフォー取締役の二宮芳樹氏

自動運転技術によって街のあり方も大きく変わると話すのは、ティアフォー取締役の二宮芳樹氏だ。自動運転が普及すれば、人が見るための標識もいらなくなり、狭い道路でもこれまでと同じ量の交通量を維持できるようになる。それに、iNEXTのようにクルマが自分で目的地から自宅に帰るようになれば、広い駐車場もいらなくなるだろう。

また、クルマを所有するのではなく、クルマによる移動サービスを消費する“MaaS(Mobility as a Service)”ビジネスも加速するだろうと二宮氏は語る。「運転をクルマに任せるようになると、車内が会議室やリビングルームに変わる。パッセンジャーエコノミーという移動中に何かをするというサービスの経済が大きくなる」(二宮氏)

アメリカにおける自動運転のメディア騒動は「PR戦略」の面も

Drivemode共同創業者の上田北斗氏

アメリカではGoogleが2009年から自動運転車の研究開発を進めていることで有名だが、実際のところ、アメリカの経済界や一般消費者は自動運転をどう捉えているのだろうか。日本人の両親を持ちながらアメリカ生まれアメリカ育ちであり、クルマの中で使えるスマホのUIやアプリを開発するDrivemodeをシリコンバレーで立ち上げた上田北斗氏はこう語る。

「メディアでは大きく取り上げられていて、一般の人たちの期待感も大きいと思う。だが、これは自動運転業界のPR戦略でもある。自動運転は技術的な問題だけでなく、クリアしなければならない法律やインフラ関係のハードルもある。法整備のスピードを加速させるために、『今にでもできるぞ!』とアピールすることはシリコンバレーの戦略だ」(上田氏)

一方の二宮氏は、「低スピードの自動運転車はすぐにも出てくるだろう。人間が運転するスピードと同程度で走る自動運転車をGoogleがいつ出してくるのかがポイントになる」と話す。

自動車業界のオープンイノベーション

ビー・エム・ダブリュー株式会社テクノロジーオフィス・ジャパン研究員/テクノロジースカウトの山下祐作氏

自動運転やEVをはじめとする新しい技術が自動車業界に大きな影響を与えている。そうした技術を取り入れようと、大手の自動車メーカーはスタートアップを巻き込んだオープンイノベーションに積極的だ。

これまでにBMWは20社以上のスタートアップに投資済みだ。同社のオープンイノベーションの取り組みについて、山下祐作氏は「BMWとスタートアップによる協業の成功例の1つがモービルアイだ。同社はもともと小さなスタートアップだったが、親密に関係を持ちながら協業を重ねていった。最終的に同社はインテルに買収されたものの、今でもそのコミュニケーションは継続している」と話す。

登壇者たちが想像する2025年とは

最後に、今回のパネルディスカッションに登壇頂いた3名の未来予想図を紹介しよう。

「早ければ、高速道路ではレベル4の自動運転車が走っているだろう。MaaSという観点で言えば、自動運転シャトルバスなどはその頃にはすでに始まっていると思う。個人的には、Google的な自動運転車、つまりクルマだが人が乗っていないものがどれだけ出ているのかに興味がある」(二宮氏)

「マーケットは二極化するのではないか。高級車のカテゴリーでは自動運転車が浸透する一方で、それ以外の人々はベーシックな装備のクルマに乗りながら、従来のコネクテッドデバイス(スマホなど)を使っているだろう」(上田氏)

「2020年を過ぎると、BMWはiNEXTを投入する。そして2020年代前半には7シリーズも投入予定で、私たちの自動運転技術はさらに加速するだろう。2020年代前半というのが、自動車メーカー各社のターゲットだ」(山下氏)

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TechCrunch Japan

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