Canonがロンドンの家族写真共有アプリLifecakeを買収

a44o3880


ロンドンに拠点を置くスタートアップのLifecakeは、幼い子どもを持つ親向けの写真共有アプリを提供している。この度、ハードウェアを製造するCanon Europeがサービス面でのビジネス強化を狙い、Lifecakeを買収した。買収の詳細については開示されていないが、Lifecakeのアプリ、ユーザーベース、6名のチームと彼らの技術をまるごと買収したと私たちは理解している。

Canonは今回の買収について、同社のデジタルコンシューマーサービスを推し進める「大きな一歩」だとし、最終的な目標は「どんなデバイスで撮影された写真でもCanonがその一端を担うようになる」ことだとした。Canonのハードウェアで撮影された写真に限らず、競合するスマートフォンカメラで撮影された写真も取り込みたいという考えだ。

また、今回のLifecakeの買収により、Lifecakeが拠点を置くロンドンの「テックシティ」あるいは「シリコンのランドアバウト」にCanonが根付くきっかけにしたいと考えている。

Canon Europeのデジタルサービスのディレクターを務めるAlberto Spinelliは電話越しに、今回のLifecakeの買収を皮切りに盛り上がりを見せるロンドンのテック業界からより多くの才能をCanonに惹きつけ、Canonと一緒に働くことが「クール」なことをアピールしたいと話した。

Lifecakeのファウンダーは、Skype、QualcommとYahooでエンジニアを務めていた経験を持つ。Lifecakeは家族向けの写真共有アプリで、写真を保存、整理、共有し、子供の成長を収めた一瞬に「立ち戻る」ためのアプリだ。

アプリには写真や動画のタイムラインを作成する機能、誰がどこまで閲覧できるかの詳細なプライバシー設定、印刷できるフォトブックを作成する機能などがある。このスタートアップは、典型的な「モバイルファースト」の企業で、Canonにとってそのようにモバイルに特化していることも魅力の一つだった。

Full_Suite

Spinelliは電話の中で、Lifecakeがユーザーから評価されているエクスペリエンスについて言及した。写真が並んだ一覧ページ、スムーズなスクロールの動き、最も素敵な写真を判断するアルゴリズムの技術やノウハウがLifecakeにはあるとし、それらはCanonが提供する他のサービスやアプリの魅力を引き出すことができる話した。

一方、Lifecakeの共同ファウンダーでCEOのNicholas Babainとも同じ電話で話した所、Canonにはスケールする力と画像技術があると話した。例えばCanonの画像補正技術は、アプリユーザー、特に忙しい両親が時間を節約する機能として活用できると話した。

「Canonのリーチと技術は、サービスをブーストするエンジンになります」と彼は声明に記している。「同時に、私たちのチームはCanonのデジタルサービスにおけるエコシステムの成長を加速させることができるでしょう。そして最も重要なことは、既存、そして将来のユーザーに対し、ユーザーの思い出は世界でも写真の分野で信頼されているブランドに守られることをお伝えできることを嬉しく思います」。

今回のエグジットがこのスタートアップのファウンダーや投資家にとって、ホームラン級の成功と言えるのは定かではない。SpinelliもBabaianもその話題には触れなかった。Lifecakeは、累計で140万ドルの資金調達を行っていた。直近のラウンドでは、Balderton Capitalがリードし、EC1 Capitalも以前から投資に加わっていた。

「アーリーインベスターとしては、今回の結果をとても嬉しく思います。ユーザーやチームにとっても素晴らしい新居となるでしょう」EC1 CapitalのJulian Carterは、TechCrunchにメールでそう伝えた。「Canonは、彼らの美しく作りこまれたプロダクトを大幅にスケールさせることができるでしょう。それは、アーリーインベスター、LifecakeのチームそしてCanonの全員にとって良い結果だと思います」。

注目すべきは、Lifecakeが更なる資金調達に向けて動いている中でCanonと出会ったことだ。そしてCanonは、投資するよりも買収の方が理にかなっていると判断し、今回の買収に至った。

Lifecakeアプリは35万人の登録ユーザーを抱え、いつでもその3分の1程度がアクティブだ。ユーザーは平均週に4回ほどアクセスしている。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。