スマートフォン向けの動画広告サービス「VIDEO TAP」や動画メディアの「ルトロン」などを運営するオープンエイト。同社が2017年7月に15億円を調達したことは、以前TechCrunch Japanでも紹介した。
そのオープンエイトは10月17日、ルトロンのスマートフォンアプリ(iOS/Android)をリリースし、アプリによる動画コンテンツの配信を開始すると発表した。それに加えて、年内にはAIによる動画生成&リコメンド機能もリリースするという。
ルトロンは、各地の観光スポットやレストランなどの魅力を伝える動画メディア。ターゲットとなるユーザーは20代後半〜40代の女性だ。動画というリッチなメディアを通して、ユーザーは“行ってみたい場所、やってみたいこと”を発見することができる。
現在、ルトロンのFacebookページのフォロワーは110万人以上。前回取材した7月時点では73万人ということだったから、この3ヶ月で約40万人のフォロワーを獲得したことになる。
また、同社は2017年9月より月間1000本の動画配信体制を実施しており、累計の動画コンテンツ数は4000本に達した。
下にルトロンの動画コンテンツ例を載せておくので、気になる読者はチェックしてみてほしい。
そういえば、前回の取材時にオープンエイト代表取締役の高松雄康氏はルトロンについてこう話していた。
「ルトロンは、ユーザーの心を動かしてラーメンを食べたいという気持ちを喚起するメディアだ。そして、僕たちが重視するのはエンゲージメント。再生回数が多くても、ユーザーの心を動かさない動画を作っても意味がない」(高松氏)
その言葉の通り、他の動画メディアと比べてルトロンのエンゲージメント率(Facebookフォロワー数に対するエンゲージメント数の割合)は高い傾向にあるようだ。オープンエイトのプレスリリースによれば、他社のエンゲージメント率が0.4〜8%のレンジ内であるのに対し、ルトロンは16.2%と主張している。
今回ルトロンのスマホアプリがリリースされたことで、エンゲージメント率のさらなる向上やより広いユーザーへのリーチが期待できるかもしれない。
AIによる動画コンテンツ自動生成機能も
実は、オープンエイトはアプリリリースと同時に、AIによる動画コンテンツの自動生成機能もあわせて発表している。
「LeTRONC AI」と名付けられた同機能ではまず、ルトロンが保持する動画コンテンツを各シーンごとに分解する。次に、そこに映る「パンケーキ」や「カフェ」などをAIが認識し、それを言語化することで各シーンごとのキーワードを生成するという。
例えば、シーンAに「渋谷区、パンケーキ」というキーワードが付与されたとすると、それと同じキーワードをもつシーンB、シーンCと組み合わせて新しい動画コンテンツを生成することができる。
オープンエイトがこのタイミングでルトロンをアプリ化したのも、このAI機能を十分に活用するためだ。
オープンエイトが2017年度中に発表予定としている同機能は、アプリを通して得たユーザーの趣味嗜好をもとに、AIが自動で動画コンテンツを生成してリコメンドするというもの。
例えば、ユーザーがアプリで「渋谷区のおでかけスポット」を頻繁に検索していて、かつパンケーキの動画を長く観ていれば、それに合わせて生成した「渋谷区のパンケーキ特集」動画をユーザーに配信するといったことが可能になるだろう。
オープンエイトは今後、このAI動画開発技術をルトロン内で使用するだけでなく、他社向けの動画広告ソリューションとして展開していくとしている。